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りんごブローチができるまで

なんとなく『りんご』にはデザインの基本というイメージがあったので、デザインにはかなり気を遣いました。

「時間をかけてでも、とにかくデザインにこだわれ」

by 祖父

時を同じくして、祖父からも似たようなことを言われました。
「青邦(せいほう)」の名は祖母から継いだものですが、私に備わっている聴覚優位という特性は祖父から受け継いだもので、クリエイティブに対する考え方がとても似通っているのです。

そんなわけで、デザインにこだわると決めたリンゴですが、ありきたりすぎると思ったので、正面から捉えるという選択肢は最初に外しました。

それから色のバランス的に、葉っぱは必要だなぁとは思っていたのですが、アイロンビーズ作品として仕上げた際に飛び出す部分があると、その部分の強度に問題が出てきたりするので、なるべく丸のカタチに収めたいところ。

ともすると「葉っぱがギリギリ収まる角度から見下ろしたリンゴ」というところに落ち着きました。

そうしてドット絵のデザインと向き合うこと10時間。
ヒットアンドアウェイ……じゃなくて、サーチアンドデストロイ……じゃなくて、なんでしたっけ、アレ。
とにかく試行錯誤を経て、それっぽいものができるところまではいったのですが、なんだかしっくりこないんですよ。

具体的に言葉にしてみると「光の当たり方を考えると合理的なデザインなのに、全体的に見た時に違和感があるデザインになってしまう」みたいな感じでしょうか。

こういう時に私が大事にしているのは、第一印象です。
正しさよりも、美しさ。
ベースとなるデザインは「それっぽく」した上で、このリンゴはフィクションだと割り切って光の当たり方を気にせず、心に描いた理想のりんごを追求しました。

そして、デザインと向き合うこと、20時間。
完成したのが、現行のりんごブローチのデザインです。

日常風景とりんごブローチ

試しに息子に「これなぁんだ?」と尋ねてみると、すぐに「リンゴォ!」と返ってきました。

よし、3歳児にも理解できるデザインとあらば申し分なし。

と思いきや――

「パパ、これ、リンゴ、葉っぱついてるよぉ???」

by 3歳児

葉っぱがついているりんごが不思議なご様子。
言われてみればスーパーで売っているリンゴには葉っぱがついていませんし、意識的に機会を作らなければ木に生っているリンゴを見ることは少ないのかもしれません。

(この秋はリンゴ狩りだな......)

こうしてまたひとつ、秋の予定が決まったのでした。

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