ドクター晶子

アメリカ南部在住の医学生物系研究者です。滞在歴10年以上の視点から諸々配信しようと思い…

ドクター晶子

アメリカ南部在住の医学生物系研究者です。滞在歴10年以上の視点から諸々配信しようと思います。テーマはライフスタイル、健康、海外生活、英語、サイエンスです。どんなに辛くてしんどくても、日々のどこかに小さなハッピーを見つけることを日課にしています。

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科学者であると言うこと

前回、競争が目的化してしまい、満身創痍となって身も心も朽ち果てて、時間を無駄にしたと綴りました。 時給で言ったらコンビニの店員さんより安いであろう一番最下層に属するAssistant professorの給料、夢と帝王になる事だけを目標に頑張るにしては心身への負担が重く、割に合いません。 でも私たち科学者は利益を追求してはいけない、骨身を削って蛍の光で実験に埋没するのが尊い、そう刷り込まれてきました。そしてそれをわたしはアメリカに来てから15年間、忠実に実行してきたんだと

    • 競争に勝つ事が目的と化す

      競争とは人生のあらゆる場面において不可欠なものです。競争=切磋琢磨、と考えれば質の良い結果を生み出せて生活・社会が潤います。程度の差こそあれ私たちは皆競争社会に生きる事を余儀なくされています。 アカデミアの人間、特にファカルティはその先端にいる、最も競争心の強くそして数々の困難に打ち勝ち続けていける性質の人間です。良い大学院へ行き、良い成績を収め、学位を取って安い給料で競争率の高いラボでポスドクを経験し、質の高い雑誌にバンバン論文を投稿し、超難関の大学でのファカルティの座を

      • 国の政策・経済が大学の構造を左右する 2

        前回、アメリカの経済力の低下が研究資金獲得の困難さを極めていると書きました。所謂入れ食い状態。 もう一つ忘れてはならないのがこのご時世ならではと言うのか、大統領の政策・公約、政党の思惑等でして、これも研究資金獲得率に大きく作用されている事を申し上げたい。 例えば女性運動家が台頭すれば女性研究者のグラント採択率があがる、BLMが台頭すればアメリカ黒人研究者のグラント採択率が上がる、ヒスパニック運動が起こればヒスパニック系研究者のグラント採択率が上がる、LGBTQが話題に上れ

        • 国の政策・経済が大学の構造を左右する

          前回アメリカのファカルティシステムについて書きました。 ファカルティの仕事として、講義、事務、有象無象の会議、優秀あるいはそうではない学生の指導、研究(実験指導や実験企画、試薬の選定と購入、データの解析解釈、論文や講演会での発表、トラブルシューティング)、そして最も苦痛で心身共に満身創痍になる研究計画書の提出、いわゆるグラントという政府機関に研究の資金提供をお願いするために提出しなければならない何十ページにも及ぶ書類書きがあります。 政府が大学等研究機関に配布する予算は、

        科学者であると言うこと

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        • アメリカでの生き方
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        記事

          大学のファカルティとは何なのか

          ファカルティというのはいわゆる教授職全般を指します。ランクとしては上からfull professor, professor, associate professor, assistant professorとなります。この他に、research assistant professor, instructor, research associate, postdoctoral fellow, senior research scientist, research assista

          大学のファカルティとは何なのか

          転職が決まりました

          1年以上何も書いてなかったですが、ちゃんと生きてます😊 実は転職が決まりました👏🏻 それもアカデミア(大学)から企業へのアメリカ国内での転職🙏🏻 その過程や経緯を、アメリカ在住15年の視点から書くと面白いかなと思ったので、何回かに分けて綴っていこうと思います。 興味があればフォローして下さい🙇🏻‍♀️

          転職が決まりました

          日本人と塩分 【4】

          (前回から2週間、だいぶ間が空きました) (今日はちょっと長いです) 前回記事で、日本の食品表示(ラベル)はあまり消費者視点ではないと書きました。例えばこちらのイメージ(どこのメーカーかはわかりませんが、”醤油”でイメージ検索したら出てきたので多分醤油)、栄養成分表示100gあたりとあります。 醤油を100g料理に使うのってかなりの塩分量ですしまあそれはそれでコメントしたいところですが、それより、「100gって多分100mlだと思うけど、大さじ一杯を使いたいんだけど、一

          日本人と塩分 【4】

          日本人と塩分 【3】

          因みにここアメリカ南部も塩分かなり高めです。 (北東部はそうでもなかったような気もするなぁ) フライドチキンやフライドポテト、バーベキューや揚げ物の味付けはかなり塩分が多い。流行りのイタリアンレストランなんかも心臓がバクバクするぐらい塩分が多かったりします。 でもYelp(食べログみたいな、顧客が店の感想〈あるいは不平不満〉を投稿するサイト)には、最高に美味しい店!とかなんです。 世界保健機関も警鐘するように、地球人は全般的に塩分摂取過多の傾向にあるのです。で、各国は

