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-- しねなかった君と --

※うつ注意



僕には自殺企図した友人がいる。
その人は精神疾患とかではなく
失恋というキッカケからだった。

遺書めいた話を聞いて、僕は止めなかった。
しにたいという気持ちを否定されるつらさを
僕は幸か不幸か知っていた。
それにその人の性格を考えると
止めてほしいとは思えなかった。
「君にそれで後悔がないなら……」
と通話を切った記憶がある。

結果、その友人はしななかったのだけど
(僕は君を繋ぎ止めるだけの存在には
 なり得なかったのだ)
と落胆した。
己の不甲斐なさを呪った。恨んだ。涙した。

僕の周りの人たちに
あのような思いはさせたくない。

僕は僕を生きたくないけれど
しなないようにするために、しがらみを作った。

それでも、髪を染めた、あの日。
しんでしまえばよかったと思う。
それをする勢いが、あの日はあった。

僕はしなないだろう。
でもしにたいのだ。ゆるされるならば。
しにたいんだよ!と心から叫びたい。

余談だが、その友人は、元来の気質を取り戻し
社会復帰に至っている。
ほんとうによかった。
努力も苦労もしたんだろうなあ。
純粋にこれからも応援していたい。

いつかハグをしよう。
お互い「あのときしななくてよかったね」って。

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