見出し画像

#146 ライフ(2007)-猛批判に耐え、賞賛を獲得したいじめドラマ

TVer 紹介文

「別冊フレンド」(講談社)にて2002年4月号より連載開始、恐ろしいほどのリアルさと既存の少女漫画にはない迫力ある画力で「いじめ」をテーマに描いて大きな話題を呼び、累計部数700万部を突破するほどの圧倒的な売り上げと人気を博している少女コミック界の異色作・すえのぶけいこ著「ライフ」が、待望の連続ドラマ化。「ライフ」は平成18(2006)年度(第30回)講談社漫画賞少女部門を受賞、「別冊フレンド」の人気アンケートでは常に1位を獲得している大人気コミックである。とある高校を舞台に、椎葉歩(北乃きい)が、安西愛海(福田沙紀)を中心とするクラスメートたちから過酷ないじめに遭い、追い詰められながらも、本当の友達と出会い、困難に立ち向かう姿を描いていくハード系青春ヒューマン・ドラマ。

深夜枠で最終回視聴率が17.4%

スクールカーストという概念がなかったあの頃にして、クラスの女王・安西愛美(福田沙紀)を軸にした壮絶ないじめが描かれる。純粋で正直であったために、いじめの標的となる椎葉歩(北乃きい)、見て見ぬふりをする教師たちに無力感を覚えた視聴者は多く、特に保護者の年代の視聴者から局やBPOへの批判は猛烈だった。それでも、視聴率は常に10%以上をマークし、大逆転の最終回は17.4%。「いじめとの対峙」に共感した同年代の高校生がいかに多かったかがうかがい知れる。

番宣で使用された画像

北乃きいの目力にやられた私

上記の画像のインパクトの強さったらありゃしない。当時、深夜のドラマになどまったく興味のなかった私が北乃さんの強い眼光に引き寄せられ、どんどんエスカレートするいじめに鬱々としながらも、「このまま終わるわけがない」「がんばれ!歩」と応援しながら最後まで視聴。スッキリとモヤモヤが入り混じった最終回だったが、このドラマの衝撃はまだ抜けない。

中央が女王様(福田沙紀)

衝撃の最終回

このドラマのいじめシーンのハイライトはトイレと机。トイレの個室で水を浴びせられたり、机に罵詈雑言を書かれたり、その机を校舎の窓から落とされたり等、女王・愛美(福田沙紀)らの陰湿ないじめが延々と続く中、わずかながらも反旗を翻した友人(細田善彦を含む)と支え合い、形勢を逆転させた歩(北乃きい)。最後は、それまで愛美に従っていたクラスメイトが愛美の机を窓から捨てる。まさかの逆境に耐え、毅然とした態度で机を取り戻しに行く愛美。形勢逆転を喜ぶでもなく、むしろ、机を落として喜ぶクラスメイトを睨む歩たち。いじめ克服のスッキリ感、いじめの標的が次々と入れ替わる恐怖感、苦境に陥った愛美への同情、強いものに依存するクラスメイトの弱さなど、複雑な感情が入り混じる最終回だった。

落書きされて捨てられた机が不憫

地上波に戻って来い!

このふたりの迫真の演技なくしてこのドラマの評価なし。それほどまで凄まじくレベルの高いドラマだった。北乃さんは現在も地上波でバイプレーヤーとして活躍されているが、福田さんは2018年以降、すっかり露出が減って幾久しい。存在感のある役者さんなので、日の当たる場所で見てみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?