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XP祭り2022に参加してきました

はじめに

バタバタと日常を過ごしていたら、いつの間にか開催から数日経ってしまっていました。あの楽しかった一日のことを忘れてしまう前に書き留めておきます。

今年もオンラインで開催されたXP祭り。オンラインになってからは皆勤賞です。

「XP」と銘打ちながらも「プロポーザルは全て通す」というポリシーのもとにあらゆるテーマのセッションが集うXP祭りですが、それでもXPの精神が通底していると感じさせる不思議なマジックがあります。
今年、その魔法の杖をふるっていたのは、間違いなくキーノートの懸田さんその人でした。

XPの旅

懸田さんによるキーノートは、今回が初出ではありません。昨年のXP祭りで懸田さんが話した「忘れられたXPer」がもとになっています。

私は、去年この「忘れられたXPer」をリアルタイムに観ていました。今回の「XPの旅」も前半部分はほぼこの「忘れられた…」をなぞっていたかと思います。
ここがカンファレンスの妙というか不思議なところで、一度聴いたはずの話なのに手触りが違うんです。これは、リアルタイムに流れるDiscordのチャットによるところが大きい。そして他の人が懸田さんの話にどう反応しているかを垣間見ることで、自分自身の反応も一年前とは変化していることを感じる。

後半はパワーとフォースの話で、ダニエル・ピンクの内発的動機づけを思い出しながら聴いていました。自分にとってパワーだったものは他者にとってフォースになりうる。アジャイル、XPにパワーをもらい行動した先駆者がその行動を広めようとしたときに、もしかしたらそれはフォースになるかもしれない。
組織においてアジャイルを推進している身としては、深い内省を促すような印象的な話でした。

コードと組織の不吉な匂い

懸田さんのキーノートのあとは流れるように平鍋さんのセッションへ。だって聞きたいじゃない、組織の不吉な匂い。

私がアジャイルに出会ったのはアジャイルサムライ。だけど、実はその前に「アジャイル」というものは知らない状態で出会っていたのがマーチン・ファウラーの「リファクタリング」でした。(リファクタリングがアジャイルの文脈に息づくものである、と知ったのはずいぶんあとのこと)

当時、サイクロマティック複雑度が100を超えるような神々と格闘していた私にとって「リファクタリング」はバイブルそのもの。そのリファクタリングの「不吉な匂い」を組織に当てはめて考えるという試みは、もうそれだけでエキサイティングなものでした。

そんなこんなでそもそもの期待が高かったわけですが、そんなわたしのちっぽけな期待よりもずっと中身が濃く示唆に飛んだ内容でした。本筋ではないけれど、Stable Diffusionで生成した画像を資料に活用したり、参加者も巻き込んで「不吉な匂い」を挙げていったりといったアグレッシブな平鍋さんの姿勢にかなり刺激を受けました。
だって平鍋さんって、日本のアジャイルの第一人者ですよ。そんな方がいまでも新しい試みをしながら、学びながら進んでいる。僕らと学ぼうとしている。自分が学ばないでどうするんだってね、勇気をもらえるんです。

日本におけるアジャイル開発の認知度の変遷を情報処理技術者試験の問題から考察してみた

午後一発目は天野さん。まず視点が面白い。
懸田さんいわくアジャイルは2013年くらいに国に認められた、とのことでしたが、確かにその前後で広がりを見せていた、ということが試験問題から垣間見えました。

しかし、情報処理技術者試験でもあたりまえにアジャイルが扱われるようになった現代でも「組織の中でなかなかアジャイルを広められない」と悩む人が少なくないのは、なぜなんだろう。そんなことに思いを馳せるセッションだった。

アジャイルな働き方の本質 〜ドラッカーとXPからの考察〜

気がついたらESMの方の話ばかりを選んで聴いていた。それだけXPとESMのつながりが深いということか。

木下さんの話は、テイラーやフォードまで遡って「働き方」の変遷を紐解くもので、とかく悪し様に扱われるテイラー主義やフォード、そしてウォーターフォールをあくまでフラットにとらえて解説していた。
この文脈でこれらの名前を出したときの反応を予見してか、くどいほどに「ディスっているわけではないです」とエクスキューズしていたのが印象的だった。木下さんのフラットな語り口からディスりを感じるような人はいないと思うが、メッセージが正しく伝わるよう腐心されているのがひしひしと伝わってきた。

もちろんドラッカーの話もでてきて、比較的新しい「ネクスト・ソサエティ」含めて引用されていた。ドラッカーのことはちょっとかじりつつ咀嚼しきれていないので!あらためて読み直してみようかなと思った。

おいしいドッグフードの食べ方

私のターン。今回はドッグフードを食べる話。決してマッドマックス2の話ではなく、いわゆる「ドッグフーディング」についての体験談について話した。

ここ最近はタイムマネジメントやOKRについて経験と知識から体系化を試みるセッションに取り組んできた。だが、今回は9割方、体験の話だ。とにかくドッグフーディングの経験が楽しくて、それを伝えたくて今回話すことにした。

ドッグフーディングについてはキーノートで懸田さんも触れていた。それこそドッグフーディングは「忘れられたもの」だと思っていたのでうれしくなったし、であれば体験だけでなくもっと体系化を試みてもよかったかなー、など逡巡しつつ、その時点での全力はつくしました。

ドッグフードといえばマッドマックス2なのでコスプレして登壇

ビブリオバトル

XP祭りで楽しみにしているのが毎年ラストに開催されるLT大会と、そしてこのビブリオバトル。
この界隈の人たちが感銘を受けた書籍が面白くないわけがなく。

そんなビブリオバトルに、今年は縁あって本を紹介する側として参加させていただきました。

色んなところでOKRのバイブルとしてお勧めしまくっているMeasure What Mattersを片手に乗り込んだんですが、なんとチャンプ本に選ばれました!

このビブリオバトルについてはまた別noteで詳しく書きます。

LT

XP祭りの真髄はLTにあり。こればかりは参加しないとわからないのでぜひ参加して体感してみてください。

個人的には、えわさんのアジャイル引っ越し、木下しんの職人芸的LT、およべさんの新人研修の話が印象的だった。

まつりのあと

土曜日の朝から集まった人々は、まず間違いなくパワーで動いている。「きみ、XP祭りにいってきなさい」なんていうフォースで動かされているわけではない。

これって、コミュニティにいると当たり前なんだけど、とても得難い環境だ。全員が全員、主体的に関わっているんだから。

この全員が主体的に関わるという姿を、身の回りにも、組織にも、大きなことをいうと国単位で作っていきたい。そんなだいそれたことも夢見ちゃうようなお祭りが、XP祭りだ。

来年もいい夢みよう。

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