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耳鳴り潰し11

 息子を送り出したが、休ませた方がよかったのかもしれなかった木曜日。市役所に就労支援の相談に行く。とはいってもこの日はほぼ担当者と顔合わせのみ。いろいろ紹介するにもこちらの署名が必要だとかで。
「気楽にしてくださいね」と言われ、現在の病状を話す。頭痛の方は落ち着いているので、主に耳鳴りのことなど。市役所という空間は特につらい。
「公園など開かれた空間や、自宅で好きな音楽を流すなどのコントロールできるところでは、比較的耳鳴りを忘れられるんですが」
「音楽が好きなのですか、どういったものを聞かれますか」
「人間椅子とか」
「私は『相剋の家』が好きですね」

といった流れにはならず「そういった人たちもいるのですか」と流された。人間椅子チャレンジ失敗である。「人間椅子チャレンジ」とは、今年で結成35周年になる日本のハードロック・バンド「人間椅子」の名前を出した際に、相手がどのような反応をするかの試みである。大抵失敗に終わる。

 また一つ用事を済ませ忘れていたことに後で気づく。買い物の際に財布にやたらと小銭が入ってるなと思ったら、娘の字が書かれた小さい紙片も入っていた。私が喉を痛めて寝込んでいた時に入れたものらしい。「がんばれ」「これでかぜをなおして」と書いてあった。

 息子は学校から帰宅後、自主的に安静にして公園遊びはなし。プラレールが暴走する。

 寝起きのトイレ空間が一番耳鳴りを轟音に感じる。正気を保つためにこの文章を綴っている節がある。

 いくつか書こうと思って溜まっている本の感想のうち、坂口恭平「躁鬱大学」について書く。いつも通り、感想というより、その本と自分との関係について書いている。



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