出る杭は打たれるー突き抜けたら,弱き立場の人々に支えられ! Part6

 シンクタンクは、完全な実力主義。自分で中央省庁や自治体で獲得した受託研究なら、プロジェクトリーダーとして有能な研究員を選べる。換言すれば、使えない研究員には声がかからない。また、誰でもプロジェクトリーダーになれる訳ではない。年長でも自分で受託研究を獲得でず、総研という組織に来た仕事(殆ど予算は些少)を、余ったワーカーでこなさなければならない。当然、無能な研究員は無駄な残業も多く、利益率も下がるわけです。 

 一言で「13本のプロジェクトを走らせ」、と書きましたが、その内実は大変な運営能力と記憶力を要します。これって半端じゃなく大変!

 例えば、Aプロジェクトのクライアント報告が来週なら、そのプロジェクトの研究員にその週の水曜までに作成資料を持ち寄らせ、打合せ。Bプロジェクトで来週地方出張があれば、事前に新幹線、飛行機のチケット予約が必要。Cプロジェクトで研究員の資料が使えない場合、修正指示も無駄だったら、自分で修正。その間にDプロのクライアントに電話・・。

 と、全てのプロジェクトの進捗状況と研究員の状況、スケジュールを把握してパラレルに動くのは相当のストレスです。でも、研究員も私に選ばれることを誇りに思ってくれるように!

 また、実力主義は研究員のみならず、研究室の秘書さん、派遣社員、プログラマー、アルバイト・・・。私は、弱い立場にある彼らを大切にしました。彼らに支えられていることを自覚していたので。

 でも、彼らは自分達の不満を声にできる立場に無かった。だからその不満、例えば喫煙者が研究室に居ても、近い席は嫌、と言えない。私は彼女達のために研究室長に言って席替えをし、当時珍しくなかった喫煙者を囲い込み。筑駒出身のアルバイト学生達にもプライドがあり、彼らを競わせ「美子さんに仕事を頼まれるようになりたい」と彼らが思ってくれ、有能な学生には時給を上げることが、私なら可能。

 そのインセンティブを高め、研究員も「美子さんに声を掛けられるように頑張る」という文化を創ったのです。私は警備の方や清掃の方々にも人気がありました、いつも笑顔で挨拶するから。

 仙台七夕祭りの時期に宮城県出張が入り、地域計画研究室の素直な秘書さんが、新幹線の予約が取れなかったと気の毒そうに言ってくれたとき。「そっか。仕方ないから、2時間立って行くから」と言ってあったのです。

 ところが翌日、彼女が「美子先生、指定券取れました!」と渡してくれ、「本当!?有難う!」と喜ぶと彼女も嬉しそう。で、新幹線内で指定券のチェックが来た時、初めて気づいたのが「新小岩駅」と発行駅名。総研の近くのJTBの「麹町」ではなく。彼女は帰宅時、最寄駅で勤務時間外なのに、私の為にキャンセル待ちを確認、漸く指定券を取ってくれたのに、私には何も言わなかったのです。

 私が気付かなければ、彼女の心遣いも判らなかったのです。お礼を言うと「だって、凄く忙しくてお身体大変ですから」って!感動して、彼女の待遇を上げるよう、室長に進言。心身がボロボロのとき、その優しさが身に沁みました!

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