もう行けない、と思ったらいろいろな所に行きたくなる
先日、母からイルミネーションの画像が届いた。LINEのシンプルな背景に、青いキラキラのLEDの光。冬らしくて、とてもいい一枚。
その写真を見ながら、猛烈に「イルミネーションを見に行きたい!」という欲求に駆られてしまった。
イルミネーションなんて、『冬のお出かけのおまけ』くらいに思っていたのに。
数値化したら興味5くらい。それがいきなり80くらいになってしまった。
「もう見に行くことができない」という状況が、急なイルミネーション熱を掻き立てる要因になったと思われる。
イルミネーションだけでなく、ちょっと行ってみたかったカフェやレジャーに「行きたい!」と思い検索したりする。
ベッドの中で、Googleの口コミや食べログを見たりして過ごす。
スマホから世界の片隅を覗き込みながら、そうかぁ、と思う。
好きだったカフェ巡りにもバイクツーリングにも、もう行けないのだ。
美味しい紅茶を出してくれるお店を見つけて嬉しくなることも、もうない。
バイクに乗りあったかい日差しを感じながら、全身に当たる風を気持ちいいと思うこともない。「遠くまで行ったなぁ」という達成感を得ることも、もうないのだ。
それは、私にとってとても寂しいことだった。
徒歩5分のコンビニに行って寝込んだりする私には、カフェもバイクもとても無理だ。
そもそも、半年前にアレルギー体質であることが発覚してから、カフェからはだいぶ足が遠のいていた。
食事も行動も、どんどん狭められてしまう。
歳を重ね、老いからできなくなってしまうのとは違う。ある日突然、あるいは徐々に奪われていくものだ。
なんて理不尽なんだ、と絶望することもある。そもそも生まれ育った環境が理不尽だらけだったので、もう慣れっこ、という感覚もある。悲しい。
今までできたことを諦め、またできることを探していく。
そんな作業と向き合いながら、ひとつひとつ自分をアップデートしていく。
ここからが、また始まりなのだ。
夜風に凍えて背中を丸めながら、色とりどりに光るイルミネーションがまた見たい。
今までの100倍くらいありがたがって、写真もたくさん撮るだろうな。
そんなことを夢見ながら、毛布の中で丸くなる。
あったかいのが一番だなぁ、とか思いながら。
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