見出し画像

食べてはいけないものを食べさせた。ところがまったく問題にならず。その先生がとった行動とは?

小さい子どもはよくものを口に入れますよね? それを防止するために取った行動。なにをしたのでしょう? わたしが勤めていたチャイルドケア(保育園)4歳児ルームでのエピソードです。

子ども達はワクワク

「新しいアクティビティーがあります~」「いえーい」
グループタイムに集まった子ども達は先生のアナウンスに大騒ぎ。
先生が子ども達に新しいアクティビティーの説明をはじめました。
どうやってあそぶかは子ども達が決めることなので、なにがあるかの説明です。それから、新しいものなので、大切に使うこと、順番に使うことなど、ルールも話し合いました。

これがセットされた新しいアクティビティー↓

子ども達がたくさんあそんだ後です

センサリープレイ


オーストラリアの保育園では、お部屋の中に、プログラムに合わせたアクティビティーをセットしておきます。自分のお道具箱はないので、お部屋の中にあるもので自由にあそぶのです。

その中で「Sensory play(感覚あそび)」視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感に刺激を与えながら遊べるアクティビティーもセットします。たとえば、砂、水、粘土、スライム、お米、乾燥コーン、お花、草など。
そして今回、「黒豆」を使いました。

「豆」でなくてもよかったのですが、今回の「豆」のあそびで、生の豆と茹でた豆の違い、感触、ゴロゴロ動かした時の音、計量スプーンにのる量の違いなど、「豆」だけでもたくさん学ぶことができます。

赤ちゃんのルームではもちろん使うことは難しいですが、4歳児さんならいろんな素材を使って、遊びの経験をさせたいですね。
ただ、4歳といってもまだ小さいおもちゃやペンなどを口に入れてしまう子もいます。生の「豆」は食べてしまうと毒性があるともされています。
絶対子ども達が口に入れないようにしないとなりません。

食べましょう!

え!? びっくりしました。
そのアクティビティーの説明をしていた先生が「黒豆」をひとつずつ子ども達に配りました。そして「食べてみて」と言ったのです。

まず、子ども達に実際に触らせて、硬いから噛めないと確認。そして、テーブルにあるのはみんなが触るからバイ菌がいっぱいと伝える。

「先生は歯を折りたくないし、バイ菌が口に入って病気になりたくないから食べない」と、顔をしかめて言ったのです。そしてその後すぐに「それでも食べてみたい人は今食べてみて」と付け加えたのです。

子ども達は変な顔

「食べて!」と言われた子ども達。どうしたと思いますか?
先生の演技、説明、あっぱれでした。
子ども達もその先生と同じように、顔をしかめて「やだー食べるの」と言いつつ、見事だれも口に入れる子はいませんでした。

説明が終わり、子ども達の自由遊びになってからも、誰ひとりとして口にいれた子はいなかったのです。

先生の信用度と信頼感

今回の成功例はなんと言っても、先生への信用度によるものでしょう。そして信頼感。
「先生のはなしを聞きたい」と思わなければ、グループタイムにもはじめから集まって来ないし、説明を聞くこともできなかったでしょう。
先生が大好きだから、信頼してるから、先生と同じことをする。このような気持ちがあったと思います。

先生は教えるというプロセスの中で、子ども達との信頼関係を結ぶ。大好きな先生の教科が好きになるのと同じですね。幼児教育であれば、この先生といれば安心。子ども達のそんな思いが大切で、その気持ちをもってから、学ぶことができるのではないでしょうか?

先生としての能力は子どもと信頼関係をどう作っていくかにもかかわってくるように思います。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?