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C値0.2の家(未計測)と計測の意味

我が家は、C値がおそらく0.2くらいです。たぶんそれ以下なんですが、計測していないのでそれ以下です、と断言することはしません。きっとそれ以下な気がしますが。
計測は断りました。というか、希望しなければ測らないわけで予算が節約できます。そして計測したところで、その数値を10分の1まで知ったところで特に何かが変わるわけではないと思ったからです。


未計測なのになんでC値が0.2(くらい)だと言えるのか

お願いした工務店が、以前より何度も計測しているが、普通に作ればいつも0.2程度、多くはそれを下回っていたと言っていました。最初のうちは、数値が悪いと困るので毎回自腹で測っていたそうです。もうこのところは施主さんが希望しなければ測らなくなった、というのも、毎回同じ大工さんと同じように家を建てると、数値がだいたいわかるようになったから、だそうです。家の仕様にもよりますが、この工務店では高気密高断熱な家しか建てないので、あまり気密性の下がる仕様は断るようで、ほとんどの場合には0.2は下回るものが出来上がるそうです。
なお我が家の場合は引き戸が無かったりFIX窓を多用したり、建物が四角四面という気密に有利な形だったりと、工務店が「0.1くらい出てるんじゃないでしょうか」とおっしゃるので、まあ悪く見積もっても0.2くらいだとは言えると思います。

計測っていつやるの?

計測は、気密処理が終わった時点でやります。壁はまだ貼っていません。なんだったら天井も無いし階段もついてないかもしれませんし、なんならキッチンやトイレ、バスも入ってないかもしれません。内装はやってない状態です。
換気扇や配管などの外とつながっている穴は目張りをしてふさぎます。24時間換気の穴もふさいでおきます。
なぜこんなタイミングかというと、もし気密が悪い場合には原因を探して修正する必要があるからです。もちろん、この状態で気密が良ければ、そのまま内装をやってしまえるわけです。
ということで、その後いろいろ内装工事が入りますので、完成した家のC値というのは、もう一度測ってみないといけません。しかし、1回あたり10万円ほどと言われる気密測定、2回も3回もやるのは費用的にもったいないと思う施主さんが多いようで、気密処理時点で測定するだけというのが一般的なようです。

出来上がった家のC値はどのくらいなのか

目張りをしない、生活している状態でのC値はどのくらいなんでしょうか。我が家では測定しておりませんので、実際に測定された工務店さんのブログを紹介します。

結論から言うと、C値は目張りありで0.2、目張り無しで0.4だということです。
当然、我が家でも、もし完成後目張り無しで測定をしたら0.2を上回ると思います。なぜなら我が家を建てた工務店が測定をするタイミングが、やはり気密処理が終わったタイミングで測定をするのが標準だからです。
当たり前ですが、目張りをしなかった換気扇のダクトなどは、少し空気が出入りするでしょう。ダンパーが付いていても、ゼロではありません。キッチン、トイレ、お風呂、いくつ穴が空いているでしょうか。そのちょっとちょっとでC値は悪くなります。
しかし、その悪くなり方というのはそれほど大きなものではなく(実際にダンパーを見たりすると、意外とせき止めてるなあと思います)、むしろ玄関ドアを一回開けるだけで気密はめちゃめちゃ悪くなります。洗濯ものを外に干される場合には、掃き出し窓を大きく開けて、出入りしたりするでしょう。いったいC値はどのくらいなんでしょうか。数十、というオーダーになりそうです。

