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クレームを都合よく解釈する医療従事者

先日僕が勤めている病院で、あるクレームを受けたスタッフがいたんですね。
どんなクレームかというと、リハビリを受けていた患者さんから
「担当のリハビリスタッフが信用できないから担当を変えて欲しい」というやつです。

これね、僕も新人の頃、経験あるんですが結構ショックなんですよ。
自分ってダメなやつなんだな、って思っちゃうからね。

今回このクレームを受けたのが、僕や美人な課長にモラハラをしている50ぐらいのおっさんだったんですね。

その患者さんに「なんで担当を変えて欲しいのか?」っていう話を聞くと

「今後の計画も話してくれない」
「装具が外せるようになるかわからない」
「松葉杖を装具が外れるまでつけろと言われた」
「質問しても、適当なことを言われる」

というものだったんです。
ちなみにこの患者さんは、28歳のスポーツ復帰と仕事復帰を目指している方で、怪我が「アキレス腱断裂後の縫合術」という診断名で、アキレス腱が切れて、縫い合わせた手術をした患者さんだったんですね。
アキレス腱を切って縫った後って、足にガンダムみたいな装具をつけて歩かなきゃいけないんですよ。
そのガンダムがめちゃめちゃ厚底で高いから、右足と左足の長さが明らかに違くて、超絶歩きづらいんですね。
しかもこのガンダムを8週間ぐらいつけなきゃいけないんです。
だから女性とかだと、恥ずかしいっていう人も少なくないんです。

ちなみに手術をしてガンダムをつけたら、基本的には松葉杖をつかないで歩けるのが、アキレス腱断裂の手術なんですね。

このクレームを聞いた僕の同期の「潤ちゃん」という男の子が、すぐに「自分が担当します」って言って、対応してくれることになってリハビリを再開したんですね。
そしたら色々と問題が出てきてしまって、
まず「潤ちゃん」が担当した瞬間に松葉杖なしで歩けるようになったし、50のおっさんが担当していた時は足首の運動もやっていないから、足首の関節が固まっているし、自主トレをとかも指導されていないから、足の使い方がわからなくて動くなくなっていたんですね。

本来であれば、アキレス腱断裂の人は、3週間ぐらいで足首の運動を一緒にやっていくものなんですよ。

じゃないと足の動かし方を忘れちゃうから、下手したら一生足をひきづって歩くことになっちゃうからね。
しかもリハビリの進行度によっては、仕事を失う(クビに)なっちゃう人もいるから、若い人であればとにかく早く仕事復帰をさせることを考えて、治療プログラムを僕らは立案して動かなきゃいけないんですね。

この50のおっさんはそれができていないで6週間も適当なことをして、適当なことを言って患者さんの貴重な時間を奪って、挙句、足が治らないという不利益を患者さんは被ったんわけですよ。

このことを問題視して、僕の美人課長と、総務課の人が50のおっさんに「患者さんが不満を持っているから担当変更をする」と伝えたら

「先生が手術後、説明に来なかったら患者さんは不満に思っているみたいですよ」
「ここの看護師にも不信感を抱いているみたいです」

みたいに返答してきたんですね。

…は?

いやいやいやいやいや、会話になっていない。
とゆうか、あなたの治療内容と発言に不信感を持っているからなんですよっていうね。

クレームを受けた内容を都合よく解釈して、自分を正当化するのはいいんだけど、あなたのせいで不利益を被っている人を忘れないで欲しいな、と思いますよね

しかもそのケツ拭きは別の人がやっているんだよって。

僕ら医療従事者って、仕事で手をぬけば簡単に患者さんの人生を壊せちゃうんですよ。
仕事を失わせるのなんて簡単だし、ましてや動けない体にすることだってできるんですよ。
医療に携わるって、それだけ責任のある仕事だと思うんですよね。

だからそのことを念頭に置いて、僕らは仕事に取り組まなきゃいけないんですよ。
自分の保身なんかよりも、患者さんの人生を考えたサービスの提供というのが病院の仕事なんですよね。
そのことだけは忘れちゃいけないなって、今回のことで改めて感じましたね。

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