2016.3.25 cakes連載「 結婚を決めたのは沖縄の神様だった」女医さんの話」のウラ話 〜医者は神を信じるのか?〜

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

今週金曜日のcakes連載で、私は「結婚を沖縄の神様に決めてもらった」女医さんのお話を書きました。

「 結婚を決めたのは沖縄の神様だった」女医さんの話

それはそれはお美しい、しかもまったく人妻感の無い、「現役感」バリバリの女医さんにお話を伺ったのでした。

彼女は神様に後押しされて結婚を決めた。しかし、一応自然科学の科学者たる医師がそんな非科学的なことを認めるのでしょうか?

私はこの疑問を解明すべく、今回は「医者は神を信じるのか?」について論じます。私がこれまで出会った何百人かの医師たちから聞いたお話と、私自身が20を超える病院での勤務経験(アルバイト込みです)で経験した不思議なお話の数々を含めて。

話の性質上、あまり世間に流布されてはかないませんので有料とさせていただきます。小見出しのタイトルは以下の通りです。

医者は、科学者は宗教を持つのか?
先々週、私が病院で出会った不思議な現象
当直していた若い外科医の話
科学と宗教は対立する概念か?

医者は、科学者は宗教を持つのか?

まず、私は特定の信じる宗教を持ちません。その時点で秘密結社フリーメーソンには入れない訳ですが・・・

ま、それはさておき私が出会った他の医師たちはどうか。n=300(nというのはnumberの略、n=300とは300人のサンプル数という意味で科学論文ではよく使います)ほどですが、私の知る限り一人か二人しか特定の宗教を信じている医師はいませんでした。

これはおそらく一般の人々よりもかなり低い頻度でしょう。データから見れば、文化庁の調査では日本には今宗教法人は181,961団体あり、信者数の合計は1億90,17万6,262人だそうです。1億9千万人を超えている。日本の人口はいま1億2616万3576人でsyから、計算上はほぼ全員がなんらかの宗教団体に属し、そして少なからぬ人が2つ以上の団体に属していることになります。ほんまかいな、と思ってしまいますが、まあ寺社などが適当に登録しているのでしょう。この報告書にも、

日本の総人口をはるかに上回ることになるが,複数の宗教団体への重複所属などが一般的に見られ,宗教団体への帰属意識が薄い人々も「信者」に数えられている場合もあることなどが反映していると思われる。

とあっさり記載されています。

自分の周りのごく親しい医師をみても、盆暮れに墓参りに行くくらいがせいぜいで、それさえ欠かしている医師も大勢いますね。

つまり医師はそれほど信心深くはない傾向にあるようです。その理由として、我々医師は、臨床をやっていると必ず神も仏も無いようなむごい体験をしたことがありますから「今更何が神様だってんだ」と考え厭世的な角度になることが多いから、と思います。おそらく私だってそうだろう。

では、医師以外の科学者たちはどうなのでしょうか?

歴史上の著名な科学者たち、地動説のコペルニクスやニュートン、エジソン、そして進化論のダーウィンまでもが自ら信仰を持っていたと言われています。物理学、数学などの自然科学分野では、その圧倒的な整合性と調和を見るにつけ、神の存在を感じずにはいられないのではないかと思います。

余談ですが、世界中の最も優秀な科学者が集まる米国では、今でも学校教育でダーウィンの説である進化論を教えるかどうかを議論していますよね。これも不思議なことですが。

一方で宇宙の研究者にはたまに神を信じている人がいる。私の知り合いのJAXAの研究者も、「たまに神を感じずにおれない時がある」と言っていました。


先々週、私が病院で出会った不思議な現象

私は一応科学者のはしくれですからこういう話をするのは好きではありません。が、どうしても病院で仕事をしているとちょくちょく出会ってしまうんです。

先々週でしたかね。回診の途中、個室の病室で若い医師たちがベッドに横になっている初老の男性患者さんとお話をしていた。

「痛みの具合はどうですか」「だいぶ良くなってきたよ、やっぱり増やしたのが良かったのかね」

私は若手医師たちの後ろで黙って立って聞いておりました。患者さんとのコミニュケーションも研修医の大切な勉強です。何かまずいことや、わからないことがある時以外は口を出さずに見守ります。

するとその時、個室の病室内に備え付けのトイレが「ザザー」と流れたんです。「はて?」と思い、隣に立っていた看護婦さんに尋ねました。「誰か入っています?」

「いえ先生、患者さんはベッドの上ですから」「そうですよね」

ふーん、そんなこともあるものか。そう思い、

「ああ、一定の時間感覚で自動的に洗浄して清潔を保つ機能なんでしょうかね」というと、ナースは「いえ、うちの病院のトイレにはその機能はありません。」と言う。

ほー。

「看護婦さん、誰かご家族が入っているかもしれませんが、ちょっと確認してもらえますか?」と言うとナースがトイレのドアを開けた。鍵はかかっていない。

・・・

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