【第7回:ネーム制作<相模しずく>】シナリオ・ネーム掲載

相模しずく

昨年12月から進行していた今回の漫画プロジェクトもついに大詰め!今回の完成した原作企画の中から選ばれた1作が、晴れて漫画化されることになります。 動画を視聴された皆さんも、選考に参加できるので、「この企画、キャラクターの漫画を読みたい!」と思うものに投票してください。 漫画化の権利を手にする挑戦者は誰?投票はコチラから!

『メルトチョコレート』

人 物
・宮下桃香(18)高校3年生
・椎名和臣(18)桃香のクラスメイト
・黒川葉月(18)桃香のクラスメイト
・宮下唯人(18)桃香の双子の兄
・宮下清子(45)桃香の母
・宮下徹(50)桃香の父

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〇青蘭高校・校舎内・廊下
   少し古びた雰囲気の校舎。大きな窓が並んでいる。宮下桃香(18)と椎名和臣(18)は制服姿で向かい合って立っている。周囲には他に誰もいない。桃香は手に小さなラッピングされた箱を持っている。顔を赤らめて椎名に差し出している桃香。小さく震える手。
桃香モノ「チョコレートに込めた3年分の想いは」
椎名「ごめん。それは受け取れない」
椎名「宮下さんのことは、今までそういう風に思ったことがなくて……」
桃香モノ「届くことなく」
   桃香は視線が下がり、下唇を噛む。チョコレートの箱を持つ手に力が籠る。
椎名「……俺、男の人が好きなんだ」
桃香「え……?」
   驚いた表情で顔を上げ、椎名を見つめる桃香。視線がぶつかると、困ったような曖昧な笑みをうかべる椎名。
椎名「だから、ごめん」
   椎名は目を伏せると踵を返して立ち去る。その背中を見つめる桃香。
   手に持っていた箱を胸に抱く桃香。桃香の横顔に影が落ちる。

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〇青蘭高校・教室
   静かな教室。窓際の列の一番後ろに桃香が座り、その前の席に黒川葉月(18)が座っている。机の上に倒れ込むような姿の桃香。葉月は窓を背に、椅子に対して横向きに座っている。桃香は大きなため息をつく。
桃香「そりゃね、何となく、わかってたよ?」
桃香「片想いだろう、とは思ってたんだよ」
葉月「うん」
   椅子の背もたれに肘をつき、頬杖をついている葉月。優しい眼差しで桃香を見つめる。
桃香「……性別の壁は越えられないな」
桃香「それ言われちゃったら、私にはどうにもできないや」
葉月「そうね……」
桃香「ずっと見てたけど……全然気づかなかった」
葉月「それだけ一生懸命隠していたのかもね」
   桃香はもう一度溜息をついて
桃香「ねぇ、葉月だったら、この話、信じる?」
   突然の質問に一瞬目を見開く葉月。すぐに平然とした穏やかな表情になる。
葉月「まぁ……本人がそう言ってるから」
   桃香はガバッと勢いよく体を起こす。
桃香「これがさ、もし、私を遠ざけるための嘘だとしたら?」
葉月「嘘……?」
桃香「私を遠ざけるため、みたいな意味で」
   黙って聞いている葉月。その瞳に悲しみの色が浮かぶ。
   不満げな桃香に対して、曖昧に笑う葉月。
葉月「でも……」
葉月「……そうだとしたら、桃香は人を見る目があるってことね」
   その答えに不満そうに眉を寄せる桃香。
桃香「どうして?」

