社会と個人と感情と
あんたはいろんな組織の工夫ってやつについて思いを馳せることってのがあったりするかい?
俺たちのようなシステム屋もそうだけれど、営利・非営利に関わらずヒトが組織を運営していくに当たっては実に多くの工夫ってのが施されていると思うんだ。
例えば旧ジャニーズ事務所なんて、組織的な隠蔽ってのがあったのかどうかって言う法的な意味での責任問題とかは、はっきり言ってそっちのけで、「裏切られた」って言うファンの思いみたいなものが情念の塊として襲いかかってきているような状況に見えるんだよな。
げに恐ろしきはヒトの感情。
本来はヒトという社会性を前提に生き延びてきた生き物が、その社会システムを形作っている組織を攻撃している。
ヒトという生き物の自浄効果と言えば聞こえは良いかもしれないけれど、その攻撃の根拠が「気に食わない」って言う、これまたヒトの感情なんだよな。
今回はヒトが社会という構造の中で生きるに当たっての感情について考えてみる回だ。
ちっと俺たちが俺たちを振り回しているって状況について考えてみようぜ。
感情という存在
まあ、旧ジャニーズ事務所の性加害問題ってのは、対象となる課題がセクシャリティという非常に個人に属する要素が大きい話だったのも相まって、どうしても感情的に課題を捉える機会が多いと思うんだ。
更には芸能事務所が絡んでいるということで、エンタメというこれまた個人に属する要素が多い組織が抱えている課題ってのもあったと思う。
まずもって、俺としてはこの「感情」って存在を「悪いもの」みたいな枠組みで捉えていくことには、あんまり意味が無いんじゃないのかって思っているのよ。
感情ってのはことの良し悪しとは関係なくて、ヒトという生き物が生来持っている性質そのものじゃん。
ポイントはその感情ってのが本質的に個人の内的なものってのがあると思うんだよね。
内的なので、感情を他のヒトと共有出来ているかを客観的に評価できる形で確信できないんだよな。
それがポジティブな感情でもネガティブな感情でもね。
感情を裏打ちする理屈
それでも俺たちは俺たちの中にある感情ってのを誰かと共有したいって思いを常に抱えているわけじゃんか。
あんたがここnoteや他のSNSで発信しているとしたら、根っこにあるのは「誰かとこの気持ちを共有したい」って感覚だろ?
もちろん情報を発信することで何らかの価値を提供して、その対価をいただくための手段として使うケースもあると思うけれど、多数派としてはこの「共有したい」という感情が出発点だと思うんだよね。
ところが、この「共有する」ってのが実に難しい。
特に感情の共有は、さっきも書いた通り感情ってのが内的なものなので、客観的にその存在を表現する方法が無いんだよな。
「俺の怒りは今50万パワーだ!」とか、キン肉マンよろしく数値化できれば良いかも知らんが、現実には超人パワーも、戦闘力を計測できるスカウターも、善悪を見極める鉄腕アトムの人工知能もない。
なので、俺たちは次善の策として感情を「理屈」で表そうと努力を重ねるわけだ。
「正しさ」を共有するための理屈
で、冒頭の組織論みたいなところに戻るわけだけれども、組織を構成しているヒトも個人であるってことは避けようがない現実としてあるわけだ。
つまり一人ひとりが感情ってのを抱えながら生きているってことね。
そして、その感情ってのはときとして本人にすらコントロール出来ないような暴れん坊の側面を持っている。
それをなんとか抑え込むための方便として生み出されたもの。
それがモラルだったりルールだったりというヒトを縛り付ける鎖なわけなんだよな。
鎖によって自分をがんじがらめにすることによって、初めてヒトは社会というヒトが生み出したシステムの中で生きていくことが出来る。
その意味では「ルールやモラルを守る」というのは社会で生きるための免罪符ってわけだ。
ルールやモラルが表現するもの。
それは「正しさ」だったり「間違い」だったりするわけだ。
その概念を組織としてどうやって共有していくのか。
ぶっちゃけ組織としての工夫の根っこにはこの課題がいつだって横たわっていると思うんだよな。
そして、そのくせにこの「ルールやモラル」ってものを正確に理解して行動している個人ってのはほとんど居ない。
例えばあんたは六法全書を暗記してるかい?読んだことすら無いってヒトが大半だと思うじゃん。
感覚的に「ルールやモラルに従っている」って感じながら行動をしているわけだ。
そうしないと、ルールやモラルが持っている厳格さにヒトは耐えることが出来ないと思うんだよ。
ところが、その厳格さを失った時点でヒトはヒトを感情で判断することを始めちまう。
エグいジレンマだよな。
なあ、あんたはどう思う?
感情とルールとモラルの間で俺たち個人が組織の中でどんな方法で価値を提供していけば良いんだろうな?
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