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絵本と本の壁、再び。

マーケットから見て

いわずもがな、絵本も一般書も本である。書籍という大括りの中に児童書というジャンルがあって、その中に絵本というカテゴリーがある。児童書全体の約40%が絵本というデータがあるので、ひとつの集団を形成していると言える。

ちなみに出版不況が叫ばれて久しいが、その市場規模は、紙媒体だけに限れば、現在1兆2千億円で、最盛期の半分以下らしい。そのうち絵本の売上は今も微増していると言われてるものの、300億円強でマーケット規模が意外と小さい印象も持つ(児童書全体としては800〜900億円程度)。

書店の立地や客層によって、棚割はまちまちではあるが、多くの書店で絵本コーナーもしっかりと作られている気がするので、全体の3%程度の売上シェアを考えると絵本の存在感は大きいようにも思う。

絵本と本は混じり合わない?

この場合の本とは一般書を指しているが、書店に置いては、絵本と本は、別ジャンルとして、陳列されていて、それが聖域を生み出し、立ち入りしにくいムードを作っているのではないか?というようなことを前回は書いた。

今回は、別の視点から混じり合わない関係を読み解きたいと思う。

絵本を読む人は、本に興味がない?

最近、ドンハマ★として運営しているfacebookグループで、あるアンケートを実施した。

この1年間に読んだ書籍のうちどれくらいが絵本だったか、感覚値で答えてもらうというものである。約70名から回答があったが、結果は以下の通り。

【絵本の割合】
①100-90%と答えた人→5人(7%)
②89-70%と答えた人→29人(42%)
③69-50%と答えた人→12人(18%)
④49-30%と答えた人→13人(19%)
⑤29-10%と答えた人→3人(4%)
⑥9-1%と答えた人→6人(8%)
⑦0%と答えた人→1人(1%)

このグループには、登録者が約2500名いて、「ドンハマ★の絵本情報局」という名の通り、絵本に興味関心のある方が相当数で、回答にバイアスが掛かることは予測していたが、遥かに予想を超えていたと言える。

約半分の人が読んだ本の70%以上が絵本と答えたのである。

私自身は、約3割くらいが絵本と自覚しているのだが、どちらかと言えば少数派(絵本の割合が少ない人)になっているのである。

自分にも似たような記憶があって、数年前は読む本のほぼ100%が絵本であった。その頃は、絵本への興味関心が相当高いというのに加えて、正直、一般書を読むことが面倒くさい、苦痛であるという感覚を強く持っていたことを思い出す。

今回、回答を寄せてくださった方が私と同じ感覚かどうかはわからないが、絵本を相当数読むことで、一般書から遠のく傾向(心理的抵抗)があるのではないかと推察できる。

とすれば、逆の現象も当然に起きているはずだ。

なぜ絵本がいろんな人に広まらないか?

私の推論はこうだ。

絵本好きは、必ずしも本(一般書)好きではない。逆に、本(一般書)好きな人も絵本に興味があるわけではない。

絵本とコミックの間にも似たような関係があるかもしれない。ちなみに私はコミックを読むのが苦手だ。集中力を要求されてものすごく疲れるのだ。

これが「スポーツに興味はあるけど、絵本は興味ない」なら、なるほどと思わなくもない。が、同じ本にもかかわらず興味持ったり持たなかったり。いやそれも当然といえば当然で、不思議なことでもないのだが、でもちょっと「もったいない」。そんな気がしてならない。

絵本好きは、もっともっと一般書を読め良いし、一般書好きももっともっと絵本を読めば良い。コミックも含めてね。

そういう環境作り(場作り)ができれば、絵本がもっといろんな人につながる可能性が広がるはず。実は、ちょっとアイデアもあるのだが、実現できると良いなと思う。

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