改札の前でふと、嫌な気配に気づく。感じる。俺は今、スタンド攻撃を受けているッ!!! 『ジェイル・ハウス・ロック』その能力は『3つまでしか覚えられない。4つ目を覚えたら1つ目を忘れてしまう』今回のはさらに強力な攻撃のようだ。 確実に、歯を磨く前に自分に言い聞かせた。『今日は電車に乗るから定期を財布に入れておこう』と。だがッ!!!定期は今ッ!!!机の上にあるッッ!!! 自分が2個前に思いついたことをよく忘れるのに気づいたのは、大学3年の時だった。以降は思いついたらスマホのメ
久しぶりに実家に帰ると、数ヶ月も会っていないというのにお利口さんな毛むくじゃらが迎えてくれる。 よーしよし、わかったわかった。 何がわかったのかはわからんが、愛くるしい圧にただ求められるままに撫で回す。 旅行の土産を置いて、少々の両親の喧嘩の仲裁をして、また家を出る。 ズボンについた毛をコロコロと。 している間からまた「ハッハッ」と寄ってくる。 かわいい。 しかしだめだ。 31歳の独身男性がペットなど飼ってしまったら。 "終わり"が、始まってしまう。 悲しきピエロ
17:30のチャイム 30代に突入してからもうすぐ半年が経つが、思ったよりも若い。 見た目がとか活力がとかいうポジティブなことでもなく、幼稚だとか成長してないとかネガティブなことでもなく、ただ30歳は想像していたよりもずっと若かった。 昔から年齢を重ねることへの恐れもなければ、独身でいいやとはなから誰かと共に生きることを諦めている私にとっては、1年が過ぎることの実感は自分の中にはあまりない。 むしろ子を持つ親のように、学年が上がる学生のように、外部の変化によって「1年」と
錆びついた無線機が、誰かの救難信号を受信する。 『はて、そんな機能はあっただろうか』 親指か、人差し指か。確かにこの世界にいる誰かの「生きる」という活動の痕跡が通知される。 「生きたくない」という気持ちで彷徨い歩く若さが、生きているからこそ体中を巡る電気信号に変換され、俺に届く。 これから書く文章はとても長くなる。 そして、解釈によっては読むのがきついかもしれない。人生を日々考え続ける31歳の俺の文章は、過去のを読んでもらえばわかるが、言葉が鋭利だ。 だからこそ『君が少し
人は迷う。 目の前の2つ以上の道を、時間をかけてじっくりと選ぶ。 蛍の光が鳴る頃に、迷った分だけの時間を加味し、 さらに重要な決断となった目の前の分岐に人生を賭ける。 『選択肢』 その魔力に、人は翻弄され続ける。 再善を尽くす 意思決定の速さは、きっと強みだ。 それが根拠を伴っていて、己の理念に準じているのであれば、 そのスピードは強さに変わる。 短距離走を駆け抜け、長距離走を走り切り、総合タイムを競うこの世界の中では、 時間を有効に使い、先手を打っていくことの意義
誰かと誰かが出会う。 それは奇跡とも言えるし、偶然とも言える。 何かが起きるのかもしれないし、起きないかもしれない。 自分のすべては自分にしかわからないと思いながらも、 実際には自分ですら自分を理解していないことの方がずっと多い。 世界はたぶん、ひとりひとりの表面『face』が ほんの少しだけ接し合うことで出来ている。 私が向き合うこの画面すらも、どこかの世界とのインターフェイスなのだろうか。 こんな時代になったから、人と直接顔を合わせる機会は極端に減ってしまった。
丁寧な暮らしに憧れてはいるが、どうにも根っから面倒くさがりなので日々の丁寧さよりもざっくりとした便利さを優先してしまう。 じっくりと味を調整して自分好みにこだわって仕上げた牛しぐれ煮よりも、ワンコインで1分で出てくる牛丼に愛着が湧いてしまう。 だから、こんなにも物が少ないこの部屋でも、私がしている生活はきっと丁寧じゃない。 しかしそれにしても物が少ない。 洗濯機もなければ冷蔵庫もない。 ベッドもテレビも電子レンジも、なくたって生きていける。 『必要なもの』という概念が、
離島の牧場でIT未開拓の企業をDXした経験から、転職後もご縁あってDXエンジニとしてのキャリアを歩み続けることとなった。 時代としてもIT業界的にもトレンドではある概念『DX』 しかしいまいちピンとこないという人も多いのではないかと思う。世の中で耳にすることが多くなり、その必要性を感じるビジネスシーンも多くなっている今、自分なりにDXを考えてみようと思ったので今回の記事を書いています。 『Digital Transforomation』 いかにもかっこよさげで、革命的な何
