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アニメの作り込みと時間

あんたは最近のアニメを楽しんでいるかい?

1クール、2クール程度の話数で一旦区切る作品が目立っている気がするんだよね。その分作品の濃度みたいなものを上げに行っている感じ。

もちろんサザエさんやちびまる子ちゃんみたいに永遠に続いているような作品もあるけれどね。
地味に毎週あのコンテンツを作り続けているのってすごくね?

もちろん、作画を記号化して制作コストを抑えているんだろうけれど、それでもすごい。

今回はアニメ制作の結果としてのコンテンツが今と昔でどんな風に変わってきているのかを眺める回だ。

まあ、ちっとオッサンの昔話に付き合ってくれよな。


OVAと言うコンテンツ提供形態

あんたはOVAって言葉を聞いたことがあるかい?

俺がガキンチョの頃はコンテンツ配信サービス(PrimeVideoみたいなやつ)はなかったからさ、アニメを楽しむにはテレビをリアルタイムで見るか、そいつを録画したものを楽しむか、もしくはテレビで放送されていないアニメをビデオテープで買うかって感じだったんよ。

あ、レンタルビデオ店で借りるってのあるか。ってか、そっちのがメインか。

で、その「テレビで放送されていないアニメ」ってのが売り物になっているやつをOVA(オリジナルビデオアニメーション)って言って販売していたわけだ。

OVAはテレビ放送されているアニメーションと比べて、作り込まれていることが多かったんだ。
そらそうだ。
毎週の締切に追われてしまうと、映像の作り込みや物語の作り込みに手をかけることが難しいからね。
ある程度の期間を使えるOVAって形式はコンテンツの品質を上げるのに相性が良かったってわけだ。

バンクと言う手法

現実的に日本にアニメーションと言う文化を作り上げたヒトって言ったら手塚治虫さんになると思う。

虫プロがなかったらアニメーションってコンテンツ形態が日本に浸透することはなかったと思うんだよな。

それと同時に虫プロが生み出した罪ってのもあったと思う。

アニメーターの労働対価としての給与が異常なまでに低くなってしまった。

虫プロというか手塚治虫さんは世の中にアニメーションを広めるために異常な低価格でコンテンツを売り込んで、テレビの放映枠を取りに行くって戦略に出た。
結果として虫プロは倒産の憂き目に会うわけだけれどね。

で、その異常に低い単価でコンテンツ作成をする手段ってのが「バンクシステム」だった。

バンクシステムってのはシーンを銀行の様に溜め込んでおいて、そいつを再利用するってやり方ね。

ちなみに、この言葉を作ったヒトは何を隠そう手塚治虫さんらしい。

この仕組みは長らく日本のアニメ業界で活用されていて、そのおかげでシーンの使いまわしみたいなことは増えているけれども、それをストーリーとして不自然じゃない様に見せるって工夫も進化していったと思うんだ。

バンクが印象的な作品

俺の中でバンクシステムが「最も印象的に使われていた作品が何か?」って問われたら機動戦士ガンダムSEEDだと思う。

まあ、鉄腕アトムの頃とは作画に求められる要求品質が異常なくらい上がっているわけだ。
そりゃあ、バンクを多用しないと1シリーズ50話なんてのをこなせっこないもんな。

で、ストーリーを盛り上げる形でのバンクってのをどうすれば出来るのかってのを工夫して行ったように見えるんだよ。

いや、当時からね。バンク使いすぎだろって言われてたんだ。

今、とある動画配信者さんがSEEDにリアクションしてくれているのを見てるんだけれど、「ああ、こんなにバンク使ってたんだ」って思うんだ。
トールとニコルなんて何度殺されてんだって感じだったし。

それに比べると、今放送しているアニメは全然バンク使っているとは思えないんだ。
いや、見せ方がよりうまくなっているんか知らんけれどね。

ただ、1シーズン50話とか言うある種暴力的なシーズン構成はあんま見なくなった。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちはシーズンごとにお預けを食らった上で、作り込まれた作画を望むかい?

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