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#シッダールタ

シッダールタ(抜粋)

P12 サーマ・ヴェーダの奥義書 《なんじの魂は全世界なり》 13 「最上の賢者のいっさいの知識がこの魔術的なことばの中に集められていた。ミツバチの集めたミツのように純粋に」 51 「覚者仏陀を残し、ゴーヴィンダを残し、林園を去ったとき、シッダールタは、この林園に自分のの今までの生活も残り、自分から離れたのだ、と感じた。自分の心を満たしきっているこの感じを、彼はゆっくりと歩いて行きながら、思いめぐらした。深い水をくぐるように、この感じの底まで沈み、原因のひそんでいるところに

『シッダールタ』(ヘルマン・ヘッセ)読了

『デミアン』からヘッセにハマってしまった私にとっては、案の定好きな物語だった。ヘッセの著書は各出版社から出版されているが、なかでも新潮はていねいな中に少しこってりとした形容を感じる。しかしこれが個人的には心地よい。 シッダールタは釈迦の出家前の名前であるが、ここでのシッダールタは実に人間らしく見えた。仏陀よりもずっと人間臭く、苦悩し、欲にまみれ、快楽を求め、恐ろしく深い自我に堕ち、愛を知り、また自分の人生を見つめ直した。その過程は修行を繰り返していた前半を越えた後半に、それ