家業なんて継がなくてもいい

中小企業を中心にM&Aが盛んになった今日この頃。
農家の世界もM&Aが盛んになるのだろうか。

農家、農業の世界は、まだまだ農家のこせがれが、農業を継いでなんぼ、
みたいな風潮が強いような気がします。

農地法なども農家の子弟に有利に働く仕組みになっているので
仕方がないとは思うのですが、
離農した今だからこそ、声を大にして言いたい。

「家業なんて継がなくてもいいんだよ」と。

農家に生まれたからといって、
自分の興味関心が、植物や動物、食べ物づくりや機械いじり、
土いじりに向かなかったら、
農家になってから、どんなに頑張ってもしんどいだけ。

特に、植物や動物そのものが好きである。
これは農家として、農業生産者として必要不可欠な条件で、
北海道なら機械いじりが好きじゃないと務まらない。

それから農村のコミュニティに馴染めるか。
これもとても大事な要素で、
ぶっちゃけ言えば、田舎のヤンキー達とノリが合うか。

田舎のヤンキー達とノリが合うなら、農村社会でも十分やっていける。

そして、一人の事業者として、
経営上の全ての結果に責任を持つ意思があるか。

これはダメ農家とイケてる農家の境界線。
ダメ農家は、ダメなときの理由を外部に求め、毎年同じことを繰り返すが、
イケてる農家は、人事を尽くして天命を待つ。
誰に言われるでもなく、絶えずPDCAサイクルを回し、
毎年、工夫と改善を積み重ねる。

これらの要件を満たせるならば、
農家として上手くやっていける可能性は十分にある。

だけど、上二つを満たせる気がしないならば、
例え、実家の経営がうまく行っていても、継がない方が無難。

農家は大規模農家と言われても、所詮は売上1~3億円の零細企業。
経営者が生産から販売まで全部見れないと話にならないし、
結局は生産技術の良し悪しがモノを言う商売。

もしも、実家が農家で、家業を継ごうか悩んでいるならば、
自分は食べ物づくりが好きで農家になろうとしているのか?
それとも義務感で農家になろうとしているのか?
よくよく考えてみて欲しい。

そして、実家を継ぐべく農家になったものの、
どう頑張ってもうまく行かない、しんどい、辛いならば、
やめてもいいんだよ、と自分に言ってみて欲しい。

20代、30代のうちなら大丈夫。
今の時代、仕事なんて世の中に有り余っているのだから。

自分に合う仕事は農業だけじゃないです。

農家のこせがれだからといって、農家を継ぐ必要のない世の中へ、
農家のこせがれじゃなくても、農家になれる世の中へ。

そんな世の中にすることが、私のささやかな願いです。


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