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怪談・THE私96× 心霊抹殺Radiate コラボ

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team100モノ第1話

心霊幻想


  今回も依頼があった。
  近年絶滅しかけている幽霊の保護を主張する連中と交渉し、人間か幽霊か分からない怪奇現象を生み出す誰かを特定したら何らかの同盟を結ぶらしい。
  依頼者が他で何をしようが関係はない。
  大方ろくなことではないが。

  恨みのない依頼はしない主義だが、これは副業。
  ましてや心霊現象なんて廃れているのに未だに話題になってやがる。

  自己紹介が遅れた。
  遥伐ユウセイとだけ名乗らせてもらう。
  年齢は二〇二三年である今年二十一。
  もしかしたら何年前も似たことを言っていたかもしれないから、年齢なんて関係ないのかもしれないが一応伝えておこう。

  俺が今まで何をし、何を食ってきたかなんていちいち詮索してくる奴がいたらただじゃ済まさない。

  そういえば、先にこの依頼を片付けないとな。

  さあああああ!
  廃墟にたむろするお前達よ。
  魔女は好きかぁぁぁ!!!

  とある田舎の廃墟でたむろしている幽霊が取り憑いたらしいヤンキー達を箒でぶっ倒していく。
  ヤンキーに失礼か。
  こいつらは「幽霊に取り憑いたフリをして似非霊払い商材を買わせていた詐欺集団」で、偶々ヤンキーのような姿をしているだけ。
  だが笑えないことにこいつらは本物の幽霊に取り憑かれたらしい。
  ある女子大生の友人が被害に遭ったから助けてほしいと懇願された。
  同世代の人間の頼みは性別関係なく聞き入れてしまう。
  ここで俺は生まれて初めて「ナルシスト」ではないのかと仮説を立てた。

うぐっ!
がぁぁっ!
おえっ!

  取り憑いている霊にも痛みはあるらしい。
  信じてないわけじゃなく、調査の一環で対霊に使える装備を仕込んで優しく殴らせてもらっている。
  少しやりすぎじゃないのかって?
  人を騙して挙げ句の果て取り憑かれた間抜けなんざ、この仕事の権限で痛い目みてもまた繰り返す。

  女子大生の頼みは「友人の恨みを晴らしてほしい」のではなく、「友人を騙した人間の影にいる何かを突き止めてほしい。」
と含みのある依頼をしてきた。

   それがこの霊というわけだ。
  ただ人間にもこれぐらいやっておかないと、お礼参りされたら困る。
  舐められないように痛みを脳と関節に記憶させる。
  取り憑かれて意識がなくたって構わない。

  箒片手でここまでやれるとは自分自身の可能性に助けられた。
  後は除霊と称してこの霊達の体組織を手に入れれば…

「いいものを見せてもらいました。」

  何!?
  なぜ、ここに!
  その人間はこの詐欺討伐依頼をした女子大生。
解滴 榾建ときしずく ほたてだ。

「強い同年代は好きですよ。
時代的に、そんな賛美を私に贈られた所で貴方は嬉しくないかもしれませんが。」

  そうでもない。
  依頼はこれで果たせた。
  しかも髪型も俺好みな女子大生に褒められて嬉しくないわけがない。
  だが照れるほどの余裕もなかった。
  なぜここへ?

「怪談話にぴったりと思ってこの依頼を試しに貴方へしてみたら、想像以上に働きで私も好奇心が芽生えちゃって。
それにまだ見張りがいたから、ちょっと持ち帰って嵩張ったからどうぞ。」

  どうやったかは分からないがボロボロの人間が差し出された。
  この依頼者は只者じゃない!
詳しくは聞かない方がいいか。

「何か他に頼みたいことでも?」

「いいえ。
就職活動も終わったから、残りの学生生活を使って怪談話の収集をすることに決めていた。
貴方となら面白そうな話が聞けそうなのでつい。
それにここまでやってきたんだから足手纏いにはならないはず。」

  変わった人だ。
  だがいい協力者になるかもしれないなら手を結ぼう。

  だが残りの依頼を話すわけにはいかなかった。
  彼女もそれは理解しているようで

「暇な女子大生が勝手についていっただけ。
その辺りの言い訳を考えるのは得意。
安心を。」

  依頼者の女子大生がパートナーになるのなら面白い。
  そして謎の戦闘能力も解明させてもらおう。
  話で中断しかけた霊の体組織も回収した。
  俺達はこの場所を後にする。

  もしかしたら厄介な人かもしれない。
  それはお互い様か。
  いい旅になるよう祈るとしよう。

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