見出し画像

BADモード考察 宇多田ヒカル

2022.1.19にリリースされた、宇多田ヒカルの「BADモード」バッドと言いながら、チル&ポップテンポな曲調でリラックスムード。なんだかとても嬉しくなったので、過去の曲と絡めて考察します。

この曲は、歌詞に"ネトフリ"や、"ウーバーイーツ"と言うとても今っぽいワードが、使われている事が、話題になったと思うのだけど、私はその時間を一緒にすごす"君=息子さん"と、今とてもいい関係なんだなと、あったかい気持ちになりました。ジャケットの端に彼が見切れているのも、にくい演出。

歌い出しの前に「ふぅっ」と言う息を吐く音、間違い無くわざと入れているわけで、家に帰ってきてリラックスした事の合図だと感じた。

少し不機嫌な君は、息子さん7才。学校でちょっとやな事があったかもしれない、その様子を「神様そりゃないぜ」と言いながら、"理由を聞こうかそっとしておこう"か迷う。ワタシがそばにいるよ、美味しいもの食べていったん忘れて、ゆっくり過ごそうよと、提案してくれるお母さん。最高じゃないか。子どものことめちゃめちゃ大事にしてて、いい親子関係なんだなと。安心した。

安心したなんて、何目線だと思うのだけれど、その理由は、過去の曲に遡る。

2017年12月リリースの「あなた」この時も、子供との関係を曲にしている。
この時は、戦場のような業火に囲まれている殺伐とした世界で、子供の手を握って2人きりで、厳しい顔で立っているような。必死さを感じるからだ。曲自体もトランペットが入って行進しているような規則正しいリズム。毎日が戦争なのかな。そもそも育児自体が大変だと言うこともあるが、平凡な日常を求めて、1日が終わるたびにホッと胸を撫で下ろす日々。

この時、2015年に出産しているので、子供はまだ2才。まだまだ小さな赤ちゃんみたいなもので、お母さんが世話をし、食事を与えないと生きていけない存在。言葉は発さないし意思疎通もままならない。
リリースの翌年に離婚しているので、この曲の作曲時はワンオペ育児中だったのかなと「あなた以外何もいらない、あなた以外に帰る場所はない、守りたいのはあなた」と言う歌詞を聴いて勝手に思ってしまう。

そういう2人の人生という旅が、「バッドモード」ではやな事があっても、そんな時もあるよ気楽に行こうと言う感じなので、何かいい雰囲気なんだなと思うのです。

さらに過去に遡り「花束を君に」では、母親 藤圭子さんと、宇多田ヒカルさんの間にひとつのピリオドが打たれた。
この曲は、朝の連続ドラマ「とと姉ちゃん」の主題歌なので広く知られていると思いますが、優しい曲調で穏やかにすすむのに対し、その歌詞は非常にプライベートな内容で、穏やかな悲しみに包まれている。母親の死を想って気持ちを整えているような内容なんです。

かつてのスターである母とその才能を受け継いで成功したら娘、親子関係では一筋縄ではいかなかった。バッドモードで「2度とあんな想いはしないと祈る」、あなたで「戦争の足音」「何度いわれても変わらない答えを聞かせてあげたい」という歌詞は、母親との関係からくるのかなと、思います。

ヴォーグ2022年7月のインタビュー記事で、9年精神分析を受けているとありました。セルフセラピーで最初は週5回@20〜30分、今でも週3回。結構な頻度ですよね。

「自分のことを愛せなかったら、いったいどうやって他人を愛せるの?」と言う言葉に、過去の自分を振り返り、それまで、愛する感覚や、愛される感覚が分からなかった。愛と痛みを混同して、辛い思いをさせられる相手を愛の対象だと思い込んでいた時期があった。それを解消していっていることなど。心の内を沢山話してくれていました。

この、ヴォーグのロングインタビュー、ネットに全文出ているので、是非読んで欲しい。後半、母親の死、出産について、人間活動して変わったこと。沢山書いてあります。

これからも穏やかな暮らしが、続いていくと良いなと。一ファンとして、思います。

#宇多田ヒカル #バッドモード #息子  #人間活動 #シングルマザー #親子関係 #ヴォーグ #精神分析

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?