泥辺五郎

ドロベ・ゴロウ。二児の父。脳脊髄液減少症で入院中。何かしら書いてます。旧名「名無しさ」…

泥辺五郎

ドロベ・ゴロウ。二児の父。脳脊髄液減少症で入院中。何かしら書いてます。旧名「名無しさ」「村野」「楢山孝介」「新都社モラトリアム新書」など。

マガジン

  • 耳鳴り潰し

    消えることのない耳鳴りを打ち消すために紡いでいく文章。前日振り返り日記がメイン。500文字程度を目安に。

  • シロクマ文芸部参加作

    note内企画「シロクマ文芸部」参加記事のまとめです。

  • 創作系

    書いた小説などのまとめ。

  • 読書系

  • 千人伝

    様々な人の評伝「千人伝」シリーズのまとめマガジン

最近の記事

  • 固定された記事

入院記録(脳脊髄液減少症による入院)※全文読めます

脳脊髄液減少症(脳が浮かんでいる液が減る病気)により入院中。入院費の足しにするため投げ銭設定。本文は全部読めます。 ② ③ ④ ⑤ ⑥ 2月7(水)入院初日  ひどい頭痛の鎮痛薬を前日ロキソニンに変える。効果あったかに見えたが、夕方頭痛がひどくなった際に飲むも効果得られず。  帰宅後、近くにある脳神経外科医を調べ、向かうことにする。ルート案内では自転車で14分だが、20分ほどかけてたどり着く。院内は暖かく、頭痛がよりひどくなる。MRI検査を受けた後、「クモ膜下出血で緊急

有料
300
    • 耳鳴り潰し13

       音楽を流しながら洗濯物をたたんでいると娘が合流してきた。LPの「Halo (Beyonce Cover)」のLive版が流れてきて、彼女のビブラート唱法の素晴らしさを娘に語る。  高音の伸びもそうだが、これだけの声量と歌声を維持するのは大変だろうな、という話もする。今の私のように、風邪で喉を痛めたら、歌うことができなくなる=プロとして失格、となる。楽器演奏者が怪我に気を遣うより、繊細なメンテナンスが求められる。  もちろんそんな話を気にすることなく、娘は一人でお風呂に入

      • 「桜の花びらを呑み込む蛇の話」#シロクマ文芸部

         春の夢、と名前をつけられた蛇がいる。桜の花びらを主食としているから肌が桜色に染まったせいだとか、あまりに美しい稚児が蛇へと化身したのだとか言われる。その呼び名が使われるのは、室町から江戸中期あたり、染井吉野が広く植樹される明治時代以前の話であるから、現在の満開の桜の下を蛇が這うイメージとは少し違っていると考えてもらっていい。  実際に蛇が桜の花びらを食べるかは分からないが、水面に浮かぶ花びらを亀が口に入れることはある。虫と間違えているのか、少しは栄養があるのかは知らない。

        • 耳鳴り潰し12

           息子の咳が止まらず、熱も37℃を超えたので学校を休ませる。念のためかかりつけの小児科へ。前回前々回が偶然休診日にあたっていたため、久しぶりのいつもの医院に。  自転車移動中に休むことにしている息子が、目隠し代わりにしていたヘアバンドを忘れたので、フェイスタオルを巻いて五条悟のようにする。途中、校外学習に出ていたらしい小学生の集団とすれ違う。偶然にも娘がいた。娘の方が私に気付き「バイバイ」と声をかけてきた。目隠ししておやすみ状態だった息子が「今ねぇねいた!」と声だけで気付く

        • 固定された記事

        入院記録(脳脊髄液減少症による入院)※全文読めます

        マガジン

        • 耳鳴り潰し
          13本
        • シロクマ文芸部参加作
          46本
        • 創作系
          151本
        • 読書系
          96本
        • 千人伝
          51本
        • 入院記録(脳脊髄液減少症による入院)
          14本