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葉月「曖昧にするより、はっきり断った方が」
葉月「桃香は次に進めるから」
桃香「あ……」
葉月「それは優しさだと思うな。その場では深く傷つけてしまうけど、結果的に」
葉月「桃香が好きになった彼は、相手のことを思いやれる人だったってことだと思う」
   葉月は優しく微笑みかける。瞳に涙がにじむ桃香。机に突っ伏して顔を隠す桃香。桃香の頭を撫でる葉月
葉月「優しい人、なんでしょう?よく言ってたじゃない」
桃香「そうなんだよ」
   頷く桃香。
〇住宅街・路地(夜)
   路地は人気がなく、誰もいない。道の途中に街灯が並んでいる。制服姿で鞄を持ち、一人で歩いている桃香。手にはリボンがかかった小さな箱。椎名に差し出していたもの。その箱を見つめながら歩く。
桃香モノ「あっけなく、終わってしまった」
桃香「もったいないし、食べちゃお」
   リボンをほどいて箱を開ける。
桃香モノ「最初は見てることしかできなくて、少しずつ話せるようになって」
   箱の中に入っているのはトリュフ。6個並んでいる。
桃香モノ「彼を好きになってから、毎日が楽しかった」
   箱の中のチョコを一つ口に入れる。
桃香「ちゃんと美味しくできてるじゃん」
   もう一つチョコを口に入れる。
   チョコが二つなくなった箱。空いたスペースに涙が一粒落ちる。
桃香「あれ?やだな……」
   次々に、箱の上に涙が落ちていく。
桃香「なんか、しょっぱくなってきた……」
   足を止めて俯いている桃香の背中。小さく震えている。

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〇宮下家・玄関内(夜)
   装飾やインテリアは少なめのシンプルな玄関。玄関扉を背に立ったまま靴を脱いでいる。
桃香「ただいま」
   玄関のたたきに男性用のカジュアルシューズ揃えておかれている。
桃香モノ「唯人、帰ってきてるんだ」
清子の声「桃香ーちょっと来てー」
桃香「はーい」
   玄関を上がる桃香

〇宮下家・リビングダイニング(夜)
   玄関から続いている扉を開ける桃香。リビングとダイニング、キッチンが一続きになっている。玄関同様インテリアは少ない。テレビやソファが置かれているシンプルな室内。ダイニングテーブルに宮下唯人(18)が座り、宮下清子(45)はエプロン姿でキッチンに立っている。唯人は笑顔で桃香を見て。
唯人「おかえり!」
   桃香は唯人の隣に座り、力なく笑う。
桃香「……うん」
唯人「どうした?何かあったのか?」
桃香「何でもない」
   唯人が桃香の顔を覗き込もうとする。桃香は唯人の視線から逃げるように顔をそむける。
唯人「何かあったらお兄ちゃんが相談に乗るぞ?」
桃香「もともと双子なんだから、変わらないでしょ」
   呆れたようにため息交じりに呟く桃香。キッチンから清子がやってくる。
清子「二人にちょっと話があるんだけど」
桃香「話?」
   清子は唯人の正面の椅子に座る。二人は視線を清子の方に向ける。
清子「実は、今日から知り合いの息子さんを預かることになって」
桃香「え?」
唯人「は?」

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清子「実は、お父さんのお友達が入院することになって」
清子「他に身寄りもないって聞いて、ほっとけなくて」
桃香「急に言われても……」
   不安げな桃香。清子は笑みを浮かべながら。
清子「大丈夫よ、いい子だから」
唯人「いや、そうだとしても」
唯人「見ず知らずの人と生活するのは大変だし、それに……」
   そこで言葉を切ると、唯人は勢いよく立ち上がる。
唯人「桃香によその男が近づくなんて……」
   話しながら青ざめていく唯人。桃香は唯人の言葉に重ねて
桃香「唯人、今そういうのいらない」
   唯人を鋭くにらみつける桃香。
唯人「はい」
   しょげた様子で再び椅子に座る唯人。桃香は溜息をつく。
桃香「二人とも、すぐに安請け合いしてくるから……」
   清子はニコニコしながら。
清子「いいじゃない。家族が増えたみたいで、きっと楽しいわよ?」
唯人「そういう問題じゃ……」
   唯人が呆れた表情で溜息をつく。
桃香「って言っても、もう決めちゃったんでしょ?」
清子「うふふ。さすが桃香ね」
清子「もうそろそろ着く頃じゃないかしら?」
桃香モノ「どれくらいの子なんだろ?小学生くらい?」
   玄関から続く扉が開く。宮下徹(50)が入ってくる。その後ろから椎名が入ってくる。驚いて思わず立ち上がる桃香、唯人も驚きの表情。

