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お酒とハラール食品

(1700字)
最近、ドバイのシャベスタンという、ドバイの街の発祥の地である下町「デイラクリーク」沿いにある古いレストランから何度もメールが来る。メールを見ると、ミシュランの星を取ったらしい。

ここが日本人を含め外国人に人気なのは、ホテルに属しているため、ドバイにあるペルシャレストランの中で唯一お酒が出ることだ。イラン政府もドバイとの関係性でアルコールを出すことに目を瞑っているのだろうと思う。そう、歴史的にドバイの財閥はイラン系が主流なのだ。

日本にいるとお酒の規制なんて、どうして?と思うのだろうが、イスラームではアル・クルアーン(コーラン)で飲酒を戒められている。それで、食品に混入しているアルコールも自然発酵であっても厳しく輸入制限がなされている。品質保持のために殺菌する添加アルコールは検査機器の検出限界以上あると輸入禁止だ。もっとも、自然発酵と添加のアルコールの区別はつかないので、原材料表示の自己申告で判断される。

しかし飲酒の例外はあり、ホテル(高所得層が宿泊する4星、5星ホテルが中心)で免許を取得しているホテルではお酒が出る。ただし、例外の例外で、イスラーム銀行から資金を借りて建てたホテルでは、どんなに高級ホテルでもお酒は出ない。事前に調べてから泊まらないと、ドライホテル(酒呑みは干からびる?w)だったということで、日本人はガッカリとなるので注意が必要だ。そこは、主に敬虔なサウジ人などの家族が泊まるホテルだ。

また、空港で入国する際のDutyFreeのお店では一人4リットル(一応の規制)まで購入して持ち込みして自分のホテルで飲める。
ちなみに、外で飲んでいて警察に見つかると捕まるし、ホテルで飲んでもいいが、酔っ払って外で喧嘩したり、タクシードライバーと喧嘩すると、すぐに警察署に連れて行かれて捕まるwこれは一部の日本の“大虎“の弱点だろう。

お酒は、空港のDutyFreeとホテル以外では入手出来ないかというと、そうでも無い。UAEは7つの首長国(王国)が集まってできた国であり、それぞれの首長国で王族系経営の倉庫みたいなところでお酒を売っている。ドバイでは街中にひっそりとした店舗があり、警察から免許を得た外国駐在人(イスラム教徒はダメ)が所得に応じて買える量が決まっている(飲み過ぎ注意ということかな〜w)。

また、1971年の建国以前から既得権益があった英国系のパブも裏通りにあり、英国などの“荒くれ男たち“が夜な夜な集っている。サッカーの試合の時にかちあうと、日本人の2倍ぐらいごっつい男たちが奇声を上げて、殺気を感じるくらいの凄い盛り上がりだwちなみに、英国人の鼻にかかる英語や、特にスコティッシュの言葉は、酔っ払っていなくても全く理解できないwインド英語の方がまだ聞き取れるw

残存アルコールの規制は発酵食品の宝庫の日本食には鬼門だ!

アラビア語の規制リストで恐縮だが、一番上の1%はワインビネガーだけ特別で、旧宗主国の英国に配慮した例外規制で特別に緩い規制だ。アルコール残留濃度とは別に、UAEでは酸度が5%以上が酢であると認められており、日本の寿司酢のように柔らかい酢は酸度が3.5%程度ということで、基準に足りないとよく言われているそうだ。
健康食の代名詞である味噌も昔は輸送中にアルコール発酵し、基準を超えて廃棄になったそうだ。それで、今では火入れした、輸送途中で発酵しない味噌が主流らしい。発酵食品の健康食が売りの日本食が活躍できない市場であり、残念だ。

醤油などのソース類は0.3%、酢は0.5%と摂取量の多寡で規制濃度が決まっているようだ。お菓子類は0.05%と子供が食べるのでもっとも厳しい。
ヨーグルト製品はアラブ社会でもよく食べられているが、菌が違うからアルコール発酵していないのだろうか?いずれにしてもアラブ人の腸内細菌には良い影響を与えるのだろうし、少しはアルコール濃度ばかりの規制を優先するよりも、発酵食品の健康性への理解があってもいいのかなと思う。そんなに規制を厳しくしなくても、日本食レストランで酢を使った寿司に醤油をつけて、味噌汁をおかわりしても、外で大虎になることはないだろう(了)

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