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2020年京都市長選挙 無党派向けまとめ

はじめに

この記事は2020年1月19日告示、2月2日投票日の京都市長選挙に関する無党派向けまとめ記事です。3~4分で読めます。

この記事を書いている私は、
・支持政党無し
・行政関係者ではなく、ビジネスの人間
・メディアの人間でもない
ので、私と同じ「普通の無党派」の方の投票の参考になれば幸いです。

SNSでは中傷や京都市に関係ない国政関連のコメントが飛び交っており(見てて怖いw)、建設的、客観的な立場でファクトに沿った整理があまりないので書いてみました。

なんで京都市?
私は事業再生の専門家です。最近、自治体も再生コンサルの対象として認識され始めています。財政の厳しい自治体を調べていたら昔住んでいた京都市に行き当たった、という経緯です。

京都市の現状 ~ 会社にたとえて

ビジネスパーソン向けに、市の状況を会社にたとえて整理してみました。
・売上  ≒ 税収
・財務  ≒ 市の財政
・顧客数 ≒ 人口
多少強引ですがこんな感じでしょうか。

行政の公開情報から調べてみると以下の3点でした
・一人当たり市税収入、財政力指数とも他政令指定都市平均以下
・突発の歳出増に備えて積み立てる「財政調整基金」はゼロ

・人口は2015年から減少、特に働き盛りの20~39歳の人口が減っている

企業でいえば売上、財務とも他社に劣る中、顧客、特に若い顧客層は減っています。にも関わらず、万が一に備える「引当金」はありません。

しかも、職員と市長の給与を昨年上げる決定をしています。

他都市(新潟、相模原ほか)の資料で、京都市は政令指定都市で最も将来負担率の高い自治体として紹介されています。

そんな京都市のトップである市長(≒社長)ですが、現実を踏まえて、具体的で優先度のついた方策を示しているか、という観点で選ぶのがよいと考えます。
もちろん観光、交通(リニア、地下鉄他)、福祉・教育等個別の論点はありますが、まずは投票に当たって現状認識からスタートする必要があります。

市の職員数は1.8万人(大阪ガスの正社員数が2万人)と東証一部上場企業クラスの組織のトップになるのですから、「お金はないけど、なんでもやります!」では誰も納得しないでしょう。
他都市では人口増、税収増、効率化に成功している例もあります。つくば市のように外部の人材を副市長として招くことも必要でしょう。

以下、他都市と比較したランキングにまとめてみました。

4図

図5

図1

図2

3候補のまとめ

以下、立候補表明順に3候補の情報を整理しました。

図3

選挙の構図
国政で対立する自民党、公明党と立憲民主党、社民党が手を組んで相乗り支援する現職門川候補、共産党推薦の福山候補、第三極・元市議の村山候補という三つ巴の構図です。他地域には無い、分かりにくい構図ですねw

12年前、2008年の市長選挙と似た構図です。2008年の選挙で門川候補が初当選した際、共産系候補に951票差と辛勝しました。

今回の選挙争点
・厳しい財政の立て直し → コスト削減と税収増の方策
・観光と市民生活(交通、福祉、教育他)の両立
・現職・69歳の門川候補の多選の是非 → 全国の市長の平均年齢59歳
情勢は横一線とのことで、現時点で報道はありません。

個人的には、働き盛り世代の減少への打ち手に着目しています。

主要公約

村山候補
政策を約50に現実的に絞り込み、民間顧問の視点も市経営に取り入れる


・財政再建こそが1丁目1番地、市交通局も民営化し再建に取り組む
・市長給与50%カット、業務5%削減と5%効率化→700億円分捻出の具体策
・市立芸術大学の京都駅前への移転は中止し、若者のためのオフィス誘致
・ホテル立地規制の実施、バスの生活路線、観光路線の分離
門川候補
政策は141と「てんこもり」で優先度不明、3期12年の実績を強調

地域文化の発展・継承に貢献しない宿泊施設の進出を「お断り」
・空き家に対する固定資産税軽減見直し等による新財源創出
・民営化・効率化はコメント無し、3期の実績を強調し他陣営に反論
・ご自身の不祥事と不適切発言は華麗にスルーw ネット苦手
福山候補
政策は176と「てんこもり」だが、「市民の暮らし」を軸に優先度付


・給付制奨学金の創設、中学校での全員給食実施
・行き過ぎた民営化や市の施設売却等は、宿泊施設優遇策は見直し
・福祉の充実で人口が増えれば市税収入は将来増えるという主張は一貫
・当選後直ぐに実施する具体策「4つのすぐやるパッケージ」を明示

最後に
事業再生に取り組んできた私としては、自治体が再生の対象となるのはあまり良いこととは思えません。選挙という民意を反映する機会を活かしていただき、「再生案件」とならないことを祈っています。

余談:このアカウントは政治アカウントではなく、もっとビジネスのことを発信する気だったのですが、この記事の謎のアクセス数の伸びに驚いています。。。

情報源

京都市役所ホームページ
https://www.city.kyoto.lg.jp/menu5/index.html

毎日新聞記事
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200115/k00/00m/010/058000c

京都新聞/3候補者の対談
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/112819?utm_content=uzou_1&utm_source=uzou

他都市との財政の比較
https://www.weekly-economist.com/20171121feature/
その他、新潟市、相模原市の財政資料参考

各候補者のサイト
村山しょうえい
https://xn--n8jdg2dtn022v15p.com/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E5%B1%B1%E7%A5%A5%E6%A0%84
https://twitter.com/sho9722483

門川大作
http://www.kyoto-daisakusen.jp/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%80%E5%B7%9D%E5%A4%A7%E4%BD%9C
https://twitter.com/miraikyoto2020

福山和人
http://www.fukuyamakazuhito.jp/
https://twitter.com/kaz_fukuyama

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