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ピロシキーズの2人に憎悪をぶつける人たち ~うにぽん怒りのリポート~

私が好きでよく見ているYouTuber、ピロシキーズのブラちゃん・アレちゃんが上げていた動画を見て、(2人にしょうもないコメントを投げかける人たちに対し)怒りと失望の感情が込み上げてきたので、ちょっと書かせてください。

※ピロシキーズは2人ともロシア生まれですが、小~中学生の頃に家族とともに日本に移住。以後、日本の学校に通い関西弁ペラペラで、今もずっと日本で仕事をし生活しています。私は『ロシアルーツのある ‘日本人’』だと勝手に思っています。

動画はこちらです。

前半の話については、
「えーそんなこと言われるんや。育ったのも拠点を置いてるのも日本やし、日本語で日本人向けの発信を続けるのは別に普通やろ。そんな簡単な話ちゃうわ。あと、保身がどうとかよりもまずは動画を通して表現してること自体が大事なことやん。」
と思いつつも、まあまあ言われがちな点ではあるかなという感じ。

ただ、6分17秒あたりから話されている、もう1つの『視聴者から多く寄せられた意見』の内容は、同じ日本人として許せませんでした。

動画に広告がついていることが不快だ
戦争を利用して再生数を稼いでいる、知名度UPに利用している

(ピロシキーズが動画収益を赤十字に寄附していることに対して)動画の収益じゃないと寄附しないんですか?

というような意見がたくさん寄せられているそうなのです。
私が元々ピロシキーズのファンで、2人の人柄がよくわかっているからこそ余計にカッカしてしまうというのもありますが、1つ1つ反論させていただきます。


1.そもそもロシア人に憎悪を向けてどうする

こういうしょうもないことを言っている人たちの根底にあるのは、「お前らロシア人なんだからのうのうと生きてんじゃねえよ。反省しろよ。」という意識です。
まずそもそも、ロシア人あるいはロシアに関係があるものに対して短絡的に憎悪を投げつけるその考え自体が、大きく間違っています。

ロシア人に向けられる憎悪については過去記事で書きましたが、再度ポイントを載せます。

  • 『国家』と『国民』は不可分です。と同時に、別物でもあります。

  • (経済的損失や国際政治上のハンデを結果的に国民が背負わざるを得ないということはあったとしても)国家の起こしたことの責任がすべて国民にあるというのは極論です。

  • 国家への憎しみを国民にそっくりそのまま向けるのは、物事に対する解像度が非常に低く幼稚で残虐な行為です。(その国家から直接的な被害を受けたりした人を除く)

  • 国籍だけで人を判別して攻撃したり同情したりするのは、戦争の再生産です。国籍ではなく同じ『人間』として連帯することが必要です。

勧善懲悪ストーリーで頭がいっぱいになっている人は、いったん顔でも洗ってきてください。
感情が高ぶるのはある程度仕方ありませんが、冷静な視点も同じように高ぶらせましょう。


2.反省の証として経済的利益を洗いざらい放棄しろ、という悪いしきたり

「YouTube動画に広告をつけているかどうか」というのはピロシキーズに限らず度々話題になるのですが、そんなに大事なことですか?と私は思います。
YouTuberは楽な仕事だと思っている人がいまだに多いのかもしれませんが、飽きられないように日々コンテンツを生み出し続けないといけないし、編集にもかなり手間がかかるし、機材を買ったり編集者やカメラマンを雇ったりするのにも当然お金はかかる。
動画の広告収益は「儲け」というよりも、どちらかというと「運営資金」として不可欠なものだと私は認識しています。
なぜ私たちが無料でこんなにもたくさんの動画を見られるのか? YouTubeというプラットフォームの収益構造をちゃんと理解した上で利用すべきです。

※余談になりますが、私が広告を気にしない(いや気がつかないというべきか)理由としては、YouTube Premiumに課金していることも大きいのかもしれません。。ただ一言言わせてもらうと、動画を日常的によく見るのならPremiumの方が圧倒的に快適なので、けちけちせずに今すぐ入った方がいいですよ。Googleの回し者ではありませんが。
あと、動画だけでなく(音楽視聴スタイルやジャンル等のこだわりが少なければ)YouTube Musicで音楽も聞きまくれるので、わりとコスパも良いです。


それから、この章のタイトルにもしていますが、『稼ぎがある=反省していない=誠意がない』みたいな思考回路いいかげんやめませんか・・・。
なんというか、お金で回っているこの資本主義社会と非常に相性が悪いし、悪いしきたりだと思います。
いや、事業を続けていくため、生活していくためにはお金が当然必要でしょ、という単純な話なんですが。

動画のコメントにもありましたが、金儲けがよくないことだという価値観がまだ根強い影響なのかもしれません。
もちろん儲けている人や優秀な人はちゃんと社会に還元すべきだ、というノブレスオブリージュみたいな考え方はあった方がいいと思います。
ただ、不正まがいの手法で利益を得ているのならいざ知らず、仕事でそれなりのものを提供しているのであれば相応の対価を受け取るべきですし、きちんと対価を受け取る権利はすべての人にあります。
世の中的には身を削ってでもお金を受け取らない姿勢が喜ばれたりしますが、いや人権は?生きていくためのお金は?って感じですよ。

国会議員や地方議会議員などでも、報酬を引き下げます!身を切る!みたいなキャンペーンが一定の支持を集める光景が珍しくありませんが、私はそんなことしてたら優秀な人がますます議員になりたがらなくなるのでやめてほしいです。ちょっと報酬削ったくらいじゃたいした額になりませんし。
どちらかというと、報酬額はそのままでいいから、その分もっとまともに働いてくれって思います。


3.日本人は善⇔偽善のアンテナが敏感すぎる

最後にこれです。
13分44秒でブラちゃんが『やらない善よりやる偽善』と言っているのを聞いて、私はまた熊本地震のときの出来事を思い出しました。

当時、熊本に対する被災地支援の寄附が広がる中で、とある芸能人一家が寄附額の載った振込明細を持つ写真とともに「○○円寄附しました!」みたいなSNS投稿をして、
たしかそれに対して「売名だ」とか「好感度を上げるために利用するな」のような声が上がったんですね。
それを見て私は、「売名でも好感度UP戦略でもなんでもいいじゃん、そこ重要じゃないよね。なんにしたってそのお金は確実に被災地に届いているし、それを見て自分も寄附しようとする人も出てくるだろうし、自分が被災者なら感謝すると思う。」
と強く感じたのを覚えています。

そんなとき、『やらない善よりやる偽善』という言葉をたまたま目にして、ストンと腑に落ちたことがずっと記憶に残っています(たぶんこの発言)。
もちろん、何の計画もせず軽装備・宿/食糧なしで災害被災地に駆けつけるだとか、途上国支援だと言って一方的に古着を送りつけたりするなど、気をつけないとよくない方に影響してしまうことはあると思います。

ただ1つ言いたいのは、善か偽善かを考えようとするときに、今それをジャッジすることが本当に大事で本質的で優先度の高いことですか?と問い直してほしいという点です。
今回のピロシキーズの動画に関して言えば、広告がついているかどうかは正直どうでもよくて、それよりも2人がどういう表現(意思表示や発信という意味)をしているか、どういう行動をしているかが大事だと私は考えます。


以上、うにぽん怒りのリポートでした。


'22/04/03 最終更新

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