断熱を考えないC値は、ただの数字である

家の中が暖かいから(もしくは冷やしてあるから)、外気との空気の行き来を無くして、熱が逃げる(もしくは入って来る)のを防ぎましょう、というのがもともとのC値の考え方でしょう。
なので、断熱ありきなのです。断熱できているから、C値を気にするという順番になります。
我が家を建てた工務店の考え方も
(欲しい性能)冬はあたたかく夏は涼しい家
(その性能のためには)断熱をしっかりとやるべきだ
(断熱をしっかりやったからには)C値をできるだけ下げて断熱効果を下げないようにする
という順番で考えていました。だから、施主さんから依頼されないとC値は測らなくなったそうです。まあそもそもですが、測定しない理由の大きなところは、しっかり断熱を考えて設計してしっかりと気密の施工をすれば性能が出る、という実績からでしょう。
つまり、この二択のうちどちらを選びますかという話なんですが、ひとつは完全に気密を保持したビニールハウス、もう一つは気密がスカスカな50年前の普通の木造住宅、さあどちらが夏涼しく冬暖かいですか、という話です。ビニールハウスは夏の日中はサウナで冬の夜間は極寒でしょう。50年前の木造住宅のほうがマシなのは考える必要もありません。
極端な例を持ち出しましたが、最初に考えるべきは断熱計画であって、それを補完するのがC値です。

数字で表される気密(C値)、予想の値でしかない断熱(UA値)

残念なことに断熱性能を完成した家で測定して数値で表すことはできません。断熱性能として言われるUA値は理論上の値で、計画したとき(設計したとき)の値です。悪く言えば「こんな部材を使ってこのくらいのサイズの家だから、断熱がこのくらいはできてると思うよ」という程度です。
気密も断熱も、その性能が上がるか下がるかは施工に依存する部分が大きいかと思うのですが、その施工の結果、一応数値として出る気密(C値)に対して、設計時に計算した数値でしかない断熱(UA値)は、本当にそんなに断熱できているのかがわかりません。それこそ住んでみないとわからないバクチのようなものです。
国が定める基準としてUA値が公開されいてますが、施工次第じゃないかと思うような内容です。部材で決まるなら大工は苦労しない、と我が家を建てた大工さんが言ってました。設計段階で良い部材を使うよう計画しても、施工が悪ければ熱は逃げてしまいます。

C値もUA値も信じられないなら何を信じればいいのか

イワシの頭よりもやや信用できる程度のC値やUA値ですが、それよりももっと信用できるものがあります。逆説的ですが、C値やUA値よりも「施工が丁寧です」というアナログな部分を推してくる会社(HM、工務店)です。
もちろん、きちんとした設計で気密も断熱も「測ればちゃんとしてます」というのが大前提ですが(今どき気密も断熱も考えないというHMや工務店はそうそう無いかと思いますが)、それはもう当たり前なのです。断熱がしっかりしてない家は暑くて寒くて住みにくいですし、断熱性能を高くするために気密性を上げるのは当たり前なのです。
その上で、丁寧に施工します、というところを選ばないとだめです。C値を上げるためだけに何やら細工をしてみたり、断熱のための部材は良いものでも隙間だらけの施工だったりしたら、そのC値は、UA値は信用できますか?ということです。
良いHM選び、工務店選び、そして、しっかり施工してくれるように施主は見張る(見張るが言い過ぎなら、丁寧な施工をしてもらうように人間関係作りをするとか、なんなら頻繁に差し入れ攻撃をするとか)ことが必要です。

だから、C値の測定は断りました

我が家を建てた工務店は、もうお馴染みの社長で、お付き合いも長いし人柄もお互いよくわかっているということで、施工がバッチリだろうという見込みがありました。さらに断熱に執念を燃やしているので、施工で手を抜くなどあり得ません。出来上がった家が気密や断熱的に欠陥住宅だったなんてことは万に一つも無かろう、というわけで測定は無しにしました。測っても数値は出るはずだし、そのために10万円払うくらいなら、大工さんに10万円ぶん差し入れでもして丁寧に施工してもらったほうがよほど気密性が上がりそうな気がしたからです(差し入れ攻撃しました)。
というわけで、断熱性能の高い家を作るときに、C値の測定がマストかということですが、まあ予算に余裕があればやってもいいのではないかと思いますが、計測の「意味」を考えると、やらなくてもいいんじゃないかなというのが僕の感想です。

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