          日本人と塩分 【3】

          日本人と塩分 【2】

          大食いで人気のユーチューバーさんらはよくラーメンなんかを自分で作ったり食べに行ったりしてます。魚捌きで有名な方は、魚の表面の滑りを取るのに必ず塩で揉んでいます。明太子やイクラ、塩水ウニなど、海の幸をふんだんに使った丼とか。 米国心臓病協会が推奨する、健康を維持するのに必要なナトリウム摂取量は1日2,300mg。インスタントラーメン一袋のナトリウム量はざっと2,000mg弱ぐらい。なのでラーメン一杯食べたらそれでほぼ1日の推奨量を摂取した事になるんです。 それを十人分とかペ

          日本人と塩分 【2】

          日本人と塩分 【1】

          日本人は塩分摂り過ぎです。 日本人と言うよりは、日本食、あるいはアジアの食品全体的に、塩分はかなり多めです。 ここアメリカ南部は、西海岸や東海岸と違って日本人の数が少ないので、アジア系レストランの質は首を傾げるものが多いのは火を見るよりも明らかで、従って私はYouTubeで、大食いの人たちが流行りの食事を食べてるのを見たり新鮮な魚を捌いて刺身や丼にして食べてるのを見たりして、自分も食べた気になっています。 それにしても塩分摂り過ぎだよなぁといつも思う。

          日本人と塩分 【1】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【取り敢えず一区切り】

          〈前回の続き〉 今私がやろうとしてるのは、そう言う不安や怒り、やるせなさが押し寄せてきた時に、その時やっていることに意識を集中【し直す】事。マインドフルネス中に意識を呼吸に戻すのと同じ感覚。 大抵、不安とか心の彷徨いって、やってることに集中出来ない時にドドーッと押し寄せてくる。 『今楽しくないでしょ?あの不安について考えてみようぜ』 とか、 『あの先生は何であんなに自分勝手なのかしら』 とか。 そこでその誘惑に負けちゃうと不安・怒りの無限ループの世界。 だから

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【取り敢えず一区切り】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【5】

          この、『思考が彷徨いそうになったら呼吸に意識を戻す〈クセ〉』、実はマインドフルネス実行中で無くても普段の生活のなかで応用できるんです。 例えば今は休日の午後8時、何気にスマホでメールをチェックすると、ある案件に関するメールが仕事のメルアドに来てて、それに対する回答を48時間以内にするようにという内容を読んでしまう。 1. その案件に関するタスクは次の日に手がける予定にしていたので、その案件に関してはまだ何も準備してない 2. 48時間以内に回答出来るかどうか吟味しように

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【5】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【4】

          『そこに置いておく』 わたしには至難の業です。そこに置いて置けない。対処しなきゃとか分析しなきゃとか解決しなきゃとか指示を出さなきゃとか、その場で対応しないと忘れてしまう、と信じ込んでます。 でもマインドフルネスを実行すると、その放ったらかしに出来ない欲求が出て来た時に、呼吸に意識を戻すクセが出来てきます。飼い主より前に歩こうとする犬を、飼い主がリードをくっと引っ張ると犬が飼い主の横を歩き直すみたいに。 この〈クセ〉を獲得することが重要ではないかと思います。

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【4】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【3】

          大事なのは意識を〈意識的〉に呼吸に向けること。 マインドフルネス実戦中は大体頭の中ではこんな感じな会話が: 吸ってぇ吐いてぇ→吸ってぇ吐いてぇ→…→(あれ、何でこの同僚の顔が浮かんだんだろう気持ち悪いないわゆるソウルメイトか?)→あ、呼吸呼吸→…→(それにしてもさっきの会議のやつのあの意見は何だ、人の話聞いてないじゃないか)→ あ、呼吸呼吸→(大体◯◯人は人の話を途中で中断するのが多いぞ)→あ、呼吸呼吸→…→(でも私もすぐに反応するからなそこがいけないんだよな生真面目過ぎ

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【3】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【2】

          マインドフルネスとは、意識を呼吸に向けるトレーニングのこと。瞑想に似てるけど瞑想より取っつきやすい。トレーニングと言うけどキツイものではない。 わたしは物事何でも熟考するのがクセで(職業病とも言う)、頭がよく疲れる。『今何考えてるの?』と人に聞かれること多々あり。マインドが体から離れることがあるのかも。内向的な性格だしHSPほどではないけれど、まぁまぁの繊細な心の持ち主。ホルモンの周期にも弱い。一層頭が疲れる。 椅子に座って背を正して両足を床につけて手の甲を膝に置く。あと

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【2】

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【1】

          アメリカの大学で研究をするというのは、すなわち国から研究資金(グラント)を獲得すると言うこと。競争。獲得倍率大体10倍。内容にもよるけど往々にして数十ページにわたる書類を書く。英語。提出期間は年3回。 昨年9〜12月まで、共同研究者たちと一つ大きなグラントをこしらえて国に提出した。この期間心身ボロボロ。満身創痍。食欲減退、血圧上がる、睡眠浅め、筋力落ちる。共同研究者たちからは昼夜を問わずサンクスギビングデーにまで電話・重要メールが送られてくる。 最後の方は友人に電話してボ

          マインドフルネスの実戦を習慣化してみることにした【1】