動画活用セミナーフレームワーク1

動画マーケティングに有効な「1情報1動画」の制作フレームワーク

前回の記事「マーケティングに動画を活用するためのフレームワーク」では、大きく下記の二点を強調しました。

●動画のクオリティは、目的や課題、ユーザーとの関係性によって変わる
●制作コストを下げ、効果を上げるために「動画化価値」を意識する

この記事の内容を受けて、本記事では、ある程度ユーザーとの関係性ができている状態で、見込客の育成(リードナーチャリング)や資料請求などを目的とするマーケティング活動に役立つ動画のつくり方をお伝えします。
実際に動画活用セミナーで使用しているフレームワークを提示しつつ、動画の再生数向上や動画視聴後のCVR(コンバージョン)向上のための方法論と実践事例として、ぜひお役立てください。

01.「1情報1動画」を勧める理由

みなさんがある製品のマーケティング担当者だとして、動画を制作することになったとしましょう。その製品には、使用している素材や採用している技術、ターゲットユーザーにとって便利になるであろう機能やUI、魅力的なデザインや価格など、様々な情報が存在しています。
動画を制作するとき、マーケティング担当者であるあなたのもとには、開発担当者や営業担当者から、「この技術は特に力を入れて開発したので、ぜひ入れてほしい」「あの機能は見込客に刺さるから絶対にのせて」といった要望が寄せられているはずです。マーケティング担当者であれば、運用しているリスティング広告の内容を鑑みた情報を動画に入れこみたいと思うでしょう。

こうした情報をすべて動画に入れることは不可能ではありませんが、そうしてつくられた動画は再生時間がどうしても長くなりがちです。動画の編集の仕上がりによっては、何が伝えたい情報なのかがぼやけてしまいます。さらに、多様な情報を一本の動画にすることは、センス以外に制作時間もかかってしまいます。
制作時間がかかるということは、その分制作費用もかさみます。制作費用をかけて、伝えるべき情報が曖昧な動画は、再生されても途中で離脱されたり、視聴者の行動を喚起することができません。結果的に、「動画つくったけど、効果なかったね」という失敗事例がまた一つ増えるだけです。そこで提唱しているのが「1情報1動画」です。

02.「1情報1動画」を制作するためのフレームワーク

1情報1動画とは、マーケティング担当者であれば常に意識しているであろう、伝えるべき情報の取捨選択を、動画でも実践しよう、というものです。
動画は編集次第で短い時間に多くの情報を入れこむことができます。制作費用も安くないことから、「高い費用を払うんだから、あれもこれもいれたい」という心理になりがちです。そこで、まずは1情報1動画を制作するためのフレームワークを提示して、動画で伝えるべき情報の取捨選択をする方法をご紹介します。

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この図は、動画化する製品の伝えるべき情報を抽出するためのフレームワークです。
まず、対象となる製品の画像を「主題(商品)」の枠に置きます。次に、その製品が持っている情報を「要素」「機能」「属性」の3つにバラします。

要素はその製品全体を構成する部分、部品、成分、パーツなど。機能は製品を使う目的、使い方、手段、性能、効果効能、ベネフィットなど。属性は背品の色、大きさ、種別、製作年代、産地、生産者などです。

このフレームワークの目的は、一(ひと)まとまりになって、何を伝えるべきか曖昧模糊になっている状態から、動画で伝えるべき情報を取捨選択しやすくするようにすることです。
製品を販売したいユーザーが決まっていればこのフレームワークで十分ですが、まだどんなユーザーに売れるかわからない状態であれば、想定ユーザーを分母に置いたフレームワーク(下図)が有効です。

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このフレームワークは、ある製品の想定ユーザーが、働く20代女性、大学生(女性)、シニア(女性)と複数いる場合のものです。
たとえば、取り扱う製品が「梅干し」だとして、その梅干しがもっている機能性情報は、ターゲットユーザーによって意味合いが異なる可能性があります。働く女性にとっては「疲労回復」の意味が。大学生にとっては「気分転換」の意味が。シニアにとっては「塩分控えめで健康にいい」の意味があるかも知れません。
下の写真は、食品メーカーの企業担当者向けに、栗きんとんを対象商品として、想定ユーザー別に伝えるべき情報を抽出したものです。急いで書いているもののため解読が難しいと思うのですが、一つの商品が持っている情報が、ユーザーにとって意味合いが異なるということをご実感頂くものとしてご覧ください。

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こうした抽出した言葉が、動画を制作するときの拠り所となります。情報をバラし、ユーザーの購入や資料請求に最も寄与しそうな情報を選んだら、その情報を動画化していきます。

03.「1情報1動画」の事例

では、実際に1情報1動画の事例を見てみましょう。

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こちらの事例はLIXIL社の住宅設備を動画で紹介しているwebページです。

キッチン、トイレ、玄関ドア、バスルームなど様々な製品の特徴を紹介する動画が複数ありますが、ページ上の#(ハッシュタグ)をどれか一つクリックしてみてください。そうすると、その製品紹介動画が3~4本表示されます。一本の動画の尺が15秒で、その設備が持っている一つの特徴を、一つの動画にして伝えています。

もう1つ、別の事例を見てみましょう。

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こちらの事例は防災通販サイト「そなえる.com」を運営するカスタネット社が制作した、蓄光テプラーを紹介する動画です。

蓄光テプラーを使用するシーンを3種類の動画に分けて制作しています。

この3つの動画のうち、どれがコンバージョンに寄与したかは別の記事で解説したいと思いますが、ここから先は、このように1情報1動画にすることのメリットをまとめておきたいと思います。

04.「1情報1動画」を制作するメリット

1情報1動画にするメリットは、たとえば上述した住宅設備紹介動画であれば、一つ一つの動画をFacebook広告やYouTube広告で配信して、もっともCVR(コンバージョン)に寄与している動画に、広告予算を集中させるというマーケティング施策を採ることができます。
また、その動画をテレビCM制作の参考とすることもできますし、商品購入ページの改善に活用することもできます。

1情報1動画は伝える情報が少なくなっているので、動画の尺(再生時間)も短くすることが可能です。複数の情報を1本の動画にするよりも編集時間を短くすることができるので、制作コストを下げることができます。
1本の長尺動画と同じ動画制作コストをかけるなら、複数本の短尺動画を制作し配信することで、コンバージョン向上の可能性を高めることができます。

また、同一製品の動画を複数の異なる切口で制作しておくことは、リスティング広告戦略をより精度の高いものにします。

さらに、複数の動画を所有することで、メールマーケティングのコンテンツとして、複数回見込客にコンタクトすることができます。(1本しか動画がなければ、1回コンタクトしておしまい)
複数の動画をまとめた製品ランディングページを制作することもできます。

このように色々なメリットがある1情報1動画ですが、従来の1本つくってナンボ的な動画制作方法ではできない、制作のコツが要ります。このコツについては別のnoteで解説したいと思います。

次の記事では、抽出した情報の成功事例と失敗事例について解説予定です。
みなさんのマーケティング活動においてこの考え方やフレームワークが役に立ちそうでしたら、ぜひチーム内で記事シェアください。

こうしたメソッドを多数収録した書籍を刊行しました。

詳しい内容は下記の動画で解説していますので、よろしければご覧ください。


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