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オレらしくない方法で生きていくことを選んだオレは偉いな

大学生のころ バンド活動をしていた時期があった

他のバンドはともかく 我々は特にキャーキャー言われることもなくて
結構ひっそりと でもみっちりと バンドをやってた

バイトが終わった深夜に集まって練習した。
みなそれぞれ 演奏に好きなバンドの要素が入る そこから外れようとする
囚われない様に心がける それの繰り返しで グルーブが出たり 出なかったりの繰り返し

月に3、4回はライブをする 失敗したり成功したりする

オレはドラムだから 一番後ろからフロントマンを見て フロアの客を見て
フロントマンが出したいテンションと お客さんのテンションの間の
ちょうどいいテンションを見極めて ハッとさせることを 心がけてた

web誌の編集者に気に入られ 取材を受け記事にしてもらったこともあった
当時はyoutubeの走りで ファンの方が撮ってupしてくれたりもした

オレがバンドをはじめたのは ベースのAさんと音楽がしたいからだった

Aさんは同い年だけど オレが浪人して大学に入ったので
1学年先輩で すでにバンドしていた 素人から始めたらしく
正直 上手いわけではないんだけど 弾いている姿が格好良かった
小さな体で ベースを持って 楽器ととても仲よさそうに弾いた

オレは遠くからAさんを眺めながら 違うバンドを数年やって
そこそこ仲の良かったギタボのBに Aさんとバンドをやろうと誘った

それで オレ、ギタボのB、ベースのAさんというバンドが出来上がった

オレはAさんと音楽の趣味が合った 好きなバンドはそれぞれ違えど
方向性が大体似ていた Bはまた違う感覚だった様な気がする
なので曲を仕上げるときに オレとAさんが持っていきたい感じと
Bとで異なっていて そこの歪みは幾度も問題になった

Bは社交性が高く 無口でシャイなオレとAさんをつないでくれた
オレとAさんはサシでそこまで話さなかった 会話が詰まれば
オレはタバコを吸って Aさんは缶酎ハイを飲んだ

そんなに会話しなくても オレたちはバンドで充分会話してた
ライブに行けばハコのスタッフが間に入ってしゃべるし
二人きりで というのは1度もなかったかもしれない

就職活動をほとんどしなかったけど なんとなく受けた会社で決まって
社会人になって少し距離が離れたけど 数年はつづけて 自然消滅した。

先日、数年ぶりにAさんとあって ご飯をたべることになった
風の便りで近くに住んでいることは知っていた

角打ちみたいな立ち飲み屋をセレクトすると
昔のイメージ通りだと言われた

Aさんは家族をもって 仕事は大変だが何とか日々を暮らしている様だった
オレも同じく家族をもって つつましながら日々を暮らしている事を語った

オレたちはもう楽器をもっていないけど
サシで会話できる大人になっていた

そんな生活を語ると Aさんからオマエらしくないな と数回言われた
オマエはもっとアフリカとか行ってると思ったよと

オレは オレらしくない方の人生を選んだんだなと思った
オレらしくない方で生きていくことを選んだオレは偉いな と思った


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