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めっためったにメタ認知

改札の前でふと、嫌な気配に気づく。感じる。俺は今、スタンド攻撃を受けているッ!!!

『ジェイル・ハウス・ロック』その能力は『3つまでしか覚えられない。4つ目を覚えたら1つ目を忘れてしまう』今回のはさらに強力な攻撃のようだ。

確実に、歯を磨く前に自分に言い聞かせた。『今日は電車に乗るから定期を財布に入れておこう』と。だがッ!!!定期は今ッ!!!机の上にあるッッ!!!

自分が2個前に思いついたことをよく忘れるのに気づいたのは、大学3年の時だった。以降は思いついたらスマホのメモ帳に未来の自分への手がかりを残し、友人とのslackチャンネルに書き込む。

『メタ認知』

自分が無知であることを知っていることを知っている風に装うと小賢しく思われてしまうことを知っているのでわざとバカなフリをしようとする傾向があるのを理解しているのを理解しているので人に何かを教えらてもらった時にはとりあえず『後で調べてみますねー』とあしらうことが多いことを知っている。

自己認知の層が重なれば重なるほど、複雑になり、矛盾が生じやすくなる。上記のように10層以上の自己認知を常にしていると、たいていのことはパターン化されてくる。考えるのが面倒になり、食事は毎食コーンフレークになる。

合わせ鏡のような、マトリョーシカのような、無限の自己認知の渦に巻き込まれることで、大切な何かを己の中に繋ぎ止める。

手のひらに書かれた『好きだ』の文字。

『これじゃ、名前、わかんないよ...』

雄鹿に乗ってどこまでも

見切り発車は事故の元。白いオオカミを前に俺は啖呵を切れない。

『お前にサンを救えるか?』

『わからない...だが共に生きることはできる!!!』

『いかにも手前勝手な人間らしい考え方ですよね。モロさん、今年の新卒大丈夫っすかね...?』と、残業中の白狼さんと新卒採用の不安を語らう。

『やってみますじゃないんだよ、やりますって言えよ』と翌日部下に説教をするモロさんを見るのは何度目か。近頃の若いのは自己認知が出来ていない。

だからビュッフェで食べ残しをしてしまう。だからだから先っぽだけ入れると宣言して子供を作ってしまう。

『自分は女性と一夜を過ごしたら避妊具を装着せずに性交渉をしようとする傾向があるので、自身の性欲に対して最も効果的な睡眠欲で対抗するために、女性と会う前日の睡眠時間は少なめ、運動量は多めにしておこう』

ここまで出来て初めて、自己認知が出来ていることになる。

『知っています』だけでは不十分であり、『だからこうします』が目論見通りの結果となって初めて、自己認知が出来ている人間と言えるのだ。

『何もせず朝を迎えることができるのか?』と聞かれて『わからない...だが我慢することはできる!!!』と答えたら、さすがに『黙れ小僧!!!』と激怒されるのも無理はない。

下半身に祟り神を宿す男性諸君は『絶対オトせるLINEテク』の先に自己認知の方法を学ぼう。

パターン入りました!!!

人間には癖がある。無意識状態でも何かしらの反応を起こす。

中学の頃『夜の世界はみんな寝ている世界だ。だからこの世界の密度を"時間/起きている人数"とすると夜起きている方がより高い密度で生きていることになる』と地球の裏側の人々を完全無視した理論で夜更かしをしていたおかげで、骨密度が以上に低い成人男性が生み出された。

不眠症気味になった俺は快眠方法を探り試行錯誤を繰り返した。

修学旅行の夜、眠そうなルームメイトに話しかける。

『んー』とだけ答えた彼は眠気と戦っていた。

これだ!!

仮説『眠くなくても、眠い人の真似をして"んー"と言っていればだんだん眠くなって睡眠に落ちることができるのでは?』

結論『寝つきは悪いが、寝てる時に"んー"って言う成人男性が爆誕』

自己認知は①課題の発見②認知の継続③対策の実施の3段階に分かれる。

それぞれの重要なポイントについてまとめていきたい。

Point① 課題の発見

自分の癖を知ること。自分の傾向を知ること。データの蓄積による統計的なアプローチが最も有効だと俺は考えている。

彼女に言われる『あなたっていつもそう!!』も喫茶店で頼む『いつもの』も変わらない。これらは1回だけでは成り立たない、積み重ねられた統計データによる無意識の算出結果なのだ。

どんなことにも例外があるように、パターンは単なるパターンでしかない。100%をパターンに当てはめると柔軟性を欠くので、70%くらいを網羅する自分の数パターンを見つけて、処理速度0秒で反応出来る領域を増やすことが先決だ。