        記事

          耳鳴り潰し11

           息子を送り出したが、休ませた方がよかったのかもしれなかった木曜日。市役所に就労支援の相談に行く。とはいってもこの日はほぼ担当者と顔合わせのみ。いろいろ紹介するにもこちらの署名が必要だとかで。 「気楽にしてくださいね」と言われ、現在の病状を話す。頭痛の方は落ち着いているので、主に耳鳴りのことなど。市役所という空間は特につらい。 「公園など開かれた空間や、自宅で好きな音楽を流すなどのコントロールできるところでは、比較的耳鳴りを忘れられるんですが」 「音楽が好きなのですか、どうい

          耳鳴り潰し11

          「躁鬱大学」坂口恭平

           メンタルの化け物と長い間言われてきた。中学生ならば即自殺してもおかしくないような扱われ方をしても平気な顔をしている、普通の人なら一日で逃げ出すような職場に平然と勤めている、と捉えられていた。私からすれば「何がつらいのか」としか思えないことも、他の人にとっては耐えられないことなのだそうだ。  そんな私が脳脊髄液減少症という病を経て、退院後の初めての定期健診の時に言われたのが、「再発を恐れすぎて、鬱状態になっているように見えます」という主治医の言葉だった。  かつての「ダイ

          「躁鬱大学」坂口恭平

          耳鳴り潰し10

           息子の咳は、鼻が詰まって口呼吸が多くなって喉が乾いているためだろう、とのこと。喉が腫れているわけでも熱があるわけでもないので心配はなさそう。鼻にグイっと突っ込まれる検査をされないだけで息子はご機嫌。初めて学校を休むことに対して残念そうにしていたので、学校を楽しめているのだろう。 「今日はゆっくり休んでおくんだよ」と言っておいたら、病院への移動中の自転車後部座席を寝る時間にあてていた。肌寒かったので着ていたパーカーのフードを深く被って、ラッパーのような姿で寝入っている。家に着

          耳鳴り潰し10

          耳鳴り潰し9

           昨日書いたように喉の痛みと倦怠感のため、一日半隔離状態で安静に過ごす。しかし静かな状況では耳鳴りの圧が凄いことになる。騒がしい方が耳鳴りを忘れられて良いようだ。イヤホンをつけたりなどの、耳へ負担のかかることは一切していない。やはり耳鼻科で貰った薬に意味はなさそうだ。  喉の痛みを癒すために松田優作成分を摂ろうと思い(?)「最も危険な遊戯(1971)」を観る。クライマックスで悪徳刑事四人プラス人質の女性を乗せた車を、松田優作がただただ生身で走って追いかけるシーンがある。追い

          耳鳴り潰し9

          耳鳴り潰し8

           喉が酷く痛い。土曜に行った小児科で、息子とは違う風邪を貰ってしまったのかもしれない。午前中に病院に行く。検査ではインフルもコロナも陰性だったが、行くのが早すぎた可能性もある。熱はないが熱の時のようなダルさ、倦怠感がある。一回37.0℃を示したので、微熱といえるかもしれない。念のため私一人隔離された状態で過ごす。病院のベッドと違い、長く寝ていると腰が痛んでくる。  隔離前の朝、体温計を測り終えた音を聞き取れず、妻に注意される。耳鳴りの波長と近い音のためだ。昼に注意して聞いて

          耳鳴り潰し8

          耳鳴り潰し7

           息子の鼻水はずるずる。熱はない。食欲はある。一日雨でもあり、公園には行かず。ドラゴンボールごっこ、ぬいぐるみを利用した演劇、UNOなど。マイクラで無料アドオンを入れることを覚える。いろんなTNT爆弾を試しにやってみる。その後もどんどん入れたがるかと思ったが、そうでもなく。  ドラゴンボールごっこからUNOへの流れで、私が「ドラゴンボール超」内の作品キャラ「全王」を演じたままでUNOをプレイすることに。ワイルドカードの真ん中が空白になっている、オリジナルルールを書き込めるカ

