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なぜわかってくれないんだ!!という嘆き〜「他者と働く」が示唆するもの〜

信念をもった人々

マネジメントやチームビルディングについての相談を受けることがある。

「なかなかチームがまとまらない」
「アジャイル開発を進めたいのに周りが乗ってこない」
「うまくコミュニケーションをとれないメンバーがいる」

こういった悩みを抱えているマネージャーは、裏返した状態が正だという信念をもっている。
その信念に基づき行動する彼らは最大限努力するが、なかなかその理想に届かない。
彼ら目線ではメンバーが反駁しているとさえ感じる瞬間もあるだろう。

そして業を煮やした彼らは叫ぶ。
「なぜわかってくれないんだ!!」

なぜわかってくれないか、をわかる努力

アジャイル開発という手法がある。
従来型の開発手法が抱えていた問題と向き合い、柔軟性と敏捷さをチームに内在させるための手法だ。

実際に導入している現場も増えてきている。
一方で、導入したいと期待するメンバーが在籍していても、なかなか導入まで至らない現場もある。

アジャイルの勉強会に行けば、必ずといっていいほど「理解のある現場がうらやましい、うちは聞く耳をもってくれない」「うちは特殊だからアジャイルむいてないんですよ」といった声が聞かれる。

わざわざ、「アジャイルを勉強しよう」という会で、である。

ここでアジャイルソフトウェア開発宣言を見てみよう。

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プロセスやツールよりも個人と対話を、とある。
対話というものを重要視する価値観をもったアジャイルを推し進めたいのであれば、改めてこの観点に立ち戻り、地道な対話を続けていくのはどうだろうか。

相手の価値観が違う?そう、それはそうだろう。

他者と働く

最近出版された「他者と働く」という書籍のサブタイトルには「わかりあえなさ」の文字が躍る。

一見、悲観的な物言いだが、本書ほ「自分と相手は価値観が異なる。まず相手の価値観を知り、そこから自分の価値観を眺め、橋を架けよう」という越境を呼びかける前向きなメッセージを放っている。(本書では、その価値観や視点を「ナラティブ」と表現している)

冒頭に戻ると、マネージャーたちは信念がゆえに悩み、分断を感じる。相手が同質性の高い人間で、あまつさえチームビルディングなど経たあとであればなおさら「なぜわかってくれないんだ!!」と感じることだろう。

しかし、その分断は反発や無理解によるものではない。そもそも置かれている状況、価値観が異なるのだ。

ナラティブの異なる相手と対話する。相手からみた自分の信念を眺め、橋を渡ってゆく。もしかしたらアジャイルソフトウェア開発宣言にある「対話」の前提としては、この「わかりあえない」溝を超えるという「信念」が込められているのかもしれない。

わかりえなさに立脚し、わかりあっていこう。

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