白シャツこわい~MBラボ落語~

白シャツこわい


今日もMB LABOのメンバー、通称ラボメンはZOOMでオンライン飲み会を開催している。

A:シナプス時代からの古参。みんなのまとめ役
B:元ECM。「たかが服のこと」が口癖。
C:最近youtubeでMB氏を知った。オシャレ勉強中。
E:自身のファッションスタイル強め。王族の末裔との噂。
F:コミュ力高め。陰キャにマウントとりがち。


A「今夜もこうやって服好きが集まったわけだが、共通点はあれどそれぞれの好みや個性ってもんがあると思うんだよね。」

B「そうだなぁ。一応みんなMBさんの理論に同意してはいるものの、1000人前後の人間がいるわけだ。全員がまったく同じ服を着て、書籍の握手会に集まるところを想像したらおかしな状況だな。」

C「MBさん自身も『正解主義に気を付けろ』と言っているし、エンゲージメントの重要性はあれど、自身への盲目的な信者は求めていないみたいだしね。」

E「俺もラボにいるものの、MBさんの言うこと全然聞いてないよ。いくら胴長短足の農耕民族日本人にはドレスとカジュアルのバランスが7:3がいいと言われても、やっぱりおれはアメカジが好きだし、デニムのセットアップこそ俺にとっては勝負服だな」

F「でもそれじゃあハマショーになっちゃうじゃん。ノースリーブのデニムジャケットとかピンクのニットベストとか、イメージの強いものは着こなしが難しいの知ってるだろ?そんなこだわり持っているから、夕べ眠れずに泣いていたんだろ?」

E「言葉を慎みたまえ!流行りの服は嫌いなんだ、私をあまり怒らせない方がいいぞ!」

A「まぁまぁ、お静かに。Aの気持ちもわかるが、どうか手を引いてほしい。」

B「そうだぞ。確かに、冠婚葬祭なんかは最低限の身だしなみはあるだろうが、ファッションはもっと楽しくあるべきだろ?自由にしゃべろうぜ。他のやつは何か好きなアイテムとかある?」

C「俺はやっぱり『黒スキニー』かな。モードを語る上では『黒の衝撃』は大きなものだけど、俺にとっての黒スキニーは『黒スキニーの衝撃』だったね。」

A「あ~、それみんなよく言うよね。俺は黒スキニーにそこまでの思い入れはないけどなぁ。Fはどう?」

F「お前ら本当にわかってねぇな。いつまで黒スキニーに頼ってんだよ。トレンドとか分かってる?もうノームコアは下火なの。デコラティブな着こなしにはアクセサリーは必須。布と糸だけがファッションじゃないんだぜ?」

B「ん~確かにFの言うことも一理あるかな。小物系は長く使えるし、いい意味でハッタリが効くから、初心者こそ小物は重要かもね。」

C「そうは言っても、なんか苦手でね。『俺、オシャレしてます』感があって抵抗あるんだよね。」

A「確かに、好きなものもそうだけど、苦手なものもそれぞれあるよね。それについてはみんな何かある?」

F「おい、どめ(著者)!お前さっきから全然しゃべらねぇな。なんか言えよ!」

Dome(以下D)「あぁごめん。苦手なものだったね。そうだなぁ、僕は『白シャツ』が苦手かも・・・。」

E「おいおい、白シャツって黒スキニーぐらい定番じゃねぇか。あのMBさんも『日本のメンズファッションで、白シャツは是非持っておくべきアイテムだ』と言ってたはずだろ。俺はアメカジがベースだからどうしてもカジュアルになっちまう。だから、オックスフォードの白シャツとか最高だけどな。」

D「うん。僕も本当は白シャツが好きなんだ。無印のブロードは3枚持ってるし、ユニクロのオックスは2枚、EFCやジャージシャツもあるし、GUのオーバーサイズ、coenや鎌倉シャツなんかもあるし、クローゼットは白シャツだらけさ。」

B「よく分からないな。苦手なら買わなきゃいいのに。」

D「アイテム単体だと、白シャツこそ至高だと思ってて・・・つい買ってしまうんだよ。
でもいざ着ようと思うと、着こなしが難しくてね。少し前までは、着こなしという概念があまりなかったから、テンプレ通りに黒スキニーと合わせてたんだけど、今のトレンドからすると少し地味だろ?スラックスやワイドパンツで変化を付けようにも、Fの言う通りイメージが学生服みたいになるしさ、アクセサリーってのもCと同じで抵抗感あるんだよ。
仕事着感が出ないように淡いデニムと合わせてみても、上下とも膨張色になるとなんか不安になるんだ。『膨張する地味な仕事着』って何を合わせたらいいか分からなくなって、結局着なくなってしまったんだよね。
あ~もう、色々考えるだけで怖くなってきた。もう退出するね、じゃあね」

A「え?出てっちゃった?なんか悪いことしちゃったかな・・・」

F「何なんだあいつは。それよりいいこと聞いたな。あいつ白シャツが怖いらしいぜ(笑)
あいつの家にみんなで白シャツ送ったら面白いんじゃね?」

E「面白そうだな!俺、あいつの住所知ってるから、みんなそれぞれでZOZOで買っておくろうぜ!」


そして各々が考える、白シャツらしい白シャツを送った。
その中身は、ブルックスブラザーズラルフローレンオーラリーハウエルなど多岐に渡った。


A「俺もついつい流れに乗ってしまったけど、やっぱりちょっと心配だな。一度家に行って様子でも見に行こうか。」

F「そんなこと言って一番楽しんでないか?(笑)まぁいい、みんなで行ってみるか。」



そうこうして、みんなでDの家を外から覗いてみる事となった。



B「おい、見てみろ!あいつニコニコしながら白シャツを使った一人ファッションショーしてるじゃねぇか」

C「しかも、袖をまくってみたり、片側だけタックインしたりして着こなしを楽しんでるみたいだよ。」

F「なんだと!ふざけやがって。ちょっと行ってくるわ!」
F「おい、D!お前俺らにウソついてやがったな。ふざけやがって、本当は何が怖いか教えろ!」


D「う~ん、今は白シャツを適度にカジュアルダウンさせるワイドデニッスラが・・・こわい。」


(この文章はすべて創作であり、実際のラボの様子ではないことをご承知ください。当然、Fのような人物や人の嫌がることをするラボメンはいないので、次期募集の際は是非入会することをオススメ致します。)


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