一般的な課題発見の方法については書籍を読んで他あたり次第に試していけばイイと思うが、個人的に有効な、そして書籍ではみたことのないオリジナルの方法を1つ紹介する。

『消極的選択の認知』

朝起きた。歯を磨いた。朝ごはんを食べなかった。などの日常のルーティンは『積極的で能動的』だ。これらのアクションは自分の行動によって自発的に行われるものなので、毎回認識した上で行動し、自覚のあるものだ。『無意識行動』に対抗して『意識的行動』と呼ぼう。

対して、『シャワーを浴びなかった』『体重を測らなかった』『副題をやらなかった』という、いわゆる『忘れていた』の『消極的無意識行動』については、人間は判断を無意識に行なっていたりする。自分が『しがち』に対しての『しないがち』とでもいうのだろうか。

さらに本質はここから

『寝る前にシャワーを浴びないと翌朝起きた時に不快なのでシャワーを浴びた』

言い換えると『寝る前にシャワーを浴びないと翌朝起きた時に不快なので、シャワーを浴びないという選択をしなかっただけでシャワーを浴びたかったわけではない』

『"しない"をしなかったアクション』

これは、行動のモチベーションは消極的だが、アクション自体は積極的だ。人間の本質はここに現れると俺は考えている。

さらに具体例を挙げよう。『お礼のメールをしないと後で上司がうるさいのでその日のうちにメールしておいた』『目の前の老人に席を譲らないと後で罪悪感が残るので席を譲った』『後輩とご飯に行ったら奢らないことでケチな先輩だと思われるのが嫌なので奢った』

きっと誰もが『"しない"をしなかった』だけのことが人生で山ほどあるはずだ。

自己認知の鍵はこの『予測可能なマイナス未来への予防行動』にあると俺は考え実践している。

自発的で積極的なモチベーションに起因する行動は、他人にも見えるので指摘してもらえる。だが、受身的で消極的なモチベーションに起因する行動は、自分にしか認知されない。つまり、自分が認知しなかった瞬間に誰にも認知されずにデータ蓄積されずに捨てられていく経験となる。

数学的な用語で言うならば命題『AはBである』の逆は『BはAである』、裏は『AでないはBでない』待遇は『BでないはAでない』となるのと同じように、裏の裏は命題に戻る。

ただしこれは事象の上だけであって、モチベーションに違いがあって初めて『した』と『"しない"をしなかった』の違いが生まれるのだ。

消極的自発行動をしっかり記憶に刻もう。

まずは目の前の『した』という結果が本当に『した』のか、『"しない"をしなかった』だけなのかを把握しよう。

Point② 認知の継続

歴史の年号は語呂合わせが覚えやすい。人間はデータベースではないので『関連記憶』を利用した方が本来の記憶をはっきりと覚えていられることもある。

勉強をしながら音楽を聴く。数学のセットリスト、英語のセットリストとBGMを決めると、いつしか『曲を聴くと問題を思い出す』もしくは『曲を聴くと勉強している時と同じ気分になる』瞬間が訪れる。

Point①で発見した自分の癖を、自分の日常に溢れる"何か"に落とし込もう。

記憶の定着はあまりに方法がありすぎるので、お気に入りの方法をいくつか紹介する。

『RG法』:自分の癖を歌にする。自分の好きな曲でレイザーラモンRGのあるあるネタを作る。1つの『〜〜しがち』を贅沢に1曲に割り当て、聴くたびに脳内でRGに該当箇所を歌ってもらう。

ゴリラバナナ法:命題に関連する物を合わさった1つのイメージとして記憶する。『ボイルの法則』と『シャルルの法則』を覚えるのではなく『ボイル・シャルルの法則』を覚えればどちらも網羅でき、関連付けられている状態で記憶に落とし込む。

海山法:英単語帳のように、1つのモノの裏面にもう1つの物があるイメージとして記憶する。合言葉のように、海といえば山、山といえば海。表裏一体で覚えることで関連記憶からの逆引きが容易になる。

レンジャー法:『日常→敵出現→戦闘→巨大化→ロボ出動→爆発』の戦隊ヒーローもののように、自分が陥りやすいパターンの1段階ずつを明確にしてストーリーを日常に当てはめる。

パナキ法:サバンナ八木のやる『パナキ』のように『イカ→カニ→肉→鯨→ラッパ→パナキ』で強引にパナキに持っていくことで6文字を網羅し、ひらがな50音のうち12%の頭文字に一瞬で対応できるようにする。

文章ではなかなか享受しにくいが、記憶の定着はもはや条件反射領域まで落とし込むしかない。

結局は『そんなに直したいなら忘れるな』というメッセージをいろんな方法で自分に言い聞かせるだけなので、とにかく色々試して自分の脳の構造に合った記憶の定着法を見つけて欲しい。

