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日本人と塩分 【4】

(前回から2週間、だいぶ間が空きました)

(今日はちょっと長いです)

前回記事で、日本の食品表示(ラベル)はあまり消費者視点ではないと書きました。例えばこちらのイメージ(どこのメーカーかはわかりませんが、”醤油”でイメージ検索したら出てきたので多分醤油)、栄養成分表示100gあたりとあります。

醤油を100g料理に使うのってかなりの塩分量ですしまあそれはそれでコメントしたいところですが、それより、「100gって多分100mlだと思うけど、大さじ一杯を使いたいんだけど、一体全体ナトリウム量はいくらなの?」となりませんか?

私は科学者ですので算数にそれほど抵抗感はありませんが、それでも料理をしながらスマホを触ったり音声認識機能に聞いたりして回答を得るのもめんどくさいし、あるいは脳トレと称して「えーっと、大さじ一杯は15mlだから100/15=6.67か、で、100gで5.1gのナトリウムだから5.1/6.67=約1g=約1,000mgか、と暗算するのも嫌です。

ちなみに前回もお伝えしましたが、米国心臓病協会が推奨するナトリウム摂取量は1日2,300mgまでです。

そう、ここまで駆使してやっと、大さじ一杯の醤油で既に一日の推奨量の半分を料理に使っていることに気づくわけです。


ナトリウムとはナトリウムイオン(Na+)のことで、私たちの脳と体に必須のイオンです。イオンの形式のままだと不安定なので、ナトリウムイオンは陰イオンとくっついて安定になろうとします。そのひとつが塩化イオン(Cl-)。Na+とCl-で合わせてNaCl、すなわち塩化ナトリウム、『塩分』という通称名です。

高血圧やそれに伴う心臓病、腎臓病などは主にナトリウムイオンの過剰摂取によるものではないかというのが一般的知見です(これが絶対とは言いません)。なので摂取量はナトリウムイオンを基準に設定されているわけです。

なので大事なのはナトリウムイオンであって塩分ではない。もっと言えば、ナトリウムイオンはあらゆる不安定な陰イオンの化合物とくっついて安定するので、多くの添加物に含まれます。そう、ナトリウムってお塩だけが由来ではないのです。

幸いこのラベルにはナトリウムと塩分の両方が親切にも記載されていますが、多くの日本の表示ラベルで塩分量しか記載されてないことがあります。

こういうところも、日本人の塩分過多に対する希薄な意識が象徴するところなのかなと思います。



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