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コロナ禍で声出しライブができるようになるまでの経緯を振り返る(後編)

前回のまとめ


前編では日本におけるコロナ感染者初観測から声出しライブ解禁までの時系列、感染リスクは実際どのくらいあるのかについてまとめさせていただいた。

後半は、ガイドライン改定や、ライブ・エンタメ業界がコロナ禍で活動を続けられるよう動いてくれた議員について記録としてまとめさせていただく。

ライブができるよう尽力した議員


おじま紘平都議

おじま都議は2020年4月から心配しつつも、元バンドマンの経験も踏まえてライブができるよう尽力していただきました。

元バンドマンだからこそ、ライブハウスが防音の関係で密になりやすいこと、喫煙者が多いことも知っていた。

ライブハウスに直々に赴き、感染症対策を徹底している店舗もあるということを視察している。

都として感染症予防対策のための機材の購入費を一部補助金対象にすることを実現。

規制が緩和されても簡単に客は戻ってこないことを、元バンドマンとして退官として知っているおじま都議。


片山さつき議員

意外かもしれませんが、ライブハウス支援に関して日本音楽会場協会に声をかけたのは協会側ではなく片山さつき議員からだった(詳細は動画参照)

2020年6月から日本音楽会場協会との話し合いが始まり、ガイドライン作成にも協力いただいた。
都議や区議の協力もありがたいが、国会議員に仲間がいることは行政を動かすうえで非常に重要。
2022年の参院選で再選したことも、ライブハウスのガイドライン改定につながったのだと思う。

山田太郎議員

国会において、2021年に急遽中止が発表された「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021」を例に挙げ、緊急事態宣言やまん延防止の対象外地域でのイベント中止について、保障や補助もないまま中止をすることになってしまうリスクに関して、質疑応答を行いました。

漫画家の赤松健先生も含めてエンタメ業界にヒアリングを実施し、提言書を提出。
表現の自由を守る議員として有名な山田太郎議員だが、二次元だけではなく広くエンタメ産業を守る活動をしている証左だといえる。

玉木雄一郎議員

エンタメ業界支援を政策に取り入れる。
2021年の衆院選において、「表現の自由を守る」ことや、インボイス導入に党の公約として反対を表明したのは当時国民民主党だけ。

孤独対策に関して、提言して孤独担当大臣が設置されるようになったのも、元々は国民民主案。
コロナ禍でメンタルに不調をきたして、ステージを去るアーティストもいた。
そういう人達の声にも耳を傾ける姿勢は尊敬する。

橋本ゆき渋谷区議

元アイドルであり、感染症防止対策の実証実験に古巣のグループである仮面女子を協力していただくといった彼女にしかできない形でライブハウス支援を行った。

ダクトやサーキュレーターを使用し、喚起を行う実証実験。
換気設備を導入するには100万以上のコストがかかるが、低コストで換気を実施できれば施設の負担軽減にもつながる。

橋本区議の実証実験の協力は「換気対策ガイドブック」にも大きな影響を与えている。

橋本区議の勤める渋谷区は都内でも有数のライブハウス密集地帯。
予算を取り付け、空気清浄機無償配布や補助政策を実現した功績も記録に残したい。

伊藤陽平新宿区議


新宿区議の伊藤陽平区議はライブハウス事業者の声を聞き、ライブハウスの動画制作や配信費用の助成金を最大50万支援するように働きかけ実現した。

藤末健三元議員

藤末健三元議員は、議員時代に声優の緒方恵美さんから陳情を受け、当時の悲痛なエンタメ業界の声を聞いています。

陳情に基づき、同人誌即売会やライブ音楽産業もイベント支援助成金の対象となるように動いた。
2022年参院選では再選を果たせず、現在は議員ではありませんが文化芸術エンタメ業界のために尽力していただいた。

柳田清二佐久市長

長野県の野外アニソンフェス「アニエラフェスタ」は佐久市が協賛しており、町おこしの一環でもある。
2021年はオリンピック開催年ということもあり、フェスも多く開催されるようになったが、波物語による炎上で空気は一変した。
2年連続中止になってしまったとはいえ、市として援助し2022年には2年ぶりに開催することができたのは、議会で補助を決定したことも大きいだろう。

2021年のアニエラフェスタがなぜ中止になってしまった経緯について、スレッドでまとめている。
ただ一方的に中止を要請するのではなく、理由をきちんと説明する姿勢に永日差を感じた。

陳情された議員紹介

以下、具体的な政策等に反映はされているのか確認できなかったが、陳情を受けライブハウスの事について気にかけていただいた方もご紹介。

ツイートなどは見つからなかったが、他にも日本音楽会場協会議員連盟に加入している議員の方はいる。

ライブハウスとは異なるが、音楽業界4団体から支持をされた今井絵理子議員と生稲晃子議員にも個人的には期待している。

おわりに

最後にライブハウスと行政との今後の関わりについて展望をまとめさせていただく。

ライブハウスは地下にある施設が多く、ミサイル発射時の緊急避難先として有効ではないかという提案。
東京都とはミサイル対策基本合意をしたようだ。

もちろん、避難先として場所を提供するのは協力に同意した店舗のみであり、行政からの強制はない。

2022年3月19日の記事。
日本国内における一時緊急避難先の地下施設割合はとても低いことが記されている。

国家の防衛予算は特定野党の反対の声もあり、簡単には増やせない。
そんな中で、ライブハウスが緊急避難先として手を挙げたことは、行政や地域との連携を深める上で意味がある。

ライブハウスは飲食業界なので、ドリンク類は常に常備されており、店舗によっては食品提供もしている(※ドリンクのみの提供の店も多い)。
すべての店が緊急避難先として手を挙げられるわけではないが、0からシェルターを作るより普段は独立していて、有事の際のみ使用できる避難先があれば国や地方としても頼りになるはずだ。

また、ライブハウスが緊急避難先として広まることで「薄暗くてなんとなく怖い場所」から、行ったことのある場所として身近になれば、利用者も増えるかもしれない。
一方的に搾取されるような関係ではなく、Win-Winの関係を構築できれば、偏見による風評被害にあうことも減るのではないかと思う。

声出し収容100%が解禁されたとはいえ、まだガイドライン上では1曲のうち25%の規制がある。
段階的に規制を緩和し、声出し100%を今後は目指していくだろう。
マスクに関しては、している状態としていない状態で感染リスクに有意な差が生じている以上、声出し以上に規制緩和のハードルは高い。

また、年表で過去の規制と緩和とライブ中止の流れを鑑みるに、規制が緩和されても羽目を外しすぎると世間から疎まれ、中止に追い込まれるケースもある。

信頼を勝ち取らなければ、規制は緩和されない。
そのことは音楽ジャンル問わず、ライブハウスやライブを守りたいからこそ、最低限のマナーやモラルは守るように心がけたい。

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