しろ柴

歌舞伎は中村歌昇丈・種之助丈、落語は柳亭小痴楽師、フィギュアは三浦佳生選手・友野一希選…

しろ柴

歌舞伎は中村歌昇丈・種之助丈、落語は柳亭小痴楽師、フィギュアは三浦佳生選手・友野一希選手・渡辺倫果選手・樋口新葉選手、バレエは新国立劇場の木村優里さん・渡邊峻郁さん。そのほかにも、ピアノ、茶道、日本舞踊、文楽、テレビドラマ全般(「篤姫」!)、読書、美酒美食などについて、ゆるりと。

最近の記事

2月の歌舞伎座、実は第1部の「泥棒と若殿」がすごく良かったことについて

 今月の歌舞伎座は、注目の舞台がたくさん。毎年、年末に中村屋スペシャルを放送するフジテレビを中心に、テレビでもたくさん取り上げられているのが勘九郎と9歳の長男の勘太郎の連獅子。勘太郎は、父・勘九郎が持っていた連獅子の最年少記録を塗り替えたのだとか。また、同じ第3部には次男の長三郎が叔父の七之助と共演する袖萩祭文。やや難しいお話ではあるけれど、長三郎の成長ぶりに笑みを隠せない観客は、大満足だろう。第2部も、歌舞伎ファン待望の「にざたま」カップルのお六喜兵衛と神田祭という3年前の

    • 格調高い車引と楽しいらくだ―初春の歌舞伎座第3部

      第1部に続き、第3部について。 染五郎、ナイストライ!まずは、車引。冒頭の梅王丸と桜丸とのやり取りは、それなりに長さがあるのでどうなるかと思ったが、染五郎は台詞をとても丁寧に発音しており、稽古の成果がしっかり行き届くようにと強く意識しているのがよく伝わってきた。声変わりで、裏声と地声の行き来が一部スムーズにいかないところはあったが、にもかかわらずトライするのは、あるべき口跡を今のうちから意識できていることの証左。歌舞伎以外のメディアの露出が増えているが(稀代の美少年!)、歌

      • 令和3年も新春浅草歌舞伎はここにあり!―歌舞伎座・壽初春大歌舞伎第1部

         毎年花形独特の華やいだ雰囲気に魅せられる新春浅草歌舞伎。本年は、時勢に鑑みてやむなく中止。大変残念だけれど、歌舞伎座の幕開きは、浅草の花形メンバーで寿曽我対面をモチーフに取った柱建がかかるという、粋な計らい。しかも「壽浅草柱建」と銘打って、「浅草」を「はながたつどう」と読ませるのだから、心憎い。 國矢と橋吾、そして冒頭 その冒頭、浅葱幕の前で、奴役は、國矢と橋吾。それぞれ、台詞に超歌舞伎やかぶき体操が盛り込まれており、拍手喝采。とても温かい雰囲気の幕開き。  浅葱幕が振

        • 関西に歌舞伎が戻ってきた歓び―南座吉例顔見世興行第1部

           南座の顔見世といえば、12月の京都の風物詩。劇場前に掲げられる俳優の名前が書かれた木札は「まねき」と呼ばれ、11月のうちに毎年真新しく作られる「まねき」の準備が進む様子も、季節のニュースとして取り上げられる。戦時中も絶えることのなかった風物詩だが、今年は、どうなることかと多くの観客が(そしてきっと俳優やスタッフの方々も)緊張して待っていたのではないだろうか。  結果、例年より期間も客席数も減らすことにはなったとはいえ、今年も京都で顔見世興行が行われることになり、南座には櫓

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        • 格調高い車引と楽しいらくだ―初春の歌舞伎座第3部

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        • 関西に歌舞伎が戻ってきた歓び―南座吉例顔見世興行第1部

          今月、久しぶりに友人を何人か歌舞伎に連れて行くことになった。これまでも、事前にあらすじの説明など行って、できる限り楽しんでもらえるように工夫してきたけれど、昨今の歌舞伎座の状況や、個々の役者さんの情報など、「観劇のしおり」みたいなものにまとめてみようかな。自己満足でもいいから。

