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聖者(改#2)

できるだけ毎日歩くことにして、夕方、懸案の道路脇のゴミ拾い。燃えるゴミ用と空き缶用に2つ袋を持って百均のトング(っていうのかな)で拾って歩いた。マクドナルドの包装とか弁当ガラとか、かなりの数の500cc(?)ビール缶。飲酒運転しているのだろうか。同一人物が習慣的に捨てているらしい。

ともかくいつも通る道がきれいになって清々した。新しいナイキの靴で歩くことが楽しいので、どこのおバカさんかしらないが、とりあえず許してやることにした。あまりいい環境で育たなかった人にちがいない。千葉・茨城を車で走っていると一昔前よりも道路脇のポイ捨てが増えているように感じる。

直に暗くなるし、ゴミ拾いなので歩行距離は物足りなかったにしても、ともかく歩くという習慣二日目。明日もともかく歩くべし。

     *

後日談というか翌日談。車の窓から猛禽類が飛んで電柱の頭に停まったところが見えたので、車をとめて観察した。飛行する姿は明らかに猛禽類だが、電柱のてっぺんに停まった姿はかなり小さい。ノスリではなさそうで、チュウヒかツミだと思った。ネットで調べるとツミだった。

オオタカはよく見かけるし、ノスリも家の脇を飛んでいくのを見たことがある。車のフロントガラスを通してでは良く見えないので、ドアを少し開けて直に見ることにした。じつに小柄で遠くからでは猛禽類らしいシルエットに見えない。身体の色もわかった。

また飛び立った。今度は何本か先の電柱の頭に停まった。ちょうど、昨日、ゴミ拾いをしてきれいになった場所で、しばらくあたりを見回している。飛行する姿はやはり猛禽類だった。猛禽類を見かけるといつも心が浮き立つようで励まされる。しかし自分でツミを見たのは今朝が初めてだった。

自分にとって珍しい動物に出逢うと自然の神々に出迎えられたような気がする。北岳山頂付近でツキノワグマを見たときのことも思い出す。地元の自然神との対話が成立したように思えてうれしかった。

     **

昨日も散歩。一番短いコースでともかく歩いた。小さい袋二つと百均のトングは持参。一昨日きれいにしたあとに増えた新しいゴミは、エナジードリンク缶とタバコの箱。見落としたのか、風に吹かれて出現したのか、透明プラスチックの弁当ガラ。少なくとも三日坊主にならずにすんだ。

雨風対策はできるので、天候にかかわらず、毎日歩くというのもありだと思う。雪の日の散歩が待ち遠しい(日常性=冬なんてすぐそこ笑)。ともかくこの日常を支配しないと。すべてはそれからだ。

日常に敗北しないこと。それには体力が必要だ。その方向で時間を使うことには賛成。流れに抗う力を。時間の流れに抵抗して歩くこと。

     *** 

今日も夕方散歩(30分程のバリエーション・ルート)。終わるころにちょうど夕日が沈むところだった。ツミ・ポイントに新しいゴミは確認できず。今までは歩くだけだったルートもゴミ袋をもって小半時ほど歩くとそれなりに空き缶・ペットボトルを拾うことになる。

散歩道にゴミがない快適さ。スマホの地図ソフトで歩行距離を測るのがうまくいかないので、新しいソフトを入れてみた。歩行データが取れた方が楽しい。

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ともかく毎日少しでも歩く。昨日導入したスマホ・ソフトによれば3.2㎞ほど。本日のツミ・ポイントのゴミが本格的で、プラスチック袋にビール他空き缶多数、使い終わったティッシュ・ペーパーの箱、手をつけていない夏みかん一個。それ以外、コンビニのそばらしき弁当ガラ、等々。

ぼくもよく使うドラッグストアのレシートも入っていた。タイム・スタンプによれば昨夜九時過ぎに買い物してる。買い物の内容までは読まなかった。車のなかでビールを飲みながらコンビニ弁当という生活でもしているのだろうか。

ぼくがゴミ拾いを始める以前(ゴミが散乱)とはあきらかに違って、完璧にゴミのない状態になっているところに新たにこれだけの量のものを捨てるというのは、ぼく自身が挑戦されたような気もしたが、なにも考えていない可能性もある。

左手にゴミ袋(燃えるゴミ用と空き缶用)、右手に百均のトングを持って歩きながら、ほかの場所に捨てられるよりも、毎回ここに捨ててもらう方が、ぼくが拾えるだけ(道路が汚れなくて)ましか、などとも考えてみた。

「ナーラヤン、ナーラヤン」を唱えつつ満面の笑みを浮かべて神々のもとに参上するヒンドゥー教の聖者みたいにゴミ拾いの聖者が田の畦道に降臨した(とも考えてみた)。

いずれにせよ「単に歩くこと」にちがう意味を付与した見知らぬ人物が登場したことになる。

     ☆

制限時速厳守の聖者
はバックミラーに映る車間距離
に後続車ドライバー
の現存在を測る

     ★

この世界へのNein!を捨てる
場所がない
と生きていけない人
の呪詛を籠めたNein!
を百均のトングで拾う
ゴミ拾いの聖者
を小型猛禽類ツミ
が高みから
じっと見ている朝


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