初春の歌 ~ 久安百首による

おそばせながら、あけましておめでとうございます。
おちゃづけ、こと、御茶ノ水 啓太郎です。

読者さんがどれほどいらっしゃるのかはわかりませんが……昨年は私の和歌をお読みくださり、ありがとうございました。
令和四年は年間1,000首を目標に詠歌の練習をしていく予定です。
よろしくお願い致します。

今回はタイトルの通り、「久安百首」の歌題の一部を題材として、詠歌の練習も兼ねて詠んでみました。


久安百首きゅうあんひゃくしゅ とは
……久安六年(1150年、鳥羽院政期)、崇徳院の命により14名の歌人が召され、それぞれ100首の和歌を詠進した「百首歌」の行事。歌題は100個以上あり、各歌人それぞれで規定の歌数の分だけ題を選び(同じ題の歌を複数詠んでも可、詠まない題があっても可)、計100首としたものです。
○春歌上……立春/早春/子日/若菜/鶯/霞/残雪/梅花/早蕨/柳/帰雁
○春歌下・夏歌・秋歌上/下・冬歌・恋歌上/下・雑歌上/下……今回は割愛 (歌題はwikipediaより引用)

今回はその歌題から春歌上の11題より1首ずつ、計11首の歌を作りました。


○立春
あくがるる心地こそすれ あらたまの春立つけふきょうの空を思へば

○早春
夕されば春立つ野辺に風さえてとけゆく雪もまたやこほらん

子日ねのひ
あづさゆみ春に引くなる若松は千代の弥栄やさかがんとすらん

○若菜
春ながら裾野すそのの原は雪気ゆきげにて若菜もころも着つつふらん

うぐひす
ひとたびの一声ひとこゑもがな 鶯の鳴きつる事も夢かとぞ思ふ

○霞
おぼつかな 裾野すそのの原は目もはるにあしたの霞立てるなりけり

○残雪
(本歌は、諸事情により公開を避けさせていただきます。すみません。)

○梅花
わが宿ににほへる梅は一年ひととせの花のはじめとなりぬべきかな

早蕨さわらび
山里の春のけしきと見ゆるかな 焼きにし野辺のべにもゆる早蕨

○柳
春まだきみぎはにそよと風さえてさながらもゆる青柳あをやぎの糸

○帰雁
ゆく雁のなじみの里は久方の霞める空のよそにやあるらん

春歌下の歌題は、春の色がもう少し濃くなってから消化していきます。桜が咲き始めたあたりが頃合いかなと思っています。
このようにしてその時その瞬間での季節の実感を味わいながら、一年かけて百首の題詠歌を完成させていけたらと思います。
おたのしみに。


2022.01.26(水)  御茶ノ水 啓太郎

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