          今月、久しぶりに友人を何人か歌舞伎に連れて行くことになった。これまでも、事前にあらすじの説明など行って、できる限り楽しんでもらえるように工夫してきたけれど、昨今の歌舞伎座の状況や、個々の役者さんの情報など、「観劇のしおり」みたいなものにまとめてみようかな。自己満足でもいいから。

          文楽再開の第一歩-第23回文楽素浄瑠璃の会

           世の中がこのような状況で、あらゆるエンタメに影響が及ぶ中、もちろん文楽もその例外ではなかったわけで、4月の大阪、5月の東京などなど、全ての公演が休演を余儀なくされた。その間、国立劇場が過去の公演の収録動画を公開するなど、様々な取組が急きょ行われ、人々の記憶から文楽がなくなったことはなかったはず。そんな中、最新の感染状況に鑑み、満を持して国立文楽劇場で開催されたのが第23回文楽素浄瑠璃の会だ。その後、8月末には若手素浄瑠璃の会も行われ、9月の東京での文楽公演がまもなく始まる。

          文楽再開の第一歩-第23回文楽素浄瑠璃の会

          歌舞伎ファンにとってのプレミア公演⁉-第22回音の会

           夏の勉強会シリーズ、今日は8月22日・23日に開催された音の会へ。こちらは、国立劇場の研修の中でも、歌舞伎音楽の研修生の皆さんの年に1度の発表の場。長唄や三味線、囃子方の方たちだけの舞台はもちろん、竹本の太夫と三味線方のために歌舞伎俳優さんも助太刀する演目があります。歌舞伎ファンにとっては垂涎ものの公演なれど、おそらく自分は歌舞伎ファンだと思っている方たちなのでしょう、歌舞伎音楽の研修生が主役の公演であるにもかかわらず、長唄や三味線、囃子方の方たちだけの舞台には来ず、俳優さ

          歌舞伎ファンにとってのプレミア公演⁉-第22回音の会

          現代にも輝く伝統の息遣いを後世へ―稚魚の会歌舞伎会合同公演!

           8月。昔は、大御所俳優が夏休みに出かけ、芝居小屋は閑古鳥。当然、興行もないという月だったというけれど、だからこそ若手だけで何かやろう!ということもあったのだろうか。8月でも歌舞伎座が盛り上がる平成・令和においても、若手やお弟子さんたちの勉強会がたくさん開かれ、ファンの手帳を悩ませる時期でもある。  今年は、こんな時勢なのでどうなるかなと思われたし、実際、上方歌舞伎会は中止されてしまったけれど、毎年恒例、稚魚の会歌舞伎会合同公演は実施され、感動に包まれた。稚魚の会は、国立劇

          現代にも輝く伝統の息遣いを後世へ―稚魚の会歌舞伎会合同公演!

          <また予告>稚魚の会・歌舞伎会合同公演

           観てきました。  率直な感想をあれこれ書き付けたので、ここにも掲載しようと思いますが、お弟子さんたちが大役に挑む数少ない機会に臨んでおられる最中なので、変におだてたり惑わしたりするのは本意ではなく、あさって、全ての公演が終わってからアップしようと思います。というわけで、今日は予告のみ。  それにしても、国立劇場の再開がこんな素敵な企画であることは、もはや必然であったのではなかろうか。しかも、養成事業50周年という節目の年。有能なお弟子さんたちの養成にはますます注力してほ

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          超歌舞伎の感動、2時間経っても言葉にならないので、明日しっかり書きます。。。

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          「にっぽんの芸能」を観よう!

