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「ついやってしまう」体験のつくりかた感想

書籍「ついやってしまう」体験のつくりかた

UXの、体験設計の書籍として大きな話題を読んでいる「ついやってしまう」体験のつくりかた。
一読して、これはUXの入門書として実に優れた一冊だと感じた。
この本の優れている点は、ざっとまとめると以下のとおり。

・「手にとってもらう」「遊び続けてもらう」そして「成長してもらう」たの体験をどうデザインするか、実際のビデオゲームを例にわかりやすく解説されている
・図解が普段に用いられており直感的に理解しやすい
・この本自体が「直感・驚き・物語」でデザインされており、実際つい読み進めてしまう。そのため書かれていることへの納得感がある
・軽量で、2hもあればエッセンスを理解した上で読了できる

メインとなるのは「直感のデザイン」「驚きのデザイン」、そして「物語のデザイン」だ。

たとえばスーパーマリオブラザーズというゲームでは、ユーザーは何も言われなくても「右に進めばよいのだろうか」と仮説を立て、実行し、クリボーや土管の存在でその仮説があっていることを確かめ歓喜する。まさにアフォーダンス・シグニフィアを極限まで研ぎ澄ませたものがスーパーマリオブラザーズなのだろう。

(アフォーダンス・シグニフィアについては上記書籍に詳しい)

そしてドラゴンクエストというゲームでは、本筋とは関係ないカジノだったり街の住民との会話だったりで「こうくるだろう」という仮説をあえて裏切る驚きのデザインがなされる。これにより、飽きと疲労が回避される。

物語のデザインについては、翻弄させたり共感させたりしながらユーザーを成長させていく、という点が印象的だった。

ここまでの説明でわかるように、この本は基本的にビデオゲームにおけるUXについて論じられている。しかし、その本質はビデオゲーム以外にも通用し、有効なものだ。

「ついやってしまう」を活用するには

本来、こういうnoteのような場の役割としては「書籍が対象としているところの外へリーチさせる」ものだろう。
今回の書籍でいうと、メインで語られているのはゲームに対してである。
であればゲーム以外へどう応用するか、そこがこういった二次媒体に求められる情報だ。

しかし、この書籍に死角はなかった。

実践編として、以下のような項目への応用が紹介されている。

1. 考える/企画
2. 話し合う/ファシリテーション
3. 伝える/プレゼンテーション
4. 設計する/プロダクトデザイン
5. 育てる/マネジメント

前半を読み進めながら「よーし、これをプロダクト開発に応用したらどうなるか考えよう」と思っていたらこれである。
少しだけ紹介する。

・プレゼンテーションにおいて、「つぎに」という接続詞は次に来る内容が想像できない。なるべく避ける
・プロダクトでは、初めてつかうユーザを優先する。そもそも初回使用をうまくくぐりぬけられなければ、2回目はない

前者はかなりピンポイントなノウハウだし、後者はなぜそれをやらなければいけないのか、という本質に触れている。

冒頭のメリットで伝えたように、たかだか2hもあれば読了し、エッセンスをつかめる良書だ。つい使ってみたくなるプロダクトを作りたい、つい使い続けたくなるプロダクトに成長させたい、そんな想いを持っている方はぜひご一読ください。

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