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推し友 by 夢野来人

昔々、あるところに動物好きのタケシという少年がいました。タケシは犬や猫にとてもなつかれていました。
でも、最近のタケシはいつも森で見かける不思議な『あれ』に夢中だったのです。その『あれ』は風に乗って村に時折現れ、子供たちの心をわくわくさせてくれます。
タケシはその姿が見えると、どこからともなく冒険心が湧き起こるのです。
「あの物体が空に浮かんでいるのを見ると、何だか心が躍るんだよな」

その物体を見かけた時には、タケシはその物体が消え去るまで、ずっと見つめているのでした。ある日、タケシは森の奥深くで小さな『あれ』が着陸しているところを発見しました。
「わっ、何だ!『あれ』が地上に降りてるじゃないか。中にはいったいどんな奴がいるのだろう」
興味津々なタケシは、しかし、相手が危険な奴ではないかと、内心ドキドキしながら観察していたのです。
タケシが身を潜めて見ていると、中から出て来たのは、何とカエルではありませんか。そのカエルはまるで奇妙な、異国でしか見たことのないような美しい色をしていて、とても不思議な鳴き声を発していたのです。
「あはは、変な声!」つい油断して声を出してしまったため、タケシはカエルに見つかってしまいましたが、近づいて来たカエルは優しくタケシの手を握りました。
「キミはいい奴、友達になろう」タケシはそのカエルに気に入られ、直ぐに友達になったのでした。

それからというもの、
タケシとカエルは一緒に冒険に出かけ、とても不思議な、そしてとても楽しい時を過ごしたのです。

彼らの冒険は驚くべき発見と友情で満ち溢れていました。その時から、タケシの推し友は、犬でもなければ猫でもなく、間違いなくカエルとなったのです。

しかし、成長とともにタケシは冒険心を失い、日常に追われるようになりました。いつしか、『あれ』も見かけなくなりました。
「こんな人生はつまらないなあ。僕はいったい何のために生きているんだろう?」

そんなある日、タケシは町の中でかつての『あれ』を見かけました。その瞬間、彼の心に衝撃のイナズマが走り、再び冒険の火が灯ったのです。
「あ、あれは子供の時に見た『あれ』だ!」

ふと足元を見ると、どこから現れたのか、あの時のカエルがいるではありませんか。彼らは再び、一緒に新たな冒険を始めることにしました。
「久しぶりだなあタケシ」
「また、会えるとは思わなかったなあ。再会できて本当に嬉しいよ」
二人は直ぐに昔のように仲良くなりました。
「さあ、また冒険を始めるよ」
「ああ、僕が求めていたのは、こういう世界だったんだ」

推し友の「かえる」は、タケシの過去の冒険と夢を蘇らせ、彼の心を元気づけました。タケシは再び自分を取り戻し、大人になっても冒険心を忘れないようになっていたのです。

***数十年後*****
「おまえ、お風呂好きだなあ」浴槽に浸かりながら、タケシはお湯の中を気持ちよさそうにすいすい泳ぐカエルに話しかけていた。
「本当に帰らなくていいのかい?」
すると、カエルは窓の外に向かってバイバイをしていた。

風呂場の窓からその方角を見上げると、光輝きながら『あれ』が飛び去って行くのであった。

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