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【ゼロから始める中医学】気の滞りと血の不足〜肝の病証〜

こんにちは!
HAMTライブラリ中医学担当のどらごんこと大西竜之介です🐉

前回は肝の生理についてみてきた。
覚えやすいように一枚の図にまとめてみたがどうだっただろうか?

合わせて生理作用が失調するとどういう症状が起こるのかもみていった。そうすると次に、

どんな症状があるときはどんな病証となるのか?

が気になってくると思う。
ということで今回は肝の病証についてみていきたい!

1. 情志の変化!肝鬱気滞かんうつきたい(肝気鬱結)

情志の変化などにより疏泄が失調して気鬱・気滞が起こる実証の病証である。
先に気機の失調や気滞があり情志に影響することで起こることもある。

疏泄の不及ふきゅうで気機が滞ると精神抑鬱状態に、疏泄の大過たいかで気機が亢進すると肝の生理特性の昇発によって気機が過剰に上昇し怒りっぽいなどの状態になる。
逆も然り、長いあいだ落ち込んだり、強く怒ったりすると肝鬱気滞になりやすいということでもある。

胸部や上腹部で気滞が生じると前胸部の不快感が出てくる。
また胸肋部は肝経・胆経の領域なので疏泄が失調すると胸肋部痛が出やすくなる。

女性が生理前に胸が張ってくるのも気滞の影響のひとつである。
合わせて生理前のイライラなど情志の変化が同時に起こってくるのはやはり肝鬱気滞の可能性が高い。

脈は脈弦という緊張したような脈になることが多い。

肝鬱気滞の特徴は情志の変化があること。
気滞の所見があっても情志の変化がなければ肝鬱気滞ではない。
さらに肝鬱気滞は様々な臓腑に伝変(伝わり変化)しやすい特徴を持っているので注意しよう!

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在宅の現場でも最近急に落ち込みやすくなった、ちょっとしたことで怒りやすくなったなどの変化があった場合は肝鬱気滞を疑ってもいいだろう。
特に高齢者は家でじっとしていることも多いので気滞になりやすい。

鍼灸でなんとかするよりまずは運動やストレッチで身体を動かすことから始めてみよう。
また熱は気を動かすので温めることも気滞にはいい。
ただし!次の肝火上炎のように熱化している場合は悪化させる可能性があるので注意が必要である。

2.熱は昇る!肝火上炎かんかじょうえん

肝鬱気滞が進行して化火(熱化)し経絡にそって上逆して起こる実熱の病証である。
気鬱・気滞の症状を伴いながら頭顔面部に熱症状が現れるのが特徴で頭痛眩暈目赤耳鳴りなどが起こってくる。

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