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0.5℃足りない

 泥棒猫です。

 私の平熱は36℃。毎朝出勤時に測って記録されてるからわかってる。

 彼の平熱は36.5℃。同じく毎日検温が義務付けられてるから間違いない。私より0.5℃高い。

 

 今の私は0.5度不足なんだろうと思う。36.5℃の温もりで私と手を繋いで、抱き寄せて、髪を撫でて欲しい。そう心から思う。


 とても些細なことで、職場で涙が止まらなくなった。何でもない、本当に何気なく発せられたであろう言葉に、それも人伝に聞いた、もしかしたら私に向けられても無いかもしれない言葉によって、ポロポロと涙が溢れてしまった。

「誰も、電話にも出られないの?」

 たまたまオフィスにいた全員が電話にかかっていて、私にかかってきた内線をとり損ね、2度目にかかってきたそれを代わりに受けてくれた同僚に向けて、本社の総務部長から発せられた一言。

 本当にたったそれだけ。

 普段なら、「もー。部長はヒマだからそんなこと言うんだよねー。いやよねー(笑)。営業所のこと分かってないんだからー。」で終わる話。

 なのに先週の金曜日は、何がどうしたのか自分でも訳が分からなかった。

 同僚の一人は別室でオンライン会議に出席するため離席し、もう一人は時短勤務なので子供さんのお迎えのため慌ただしく帰っていったので、自分1人になったその途端にポロポロっと涙がこぼれたから、誰にも泣いてることは気づかれなくて良かったわ。

 30分ぐらい、拭いても拭いても涙が止まらなかった。本当にどうしちゃったんだろう。私。ヤバいよね。


 寝る前のいつものFaceTimeでの彼との時間に、その話をしてまた泣けてきた。

 そしたらタブレット越しにヨシヨシしてくれた。


 ありがとう😢

 その手がここまで届けばいいのに。

 36.5℃の手のひらが私のところに届けばいいのに。

「泣いてごめんね」

「ううん。話してくれてありがとう。」

「聞いてくれてありがとね」

「泣いても可愛い。でも笑った顔がもっと可愛い」


 そう言われて泣き笑いに。

 そしてもっともっと涙が溢れた。


 寂しいけど、本当に本当に寂しいんだけど、不安ではないよ。

 また今週も頑張るね。


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