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「なぜクソ資本主義の象徴の様なPARCOでやるのか」について

私が現在主催しているDJパーティー「WAIFU」や「SLICK」ですが、「フェミニズム」「ジェンダー平等」「アンチレイシズム」「アンチ障がい者差別」「自然との共存」などと言う事を大きく掲げてイベントを行なっています。そして、それらと対極にあるのがグローバル資本主義の社会だと私は思っています。その資本主義の象徴の様なファッションモールのPARCOでイベントをすることについてWAIFUやSLICKをサポートしていただいている方から「何でパルコでやるの?」と質問を受けたので、今回それについてお話しします。

私が中学、高校時代を送った1980年代は「PARCO」と言うのは時代の最先端で特別な存在でした。中でも渋谷パルコは若者にとってトレンドセッターであり、インターネットもEmailもない関西の田舎でオリーブ少女だった中学生の私からすると、宝石箱の様な存在でした。
90年代に入って「渋谷系」が流行った時もSTUDIO VOICEや流行通信、宝島やQuick Japanなどを読み漁り、そんな雑誌の中での出来事が当たり前に存在していたWAVEやクラブクアトロ、Loftも含め「渋谷」は私にとって特別な存在であり、その中心にあるのが「渋谷パルコ」でした。
今見返しても本当に斬新な事をしていたなと思うし、その時代パルコの存在は若者にとって「わかっている」共感者であり未知の世界へ連れて行ってくれる情報源でした。

あれから何十年もの月日が流れた一昨年、10FにあるSUPER DOMMUNEにWAIFUで出演させていただき、初めて渋谷パルコに関わらせていただきました。ドミューンではパルコに移動するギリギリ前に1度WAIFUで出演させていただき、その後パルコに移動したSUPER DOMMUNEで再びWAIFUでトークさせていただきました。ドミューン主催の宇川直宏さんは私にとっては(多分誰にとっても?)サブカルの神様の様な存在で、アングラな(実際地下にありましたがw)ドミューンが新生パルコの中に入ったと聞いた時は「何で⁉️」と思ったのですが、考えてみれば80年代のパルコはサブカルの先頭に立っていたな、と。その時「クラブにおけるアクセシビリティ」と言う内容で車椅子のDJの方にも出演していただきトークしたのですが、そこで「アンダーグラウンドなイベントをやる箱(クラブ)であればあるほどアクセスが悪い」と言う話になり、ふと宇川さんが「ってか、ドミューンはアングラの極みだけどパルコってバリアフリーじゃん!って事はみんなドミューンでパーティーしたら究極のアングラパーティー来れるじゃん!」みたいな話になってWAIFUチーム一同も「それ!」となったのでした。(その後宇川さんは「ドミューンは障がい者の方は無料にします!」と言ってくれて今回はそれを適用いたします。)
そんな事で、私がパルコの方に「パルコでアンダーグラウンドなオールナイトパーティーをしたい!」とお伝えし、今回実際にできることとなりました。
なので、「何でパルコ?」と言う疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが「バリアフリーでアングラな事が出来るから」と言うのが一番大きな理由です。

実は数年前に新生パルコが誕生した時「あの私たちの『わかってる』パルコが蘇える?!」と大きな期待をしたのですが(多分私と同世代の方は少なからず期待されたのでは?)新しくなったパルコは実際他のモールと大差なく、綺麗になった事で余計に鼻につくと言う感じで、何よりも最悪な事は「パルコブックセンター」がなくなった事でありすごく残念に思っていたのですが、宇川直宏と言うサブカル代表の存在は大きく、その後DOMMUNEの横にあるGAKUという「ティーンクリエイターのための学びの場」と言う新しくパルコに加わった教育施設でトークさせていただいたのも「なんか次の世代につなげたい!」と言う気持ちになりました。なので「残念なパルコを私たちの時代の『エッジーな若者のよりどころ』としてのパルコとしてもう一度蘇ってほしい!」「昔のとんがったパルコを見せてほしい!」と言う思いも込めて今回のパーティーを準備しています。
なので、パルコが出来るだけ「クソな資本主義代表」にならない様に、私たちはコンテンツにとても気をつけています。今回もドミューンで「クラブにおけるセクシャルハラスメント」についてお話しさせていただきますし、仏ウェブメディア「XY Media」に日本とフランスにおけるトランスフェミニズムの事情についても話していただきます。また、今回出演していただくDaiamonds are foeverは日本中のドラァグクイーンからもリスペクトされる30年続く関西のレジェンドで、ダムタイプとも深い関わりがあり、いわゆる商業的なドラァグクイーンとは異なった強い思想を持ったコレクティブです。

ドミューンの横のGAKUは若手クリエーターに解放し、自由な表現を発表していただく場を設けました。そして、その中にloneliness booksさんをはじめとして「わかっている」本屋さんやZINEのポップアップをしていただきます。(パルコブックセンター復活させろ!と言う思いも込めてw)
屋上のコミューンは使い捨てプラスチックを使用する代わりに福祉施設が運営しているリユースカップを使っていただきます。

その他いろいろやりますが、こうやって私たちの様なアングラな存在をピックして好きにやらしてくれる所が又「渋谷パルコ」であり、だからこそなんか昔の「若者の居場所」であるパルコにもう一度戻ってもらえそうな気もしています。そんな感じで、パルコの様な力の持つ存在がバブル時代に逆戻りするのではなく良き方向に力を使ってもらえる様に導ける様なイベントになれば良いな、と強い思いを持って今回「渋谷パルコ」でやりますので、どうかよろしくお願いします。

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