安くて早くてうまい。 客と名のつく人間の心をくすぐる魔法の3要素は、いつだって期待以上の期待を生み出し始める。 厨房では何が起こっているのか。 それはブラックボックスで、料理には魔法のスパイスが隠し味とでも言いたげな一眼レフでそれらしく映える。 うまい話には裏があったとしても、299円が300円になるくらいの痛手ならきっと喉元を過ぎれば忘れてしまうんだろう。 労力にはそれなりの対価を。 出来れば、キャッシュで。 激安の労働 どんどんどん、どんどん仕事が舞い込んで、
昨年末に転職をし、新たな環境での新年を迎えることになった。 今年は友人の何人かが転職活動を開始するとの報告ももらったので、せっかくの機会として文章にして自分の転職活動で感じたことを記録しておこうと思う。 特に自分をよく理解してくれている友人に読んでもらえたらいいなと言うくらいの備忘録なので、構成などはこらずに思いつく限りに書き始めようと思います。なのでもしも初めて私の文章を読む方がいたら、それでも大丈夫であれば読み進めていただけると少しくらいは得るものがあるかなくらいには内
面白そうなことをしていると、人が集まってくる。 少し距離を取って、自分は巻き込まれないように周囲を囲む。 『面白そうなこと』は、きっと他人事の『面白そうなこと』でその賞味期限を終える。 ある一線を超えないように経験談を聞きにくるのはいいが、 そこまで来るなら一緒に面白いことをすればいいのにと、つい誘いたくなる。 しかし違うのだ。 面白そうなことは、面白そうなことのまま。 実際にやってみて、面白くないことがわかるよりも、面白そうなままであった方がいい。 他人にかける『面白
嘘をつくと鼻が伸びる。 視覚的にわかりやすいからこそ滑稽に見える木彫りの人形は、それでも嘘をつき続ける。 嘘をついても鼻が伸びないから、平気で嘘をつく人がいる。 伸びている。 信頼されるまでの時間と。 心を許される関係になれるまで。 ぐんぐんと先伸ばしにされていくのがよく見える。 ついた嘘で伸びない鼻はそれでも木製の飾りでしかないから、煙の臭いを嗅ぎ分けられない。 いつかついた嘘が火種となって、メラメラと。 体に燃え移ればそれはよく燃える木の体。 炎上する冬の乾いた空の
年功序列は日本の悪しき風習ではなく、この世界の悪しき物理法則のようにも思える。 先に生まれた者は、後から生まれた者よりも多くの時間を経験出来ている。 フェアではない気もする。 今年のオリンピックに、今年生まれた人は出れないだろう。 どんな天才児でも、 『体の発育が間に合いませんでした…』 と記者会見で国民の期待を裏切ったことを、目が痛くなるほどのフラッシュを浴びながら謝罪しなくてはいけなくなる。 高齢になると、意思に体がついてこなくなる。 そのうち、気持ちに頭がついてこ
自分が主人公のはずの物語が、あっという間に終わる。 長ったらしいエンドロールもなければ、その後に暗示される意味深な続編へのフラグさえない。 残りの人生を消化試合で生きればいいやと無気力に考えていた5年前から、ずいぶんと世界が変わった。 いや、多分変わったのは自分のほうなのだが、そんな自分が、自分の世界を間違いなく変えた。 いい方に?悪い方に? その結論を出すのはまだまだ先でいいと思えるほどに。 突然始まる歌とダンスに、戸惑いと気恥ずかしさを感じる。 ついさっきまで『あん
ありがたいもので、しばらく放置していても、たまに誰かの目に留まっていることを確認でき、またしばらくやる気が出ての繰り返しです。 noteを書き始めたのは2年半ほど前。 新卒入社した会社を辞め、フリーランスとなり、親友と群馬で暮らしていた頃だなぁと振り返っています。 27歳のあの頃からまた色々な経験をし、少しは大人になって、でも穿った視点はもう正常には戻らない気もして。 普通の30歳に比べたらファンタジーな世界観で生きている三十路となってしまいました。 年の終わりなので、節
混沌の世に、勇者が生まれた。 魔王に打ち勝つため、勇者は旅に出る。 世界を救う、長く果てしない旅が始まる。 これは、その冒険の物語…。 になるかと思ったら、そんなことはなかった。 勇者は自信に満ち溢れているわけでもないのに、なぜか魔王に勝てると踏んだ。 あっさりと敗北し、勇者は厳しい修行に入る…。 かに思われたが、そんなこともなかった。 現状のステータスで勝てる方法はないかと、模索する挑戦が始まった。 そう、これは勇者ではなく、勇者パーティに加わる、もう1人の凡人の