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桃香「え?椎名君?」
唯人「これから椎名がうちに?」
   桃香と唯人が同時に声を上げる。
   椎名も二人を見つめて驚愕の表情。
   宮下は椎名を振り返って
宮下「二人とは知り合いだったか?」
椎名「はい……学校と、バイト先で……」
宮下「であれば問題はないな。みんな仲良くしなさい」
   困った顔の椎名と桃香、唯人は安堵した表情。
唯人「椎名なら知ってる仲だから安心だな」
   額をおさえて俯く桃香。
桃香モノ「私、さっきフラれたばっかりなんですけど!」
桃香モノ「それなのにこれから一緒に暮らすの?」
桃香「……」
   顔を上げると椎名と目が合う桃香。椎名が不安げな表情で口を開く。
椎名「宮下さん、あの……」
   桃香は呼ばれて、小さく肩を震わせる。
桃香「ごめん、私、部屋に荷物置いてくる」
   桃香は鞄を持って逃げるようにリビングを出る。

〇宮下家・桃香の部屋(夜)
   ベッドと机が置かれていて、整頓されている室内。桃香は部屋に入るなり、扉を後ろ手に勢いよく閉めて、そのまま扉に寄り掛かる。

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桃香「(傍白)ありえないって……」
桃香モノ「これから毎日顔を合わせてたら」
桃香モノ「気持ちの切り替えなんてできるわけがない」
桃香モノ「忘れようと思っていたのに、どうしたら」
桃香「(傍白)ほんと、無理……」
   扉に背を預けたままずるずると座り込む桃香。体育座りで膝を抱え込み、顔を埋める。

〇カフェ
   大きめの店舗で店内は多くの客でにぎわっている。窓際の席で私服姿の桃香と葉月が向かい合って座っている。テーブルにはストローが刺さったドリンクが二つ。桃香はぐったりした様子で机に突っ伏している。
葉月「昨日は大変だったね」
桃香「そうなの。だからあんまり眠れなくて……ってあのさ!」
   勢いよく体を起こす桃香。
葉月「ん?」
桃香「何でここのお店にしたのさ!?ここって、唯人と椎名君のバイト先じゃん!」
   桃香の後ろにはレジ兼キッチンカウンターがあり、そこでエプロン姿の唯人と椎名が働いている。
   葉月は頬杖をつき、カウンターの方を見ながら。
葉月「んー……せっかくだし?」
桃香「何でそうなるのさ」
   葉月は不敵な笑みを浮かべる。自分のドリンクに口をつける。
葉月「で、相談したい事って?椎名君を追い出すの?」
   桃香は大きく首を横に振る。
桃香「ち、違うよ!そうじゃなくて……」

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   桃香は迷いながら口を開く
桃香「もう椎名君のことは、忘れようと思ってたの。会わなければ忘れられると思った」
桃香「でも、これから毎日顔を合わせることになっちゃって……」
葉月「忘れられる自信がなくなった、と?」
   頷く桃香。
葉月「それなら、無理して忘れなくていいんじゃない?」
桃香「え?」
葉月「そんなにすぐに気持ちを切り替えられるものじゃないでしょ」
葉月「想いが大きければ大きいほど」
葉月「自分の心が納得するまで、好きでいたらいいじゃない」
葉月「人の気持ちは止められないもの」
桃香「う、うん……」
   桃香の目に涙がにじむ。
葉月「それとも、苦しいようなら、うちに来る?」
   桃香は緩く首を振る。
桃香「唯人がうるさそうだし、椎名君も気にしちゃうと思うし」
桃香「でも、どうしようもなくなったら」
葉月「いいわよ。いつでも連絡して」
桃香「ありがとう」
   桃香はカウンターの中で仕事をしている椎名を見つめる。
   椎名は唯人と何か会話をしている。嬉しそうな笑顔。
桃香「(傍白)あんな笑顔、学校では一度も見たことなかった」
桃香モノ「一緒に暮らしていくうちに、もっと好きになってしまったら……私はこの気持ちを、どうしたらいいんだろう?」
桃香モノ「今でさえ大きく育ちすぎた、行き場のない想いは」
桃香モノ「チョコレートのように簡単には溶けて消えてくれないのに」
   椎名を見つめる桃香。それを見ている葉月。
葉月「ねぇ、桃香」
桃香「ん?」
   桃香は振り返って葉月の方を見る。葉月は目を伏せて桃香から視線を外す。