           「にっぽんの芸能」というテレビ番組を御存じだろうか。Eテレで毎週金曜23時から1時間放送されている番組で、歌舞伎、文楽等を中心に、毎週様々な伝統芸能が紹介されている。今日は、その番組の魅力について。 <今年4月のリニューアル、最高。> 「にっぽんの芸能」は以前から放送されている番組だが、今年4月に放送時間帯こそ変わらないものの全面的にリニューアルされ、新装開店した。司会には、高橋英樹さんを起用。中條アナウンサーの進行サポートも得つつ、俳優としての経験・知見や、その中で培っ

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          歌舞伎好きにとっての8月と言えば…

           8月の歌舞伎。昔は、歌舞伎俳優たちがこぞって夏休みに入るので芝居小屋は閑古鳥…というのが、むしろ風物詩ぐらいの状況だったよう。が、平成2年から歌舞伎座で若手(と言っても、当時は後の勘三郎と三津五郎とか…)が奮闘して納涼歌舞伎が始まってからは、状況が一変した。 <去年の8月の記録> ここで、手元の去年の観劇記録を見返してみると…。高砂会、音の会、歌舞伎座(第1部、第2部、第3部)、蔦之会、稚魚の会・歌舞伎界合同公演、上方歌舞伎会…と、多様な興行のオンパレード。中には、複数回

          歌舞伎好きにとっての8月と言えば…

          家で一人で呑むのに最適なお酒は何か。

           これは、お酒が好きな人にとっては、呑める量が多いか少ないかに限らず、永遠のテーマなのではなかろうか。特に、現在は、経済との両立の観点から少し緩和されているとはいえ、なかなか大手を振って外でお酒を吞みにくい状況。であれば、家で美味しく呑みたい!という探求心に駆られる人も少なくないはず。ぼくも、そんな一人。 <ありがちな展開:缶ビールの便利さ> ありがちな展開としては、ワインや生酒が好きなのだけれど、開栓したボトルの保存のことを考えると、一度に吞み切ってしまうほどたくさん吞む

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          当たり前の評価を疑おう。ショパンの協奏曲、第2番の魅力に気付いてほしい!

           最近、平野啓一郎さんの『葬送』をかなり久しぶりに再読し、やはり良い小説だなぁと感じ入っている。他人の一挙手一投足を、それぞれの登場人物がどのように見て、その結果、どのような心持ちになるかという人間社会の反応が言葉を尽くされて描かれていて、夢中になる。未読の方には、是非読んでほしい。一見長いけど、そんなこと全然気にならないぐらい充実の作品なので。 <『葬送』のBGMは、もちろんショパンで決まり!> 読書は、自宅で落ち着いて…というより、案外、移動時間に電車の中でということが

          当たり前の評価を疑おう。ショパンの協奏曲、第2番の魅力に気付いてほしい!

          興行再開の歌舞伎座・連獅子。愛之助=親獅子の慈愛に満ちた父性と、歌之助のナイストライ。

           というわけで、歌舞伎座での八月花形歌舞伎、時勢に鑑み、1部当たり1演目の4部制というイレギュラーな興行の第1部を観てきた。5か月ぶりの歌舞伎興行が威勢よく連獅子で始まるというのは、なかなか乙な企画ではないだろうか。愛之助と壱太郎という組合せも、このようなイレギュラーな状況ならではの取り合わせという感じもあって興味深い。 <開演。アナウンスに続き、愛之助の父性が滲み出る。> この日の開演前のアナウンスは、歌之助。若々しく、爽やかな声。  愛之助は、爽やか、かつ、逞しく、初め

          興行再開の歌舞伎座・連獅子。愛之助=親獅子の慈愛に満ちた父性と、歌之助のナイストライ。

          <予告!>歌舞伎座第1部「連獅子」のレビュー書きます!

           今日は、歌舞伎座第1部「連獅子」のレビューを書こうと思っていたのだけれど、思い返せば思い返すほど、はっと気付かされるような、今回の座組ならではの新たな発見があったり、この状況で1日の幕開きに「連獅子」が踊られることへの感慨が積もったり、まとまらなくなってしまった。  というわけで、明日、じっくり書こうと思います。という懺悔。。。

          <予告!>歌舞伎座第1部「連獅子」のレビュー書きます!