見出し画像

100冊読者計画012『母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか』斎藤環著

親子関係というものを昔からよく考えている。
 
恥を承知で言うと、僕は親と仲が悪い。というより僕が親を徹底して避けている。
実家にいたほうが貯金ができるとか、子供ができたら保育園の送り迎えをお願いするとか、そんな特典を得るより、親と過ごすストレスから解放されるほうを選んでいる。
 
だが、そこに対して漠然とした不安もある。
このまま僕が結婚したら。子供ができたら。新しい家族と、どう向き合っていいのかわからない。
 
今の僕にとって、親子関係とはある意味「断絶」の関係だ。世間的な親子関係のひな型のような「卒業」や「独り立ち」とは少し意味が違う。
僕には姉と兄がいる。姉は早い段階で親と絶縁して兵庫に住んでいる。兄は親とたまに連絡をとっているようだが、東京で家族を持ち、沖縄に住むことは一生無いと決めている。
僕だけが沖縄に残り、そして親との連絡を絶っている。
 
家族ってなんだろう。
 
***
 
今回は斎藤環氏の『母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか』を読んだ。
 
親子関係について知りたくて選んだわけではなく、ブックオフでたまたま目に入り、タイトルの強烈さから勢いで買った本だ。最初はミステリーの解説か何かだと思った。
中身は全く別で、精神科医の斎藤氏によって母娘関係の特殊性を読み解く内容となっている。
 
言われてみれば僕でもピンとくる。母と娘の関係は、父娘や、母息子といった関係とは様相が違う。非常に複雑だ。
女性が読むとおそらくより消化しやすいと思う。

✳︎✳︎✳︎

そう、今まさに書いてて気づいたのだか、家族関係の悩みとは、要するに人生を使って行う「消化」の過程なのだと思う。
親、子供、教育、愛など、誰もが一度は悩むことがあるだろうし、その悩みは綺麗に解決しづらいものでもある。

変な表現かもしれないが、僕はそういった悩みに対して、粘着性が高いというイメージを持っている。
洗ってもなかなか落ちない。こすればこするほど自分が傷ついていく。
どうしてこんなものと付き合っていかないといけないのか。そのもどかしさは、人生の長い時間をかけてゆっくりと消化していくものだと今は信じている。
僕も家族に対して色々抱えつつ、いつかはそれらとしっかり向き合う必要があるのだ。

この本は、著者の分析によってその消化を少し手伝ってくれるような、そんな印象だった、

✳︎✳︎✳︎

家族関係に何らかのもやもやを抱く人は読んでみてほしい一冊だ。
ただし、著者の特徴なのか、文体に少しクセがある。女性を怒らせようとしてるのではないかとヒヤヒヤする表現もあった。
読みたい方は、少し注意してみてほしい。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?