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社会診断の難しさ

この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。


 社会問題とどう向き合うべきか。「社会診断」(M.リッチモンド)の概念を参考に考えてみたい。

 社会診断とは、医者が患者の病気を治療するのと同じように、社会問題を克服するというものである。医者が患者の病気を治すとき、病原体を特定化してふさわしい処方箋を示す。その結果、患者は病気を完治させることができる。これと同様、社会学者も「社会診断」を行う。すなわち、社会問題を引き起こしている原因を追究し明らかにする。さらには、その原因を排除するような政策提言を行う。その結果、社会は問題に対処できる。

 だが、限界もある。たとえば、少子化現象について考えてみる。少子化はなぜ起きたのか。一般的に言われている要因の一つは、女性のライフスタイルの多様化である。結婚して子どもを産み育てることこそが女の幸せという単線型の価値観から、家庭を作らず仕事で評価される幸せ、結婚しても子どもを持たない幸せ、仕事と家庭を両立させる幸せなど、選択肢が与えられた複線型の価値観が社会に浸透した。

 なかでも、注目すべき要因は、女性の高学歴化と社会進出である。要するに、女性も高等教育機関で学び、働いて収入を得るようになったから、少子化という結果になったという見方である。

 これに関して社会診断を行うならば、原因を取り除く、すなわち、すべての女性が家庭に戻り、大学進学をやめれば、少子化は解決するというロジックになろう。だが、この考えがフェミニストや男女共同参画社会を目指す社会から、賛同を得ることは難しい。それはなぜか。男女不平等と闘ってきた歴史があるためである。

 むしろ社会的成熟や社会的発展の観点からは、少子化は男女平等というフェミニズムの思想的達成の証である。少子化が問題なのか成果なのか、診断の仕方によって異なる。

2007年8月8日


 16年前に書いたこのコラムに対して、2023年の私の感想も書いておきたいと思います。
 一言でいうと、理論武装しすぎ。なぜこんなにもカクカクした文章になっていたのでしょうか😂。
 考えられる理由は、第一に、おそらく当時の私は社会学に対してすごく自信がなかったのかもしれない(今もさほど自信はないのですが💦)。
 第二に、統計的アプローチ思考になっていたから。
 第三に、読者が一般市民なのでわかりやすく整理しようとした結果、このような単純なロジックになってしまったのだろう(わかりやすいとは言えない文章ですが🤣)。

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