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「Inventing ANNA(令嬢アンナの真実)」自己中心が行き過ぎる人間をどこかで羨む自分がいる。

一気見できるドラマっていいですね。このドラマはNetflixオリジナルシリーズ、実話を元にした話なので、9話で完結しますので、まあまあ手軽にみられます。とはいえ1話が長いので前編10時間くらいありますが。。

最初、この記事のタイトル、『私の身近なクソビッチに酷似してる主人公』とかにしようと思うくらいこのドラマの主役アナは誰よりも自己中心的で、嘘を並べて、その嘘をもはや自分自身で本当だと信じ込んでいるところがあり厄介。

見ていて最初は本当にイラつくばかりですが、後半になるとだんだんとその化けの皮が剥がれてきます。しかしただでは転ばない、最後までしぶとくアナという自分の作った虚構を演じる主人公だからこそ、これがドラマになった所以なのかもしれませんね。

以下ネタバレあり

共感も同情も得られないアンナという女の話

実話に基づく、、、という話なので、この話から何かの教訓を得たり、感動をする話ではないのです。しいて言えばエンターテイメント性はあるかな。

雑誌の記者が、このアンナの事件の真相を追う形で、逮捕された彼女のストーリーをさかのぼって追っていくのですが、彼女の関係者に接触すると、それぞれが持つ「令嬢アナ」のイメージはかなり異なるものでした。

記者はそれに興味を持ち、実態が見えない彼女はいったい何者なのか、なぜ友人知人のみならず、弁護士や大手投資会社などの『大の大人』たちが25歳の令嬢でも何でもないロシア出身の小娘にしてやられたのか、ということをじっくりと暴いていきます。

私は一気見はしたものの、この話を見終わった後に特に何の感情も生まれない話だな、というのが感想でした。

正直、もっと生い立ちに不遇というか、背景があるのかと思いきや、そこが案外しょぼい。おそらく、そこにそれほどドラマチックな生い立ちがあるわけでないのが事実なのでしょう。だから、『それなら令嬢のふりをして周囲をだますビッチになったのもわかる』という共感や同情の余地がないんです。

トンビが鷹を生む。いやトンビが毒蛇を生んだのか。。。

しかし、1点心に響いた点はアナの母親が「あの子は、私たちとは違う。親子なんて、その子がその親から生まれたというだけ」というセリフです。

つまり、母からすればアンナは生まれながらにして、親とも全く違う性格であり、持って生まれた性悪なんだということです。ただ、成金だった父親のふるまいや、移民の子として学校でいじめられて見返したいと思っていた反骨精神などは環境によって刷り込まれたものなんだろう。

そして、両親が「この子は自分たちと違う」と感じていたことに、アンナ自身がきっといち早く気が付き、家を出たのではないかと私は思います。

私も子供を育てていて、親(自分)に似ているなということもあれば、まったく違う側面も当然あると気づくわけです。子供は親のものではなく一人の人間であるということを嫌でも教えられます。彼、彼女が固有に持っている性格や特徴が親に似ているか似ていないかなんて所詮後付けであり、ありのままをフラットに見たいと思います。

ただ。

ただやはり子が「自分に似ているな」というところは、どうしても感じるところであり、理解できないアナの言動や性格よりも、もう一人の子供の方を「自分にそっくりだから」という理由で安心して愛情深く育てていたこのドラマの母親の気持ちは共感できるところもあります。

アンナの一番嫌いなところはどこか。

冒頭にお伝えした通り、自分自身の経験とシンクロしてしまったのは、過去にアンナに性格が似ている知人がいたのです。

その知人に重なったところは、虚言、見栄っ張り、プライドが高い、人を見下す、性悪であるなど、たくさんありますが、が最も私がイラっとしたポイントはここです。

「私は努力している」というセリフ。

なんでこんなに頑張っているのに、私の目指そうとする道の邪魔をするのだ?と彼女が言うのです。私が令嬢でお金があるから、みんな簡単にやっているように言うけれど、私は誰よりも努力していて目標の実現に向けて行動しているのに。と。

自己中な人間をどこかで羨ましいと思っている。

胸糞悪い女。

だけど、自分の見栄とプライドのために、嘘で塗り固めた経歴、金をだまし取る自分すらも努力だと言い切れる彼女のエベレスト級自己肯定感の高さを私はもはや羨望のまなざしてみているのです。

自己中なやつって、うらやましくなることありませんか?

私はあります。

自由奔放に自分のために他人を犠牲にすることもいとわない、そんな人間がまかり通るのであれば、私だってなりたい。

ですが、彼女が最後に落ちていく様もまた痛快であると最後に付け加えておきます。笑

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