          耳鳴り潰し7

          耳鳴り潰し6

           前日の夕方から息子の鼻水が酷いので小児科に行こうとした。しかしかかりつけの小児科も、そこが休みの時に行く所も、近所に出来た新しい所も、揃って休診になっていた。会合か何かあるのだろう。少し離れた所の小児科が、初診でもWEB予約、WEB問診ができたのでそこにする。  初めての場所なのでグーグルマップのナビに愚直に従って進むと、起伏の激しい堤防沿いの道を行かされる。息子の通っていた幼稚園の大規模工事の間、一時的に通うことになった別の幼稚園への道のりと一緒だった。夏休みの間に一度

          耳鳴り潰し6

          耳鳴り潰し5

           腰が痛い。  憂歌団「胸が痛い」のメロディで腰が痛いと頭の中で歌う。湿布を貼って、ぎっくり腰の時にもらったベルトを巻く。  シロクマ文芸部の今週のお題が「花吹雪」だったので、音楽随筆集に書いた「花吹雪」の冒頭を引用して書き始める。特にまとめる気もなく書き散らす。花びらの散るのにも似ていると思い「言葉を散らして掃き寄せる」と題名をつける。  Xのタイムラインで流れてきたショートショートガーデンのコンテスト「遊園地」に投稿してみる。「リターン・トゥ・ニルヴァーナ」  あと

          耳鳴り潰し5

          「言葉を散らして掃き寄せる」#シロクマ文芸部

          「花吹雪」と題した文章を、こんな風に締めた。  そんなことを書いてから約一か月半が過ぎた。まだ生きている。まだ書いている。妻と買い物に行く際には隙あらば手を繋ぐような間柄だが、桜吹雪の下は歩かなかった。お互い花見に行くほどの気持ちを桜には抱いていない。命はどうにか繋がっている。就労支援の相談も来週から始まる。夜勤の時間を延ばす予定だった妻は、結局体調が戻らず長く会社を休み、先日退職が決まった。  一番の仲良しの子と離れてしまうので、息子の小学校入学後の孤立を心配していた。

          「言葉を散らして掃き寄せる」#シロクマ文芸部

          耳鳴り潰し4

           別名義でお試しでやってみるkindle出版の原稿を進める。目次の設定とか。  息抜きのつもりでまた別名義で書いたお気楽下ネタギャグ小説を某所に連日投稿する。反響もよくノリノリになってしまう。  本筋から外れている気もするが、すべて本筋ともいえる。  小学校から帰ってきた息子が「公園行くよ! カナちゃんと約束した!」と、「カバンを投げ出して遊びに行く野原しんのすけ状態」になっていた。 「宿題はどうする? 帰ってから?」 「どうしよ、あーもうさっさとやって終わらせる!」  こ

          耳鳴り潰し4

          耳鳴り潰し3

           朝一で市役所に行って用事を済ませた。つもりが前回も忘れていた用事の一つをまた忘れたことに後から気付いた。その足で耳鼻科へ。子どもの診察で行ったことはあるが自身は初めて。結構混んでいた。紹介状とCT、MRI画像の入ったDVD-Rを受付に渡す。  鼻と喉の通りを診察した後、聴覚検査、鼓膜の振動検査もする。高音の「ピー」音がやはり耳鳴りと重なる。  聴覚検査の結果、高音を聴き取りにくくなっているようです。「加齢による聴覚低下と考えるにはまだお若いですし」妻に耳鼻科でのやり取り

          耳鳴り潰し3

          千人伝(二百五十一人目~二百五十五人目)

          二百五十一人目 用事 用事はいつも用事を忘れてしまっていた。役所に行くたびに忘れてしまうのだった。病を経て、生活状況が変わり、たびたび役所へ赴かなければいけなかった。そのついでに、役所へ提出する書類の一つを出そうと考えていたのだが、別の用事を済ませすると、いつもそのことを忘れてしまうのだった。 用事は常時酷い耳鳴りに悩まされており、特に静かで閉鎖された空間において、耳鳴りは彼を圧し潰した。役所に行くたびに、ついでの用事を忘れてしまうのは、一刻も早くその場所から逃げ出したい

          千人伝(二百五十一人目~二百五十五人目)