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“障害の伝え方”を考える

 はじめまして。東京藝術大学 Diversity on the Arts Project(通称:DOOR)受講生の細尾と申します。

 DOORとは「アート×福祉」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクトで、東京藝術大学の学生のみならず様々な専門を背景とする社会人が受講しています。

 今回、この記事を作成することになったきっかけは、ケア実践場面分析演習という実習です。同実習では、DOORの受講生たちでいくつかのグループに分かれ、福祉施設を訪問したり、マイノリティと感じている人々と交流する中で、学んだことを形にまとめ、2020年2月に発表・展示します。

 私達のグループは、石田祐貴さんと一緒に実習を行うことになりました。石田祐貴さんは、トリーチャー・コリンズ症候群という疾患の当事者です。疾患による特徴的な顔貌と聴覚障害を持つ石田さんは、大学院で障害科学を学ぶ傍ら、当事者として講演を行っていらっしゃいます。

 石田さんはDOORでも教壇に立たれ、見た目、機能を理由とした差別・偏見によって生じる「見た目問題」について講演されました。

 そんな石田さんと初ミーティングの日、自己紹介の後、グループの皆で雑談を膨らませるうちに、この実習で「障害の伝え方」について扱いたいという話が出ました。

 きっかけは、石田さんが講演で関わった企業の方に「もし石田さんのような方が入社する場合、そのことをどう社員に伝えれば良いか?」と尋ねられたという話でした。石田さんは「自分の場合は、聞こえづらい点については配慮してほしいけれど、見た目が他の人と違う点については、社長が朝礼で話すように公式にアナウンスしてほしくない。みんなかしこまってしまうから。非公式で自分のWeb記事なんかを見せて、今度この子が来るよってくらいでいい。」とおっしゃいました。このように「伝え方」によって、社員みんなが緊張するか、素直にあるがまま受け入れるか、異なってきます。

 最近、横浜市のバスでこんな広告を見かけました。「あたたかく見守ってください 障がいからくる様々な行動があります。」ぶつぶつ独り言を言う行動、大きな声を出す行動などを、その理由と共に丁寧に説明しています。これもまた上手な「伝え方」だと思います。(横浜市港南区のホームページでデータを配布していらっしゃいます

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 こうした雑談を通して、私達は障害について他者に理解してもらうための「伝え方」をテーマにしようと考えました。石田さんと一緒に、見た目問題やトリチャー・コリンズ症候群について伝えるポスターを作ったり、講演会を企画したり、いろんな「伝え方」を試してみようと思います。また、チームの話し合いの過程をnoteにまとめて、より多くの方に向けて発信していきます。チームの皆でより良い「伝え方」を探り、その経過や結果をまとめたものを、2020年2月の最終発表会で発表したいと考えています。

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