女性の薄毛

女性も薄毛になることがあります。その原因を以下に挙げます。

①加齢変化
②AGA(FAGA)=女性のAGA
③休止期脱毛症(急性、慢性びまん性、慢性)

1つずつ説明します。

①加齢変化は病気ではありません。誰にでも生じる老化現象です。

薄毛に悩んでいない女性の毛成長の調査結果を示します。
40代前半までは毛が太く、髪が伸びる時期(成長期)にある髪の割合も低下していない一方で、閉経すると毛が細くなり、活動を休む毛根(休止期)の割合が増加し、毛の密度が低下する傾向が示されています。

つまり、加齢変化は休止期毛の割合が増え、成長期毛が短くなるために、頭全体の毛髪数が減少すると言えます。

髪が細くなり地肌も見えやすいことから、頭頂部の髪の分け目が広がったことや、両側頭部の毛量が少なくなったことに気づきやすくなります。

加齢変化として皮脂分泌が減少し、髪のつやが失われてハリがなくなり、髪のボリュームが減って地肌が目立ったり、柔らかい毛に変わったりすることもあります。

女性の場合、性ホルモンが著しく変化する更年期前後の脱毛数の増加で不安になる場合もあるが、全頭に及ぶ軽度の変化ならば加齢変化と考えて対処する。

②FAGA(女性のAGA)発症のメカニズムはまだ明らかになっていません。

1977年にルードヴィヒらにより、視診による分類(ルードヴィヒ分類type1-3)が示された。

当初は、女性では前頭部や角額の後退(M字型になること)は少なく、頭頂部の毛が細く、少なくなる変化が主体とされました。

しかし、その後前頭部や生え際、角額の後退も女性の薄毛ではあり得ることと認識されるようになりました。

短期間で抜け毛が多く、地肌が目立つという変化ではないのですが、抜け毛の中に細くて細い毛が多くなってきた場合には、FAGAも考える必要があります。

FAGAの発症時期は高年であることが一般的です。

父親がAGAである人なら、出産後に生じる出産後脱毛をきっかけにFAGAが進行する場合もあるようです。

また、性ホルモンの分泌が著しく変化する更年期の前後でもFAGAが目立つようになるが、加齢に伴う薄毛との鑑別は難しく区別しないで治療していくことが現実的です。

FAGAを生じる日本人女性の場合、血清中の男性ホルモン値(フリーテストステロン値)の上昇を認めることは少ないと考えられています。
もし、血清中の男性ホルモン値が高値で、生理不順などの症状がある場合には、卵巣の男性ホルモン産生腫瘍や多嚢胞性卵胞の精密検査を受けに婦人科に相談する必要があります。

びまん性脱毛を発症する女性では、生理不順や多毛、にきびを認めず、フリーテストステロンが正常値でも、男性ホルモンの一種であるデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEAS)が軽度上昇している場合もありあす。DHEASの変化と毛成長との関連は現時点では不明です。

③休止期脱毛症はさまざまな原因で起こると言われます。
たとえば、ストレスや栄養不足、薬の副作用、内臓疾患などの影響などがあげられます。

・急性休止期脱毛
ストレスや貧血、分娩後のホルモンバランスの変動などによって起こる。
・慢性休止期脱毛
原因不明。中年女性に6ヶ月以上継続する。
・慢性びまん性休止期脱毛  
内臓疾患の影響で発症する。頭部全体にゆっくりと進行する。

脱毛の症状が内臓疾患などによる影響であるならば、早めに対処する必要があります。内科や婦人科を受診して検査を受けることが重要になります。

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