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葉月「もし──」
葉月「もしも、椎名君が言っていたことが本当なら桃香はどうするの?」
葉月「彼が男の人を、本当に同性を好きだったら」
葉月「桃香は軽蔑する?」
   生唾を飲む葉月。
桃香「何も変わらないよ」
   桃香は顔色を変えず、平然と即答する。視線を上げて桃香を見つめる葉月。
桃香「だって、彼が誰を思うかは自由で、その相手が同性だったところで気にしない」
   葉月が視線を上げて桃香を見つめる。
桃香「人と違っても、関係ない」
桃香「好きになるのはその人の自由。誰を好きになってもいいじゃない」
桃香「人を好きだと思う気持ちは他人が否定していいものではないと思う」
桃香「その人が本気で好きなんだったら、誰が何を言ったってそれは恋でしょ」
   葉月は安堵した表情になる。
葉月「そうね……」
葉月「桃香のそういうところ、大好きよ」
   嬉しそうに笑う桃香。
桃香「私も大好きだよ」
   微笑む桃香と葉月。表情は穏やかで、桃香を見つめる眼差しが柔らかい。
桃香「ところでさ」
葉月「ん?」
桃香「私、ちょっと気になったことがあったんだけど」
桃香「椎名君がさ、さっきからずっと……」
   二人は肩を寄せ合い小声で話し出す。

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〇宮下家・リビング(夜)
   パジャマ姿の桃香がソファに座っている。バスタオルで頭を拭いている。溜息をつく。
桃香モノ「葉月に話したらわかってもらえたくらいだし、私の思い込みじゃないと思うんだよね」
桃香モノ「どうしよう?本人に確認する?」
桃香モノ「でも、そこをはっきりさせちゃったら、これからが……」
   腕を組んで思い悩む桃香。
   扉が開いて椎名が入ってくる。振り返る桃香。椎名は不安そうな表情。
椎名「あのさ、ちょっといいかな?」
   顔がこわばる桃香。
桃香モノ「確かに話そうと思ってたけど、まだ心の準備が……でも」
桃香「うん。どうしたの?」
桃香モノ「逃げてても仕方ない!」
   努めて笑顔で答える桃香。椎名はためらいながら口を開く。
椎名「あの……まさか一緒に住むことになると思ってなくて……その……」
   椎名は下を向く。
椎名「気持ち悪いよな、男が好きとか言ってるやつが近くにいると……」
桃香「そんなことないよ。私はそういうの気にしないから」
   椎名は顔を上げる。微笑む桃香。それを見て安堵した表情の椎名。
椎名「そういってくれると、助かる」
桃香「でもっていうか、だからっていうか」
桃香「私はそのことを知っても……すぐに気持ち切り替えられなくて……」
椎名「っ……」
椎名「……気持ちは嬉しかった。でも、応えられなくて、ごめん」
   深々と頭を下げる椎名。焦る桃香。
桃香「やだな、違うの。謝んないでよ」
桃香「今まで通りで居てほしいの」