Ponit③ 対策の実施

対策は強制的でなくてはいけない。自己認知以前に、精神力のない人は何かをやり遂げることが出来ない。

『猿でもわかる』シリーズが理解できなかったら、猿以下であることを認めると同時に、自分が挑もうとしていた対象と自分の間にある大きな差と自分のおこがましさを反省するところから始めよう。そう言う人は、自己よりも認知すべき知識があるはずだ。

もう一度言おう。『対策は強制的でなくてはならない』

寝坊対策のアラームは無視出来る。勉強計画は放棄出来る。コンドームは外せる。だから寝坊する。勉強しない。子供ができる。それらの対策は『見かけの対策』でしかない。

強制的な対策とは何か。それは『不可避』であることだ。

起きたいなら、起きないと死ぬ状況を作ればいい。究極、朝7時にギロチンが首に落ちてくる装置を作れば、起きるか死ぬかなので『起きれない』は発生し得ない。そもそもセックスをしなければ妊娠しない。パイプカット手術をすればいい。

このレベルを、いかに『自分で』『無理なく』できるかが、自己認知の結果として適切な対策を立てられる人と立てられない人との違いだ。

『自分で』というのは、『自分で自分を管理できもしない程度のてめぇの自己実現に他人を巻き込むな』という俺のポリシーなので、100万円を借りパクしても変わらず仲良くいられる友人がいたらぜひ協力を要請して欲しい。そして失敗したら友人のせいにすればいい。

『無理なく』というのは、『理想は叶わない』『自分は自分の想定の20%くらいの人間だと思え』の前提で対策を考えようということだ。

寝坊しないために目覚ましが5個あれば起きられそうだと思うなら、25個用意しよう。『出来そう』な対象を人間はナメてかかる。『出来なさそう』な対象に人間は気を引き締める。『出来ない』対象を人は諦める。この微妙なラインを攻める。

究極、『出来なかったら自分に失望してそれ以降の挑戦を辞める』くらいの目標設定にしよう。

万が一結果的に死んだら、目標を達成して生き返るまでは自分は死んでいるものと考えよう。もしくはそれ以降はゾンビとして生きよう。

まとめ

Point①課題の発見 Point②認知の継続 Point③対策の実施

3つのステップでの自己認知を、最後に実例で示すことにする。

『忘れ物をした』という状態が多いので、自分の日常行動を逐一『した』と『"しない"をしなかった』に分けた。すると『思いついたことをすぐにしなかった場合、最終的に忘れ物をしてしまう』ことがわかった(Point①課題の発見)

これを意識するために、1日2.3回は再生する自分の好きな曲をRG法の歌にして、聴くたびに自分のあるあるを脳内再生した。曲はaikoの『ストロー』のサビ部分。

『ドラ川のあるある言いたい〜♪ドラ川の〜あるあるを言いたい♪ドラ川思いついたことの〜♪2個前を〜♪忘れがち〜〜〜♪』(Ponit②認知の定着)

『自分が2個前のことを忘れがち』であることをわかっているので、対策を立てる。いつも自分が肌身離さないもので、メモができるものはスマホ。だが『スマホにメモする』だと成功率が95%な気がする。そこで対策としての最低目標は『○○を思いついたのでメモする必要がある!!』と声に出す。声に出すことはほぼ100%可能だし、さすがに思いついたことを声に出すことすらできなかったらもう自分に失望するレベルだ。これで習慣化していく。(Point③対策の実施)

もしかしたら、これはメタ認知ではないかもしれない。もっと感情とか思考とかの癖に特化した方法があると思う。だが、確実にこの方法で『メタ認知ができている人』の評価を得たので、多分世間がメタ認知としているものは出来ているんだろう。

N=1の成功例しかないが、読んでくれた人の何かの助けになれば良いと思う。

最後に

客観は、実際に人に聞かない限りは主観の域を出ない。

『自分を客観視出来ます』と言っていいのは、自分が得することに何の興味もない人だけだ。1歩引いたところから『大変そうだね笑』と生きている人類全員をバカにするような人間しか、本当の客観視は出来ないと思う。

だからこそ、『自分が仮置きしたい自分』を置いておくことが大事だ。

仮置きしないと、現実との比較が出来ない。知ったかぶりをして初めて、知らないことに気付ける。失って初めて気づくというのは、確かにそれを所有していた実感があってこその気付きなのだ。

今回紹介した方法がバカバカしいと思うならそれでいい。『こういうのを"ばかばかしい"と感じる傾向がある』という1つのデータにしてくれれば、せめて書いた甲斐がある。

明日も朝目が覚めると思ってる時点で、人間は自分に期待しすぎだ。自分の心臓を見たこともないのに、昨日まで動いてたから明日も動くと信じられるなんて、平和ボケ、いや、健康ボケが過ぎる。

メタ認知が成功しているかしていないかの1つの指標を最後にお伝えする。

『自分って結構単純だな』

と思ったら、きっとメタ認知は成功だ。



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