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マトリックスレザレクションズについて解説

あらすじ:仮想現実を生きる主人公がここが現実でないと気づいて現実に戻り愛する女性を取り戻す話
解説:これまでのマトリックスとかなりアップデートされていた。

・人間と機械の共存
20世紀までのSFと違い、スマホやAIなど機械が人間の生活に溶け込んでいる現代に合わせ、人間と機械は対立しない、むしろ共存しているところがこれまでと違った
・女性の活躍
ネオではなくトリニティ(ティファニー)が目覚めるのがポリコレに合わせている感じがあった。これはウォシャウスキーが性転換手術をして女性になったリアリティにも重ね合わせているので重厚感ある設定だった
・コンテンツ論
もはや人間に物語は不要、これからは猫動画だ、という皮肉が、もう現代では作り込んだ映像より垂れ流しの動画の方が再生回数が稼げる現代への皮肉を吐露していて、それに抗う術があるのか?というクリエイターへの問いかけが考えさせられた
・多様性
これまでは、現実に目覚めない人間は愚民であり社会は悪、現実に目覚めた者が正しいというモーフィアスのセリフが示すような選民思想があり、この世界は間違っている、どこかに正しい世界があるという中二病的発想があったが、今回は、仮想現実のまま生きてもよし、現実に生きてもよし、という選択を重んじる多様性を主人公サイドに感じた
・マトリックスの設計者は主人公
これまではアーキテクト(設計者)がいたが、今回はアナリスト(分析家)と名前が代わっており、主人公がハッカーからクリエイターになっているので、この世界を設計(クリエイト)するのは主人公側、マトリックスは自分達で作れる、という世界観に変わっていたのが興味深かった

マトリックス第1作はこの完璧な世界におけるバグがネオで、機械の世界をバグによりハックするという話で、マトリックスリローデッドは世界を定期的に再起動(リロード)してアップデートしないといけないから意図的にバグを発生させて取り込む、つまり織り込み済みの存在としてネオが描かれ、レボリューションズはウイルスであるスミスの暴走を駆逐するためにインストールされたアンチウイルスとしての存在であるネオ、と、パソコンやスマホのOSの再起動やアップデートが当たり前の今なら簡単にわかるマトリックスのことが、昔は理解しづらかったのに比べ、今作はかなり分かりやすかった。
今後に期待。

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