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桃香「前と変わらず、笑っていて?」
   桃香が微笑むと、それを見た椎名も笑みを浮かべる。
椎名「ありがとう」
桃香モノ「私、この笑顔が、大好きで」
桃香モノ「椎名君の笑顔が見られた日は、それだけで一日が幸せで」
桃香モノ「こんなにも……好きなんだけどなぁ……」
   桃香は服のすそを両手で握りしめる。
椎名「それじゃあ、改めて」
椎名「これから、しばらくお世話になりますが、よろしくお願いします」
   頭を下げる椎名。桃香も慌てて立ち上がり、頭を下げる。
桃香「こちらこそ、よろしく」
   お互いに頭を上げると、顔を見て笑い合う。
椎名「それじゃ、俺はこれで……」
   去っていこうとする椎名。
桃香「あ、ちょっと待って」
   桃香が声をかけると、椎名は動きを止めて桃香の方を振り返る。
桃香「あ……」
   口元を手で隠す桃香。
桃香「ううん。何でもない」
椎名「そう?じゃあ、おやすみ」
   椎名は扉を閉めてリビングを出ていく。
   閉まった扉を見つめる桃香。
桃香モノ「まだ、勇気が足りなかった」
桃香モノ「口ではあんなことを言いながら、私の予想が事実だったとして」
桃香モノ「そのことを知った時、どんな顔をしたらいいのかわからない」
   桃香はため息をつく。
桃香「今日はもう寝よ」
   桃香はリビングの電気を消してリビングを出る。

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〇宮下家・廊下・階段(夜)
   パジャマ姿の桃香が階段を上がっている。
桃香モノ「今日、カフェで見ていて何となく気づいてしまった」

〇(フラッシュ)カフェ
   エプロン姿の椎名と唯人。唯人は接客をしている。椎名は唯人の姿を見て、口元に笑みを浮かべている。

〇宮下家・廊下・階段(夜)
   パジャマ姿の桃香が階段を上がりきる。
桃香モノ「椎名君が好きなのは──」
   階段の前の扉が開き、唯人が出てくる。
桃香モノ「唯人だ」
唯人「あ、桃香、ちょうどいいところに」
   唯人が明るく笑う
桃香「どうしたの?」
唯人「前に読んでた漫画の続き、買ってきたけど読むか?」
桃香「えっと……」
桃香モノ「今はそんな気分じゃないんだけど」
桃香モノ「それより、唯人が椎名君のこときいてみようかな」
桃香「ちょっと入っていい?」
   唯人の部屋に入る桃香。

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〇宮下家・廊下(夜)
   椎名が階段を上がってくる。唯人の部屋のドアが少し開いており、明かりが漏れている。話し声が聞こえてくる。

〇宮下家・唯人の部屋(夜)
   ベッドと机があり、机には大型ディスプレイとキーボードが置かれている。壁には天井に届く大きさの本棚があり、漫画や小説が並んでいる。唯人は桃香に漫画を一冊渡す。
唯人「はい、コレ」
桃香「ありがとう」
唯人「他にも買ったから、本棚から好きなのを持って行っていいよ」
   机に座りパソコンに向かう唯人。
   パソコンに向かう唯人に声をかける桃香。
桃香「ねぇ、唯人」
   椅子を回転させて桃香の方を向く。
唯人「んー?」
桃香「椎名君ってどう思う?」
唯人「どうって?」
桃香「え、あー……ほら、職場での感じとか、どんな印象なのか、とか」
   唯人は腕を組み、天井を見つめて。
唯人「そうだな……真面目で、素直ないい子だよ」
唯人「優しくて、気配りもできて」
唯人「椎名が桃香の彼氏だったら、俺は安心して桃香を任せられるな」
   冗談めかして笑う唯人。小さく息を吐き、それから呆れたように笑う桃香
桃香「……何言ってんの。そういうことが聞きたいんじゃないって」
桃香モノ「そんな日は、来ないんだよ……絶対に」

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 桃香の表情が曇る。
桃香モノ「今、唯人の答えを聞いて、少し安心した私が嫌い」
桃香モノ「彼の想いが唯人に届かなかったとして、私に振り向いてくれるわけじゃないのに」
   小さく下唇を噛む桃香。

〇宮下家・廊下(夜)
   唯人の部屋の前。扉が少し開いていて、その隣の壁にもたれて椎名が立っている。うつむき加減で、今にも泣きだしそうな表情。

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銀ペガさんのシナリオ・ネームはコチラ!

蒼太れいじさんのシナリオ・ネームはコチラ!

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