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議事録と議事メモ

あんたは仕事で議事録を取ることがあるかい?

俺たちシステム屋にとって議事録ってのは基本中の基本でありながらも、実に奥が深い技術だとも思うんだよね。

よく聞く話としては議事録を取るのは新人とか若手の仕事みたいなこともあると思うんだ。
実際、議事録を取ることによって仕事の内容を理解する助けにはなるから、若手育成の手段としてはうってつけではあると思うんだ。

ところが、ホントの意味で使える議事録ってなるとちっと意味合いが違ってくる。

今回は議事録ってものの存在について考えてみる回だ。

まあ、若干きな臭い話かもしれないけれど、付き合ってくれよな。

議事録と議事メモ

よくわからない言葉の一つに議事録と議事メモって言葉があると思う。

同じく議事の内容を記録したものではあるんだけれども、この2つには決定的な違いがあるって考えたことがあるかい?

議事メモってのはシンプルに誰かが喋ったことを記録したメモだ。
ぶっちゃけ、会議の録音が出来ているなら、その録音で事足りるケースも多々あるやつだね。

最近だと、ICTを活用して録音した音声から自動で文字起こししてくれるようなツールだってある。
あとは、その発言が「誰の発言か」ってことだけ明確に出来れば良いわけだ。そして、その発言したヒトの特定もICTによって自動化する方向にあると思う。

ん?誰がなんの発言をしたかを文字情報として管理できるなら、それが議事録だろって?

俺も最初はそう思った。

ところがだよ。
そうは問屋が卸さないってやつなんだよ。

なぜって?

俺たちは、俺たちが思っている以上に「ちゃんと喋ってない」んだよ。

構造的会話の難しさ

ちゃんと喋るってどんなことかって話だけれども、要するに俺たちが喋ってる会話って、基本的に整理された結論ありきで喋ってないんだよ。

宇髄天元風に言うなら「地味にぐるぐる話が回ってるぞ」ってやつだ。

特にシステム開発の打ち合わせなんて最たるもんだ。
だって誰も正解なんてものを用意して会話してないんだもんよ。

ってかシステム開発における正解って何を持って正解とするかもヒトによってまるで違う。

現場のヒトにとっては、日常の業務をいかにして楽にできるかがポイントだろうし、経営者層からすれば、いかに人件費や固定費、仕入費を抑えながら利益を最大化出来るかってのがポイントになるだろう。

ぶっちゃけ、現場と経営者層の利益が一致するケースってレアだと思うんだ。

そして、システムを開発する現場はその2つの板挟みになるので、そもそも論理的に正解を構築するってのがめちゃくちゃ難しいわけだ。

そして、その難しい論理的構造の思考を経由する余裕もなく決まった日時で会議は始まっちまう。

そりゃあ、整理した会話なんてデキッコナイスってやつだよな。

議事録による思考の整理

でだ。
そのカオス極まりない状況の中で繰り広げられる会話を「議事録」に落とし込む必要があるわけだけれども、その議事録はさっき言った議事メモだとカオスそのものを記録することになるのであんまり意味がない。

ホントに単純な備忘録としては使えるとは思うけれどね。

議事録の意味。
そいつはズバリ「カオスを理路整然とした理屈に見せること」なんだと思うんだ。

発言したヒトの意図の本質が何かを考え、その本質が他のヒトの利害関係とどういう整合性を持たせる事ができて、その整合性をどう表現したら誤解なく合意が出来るのかを考える作業って感じ?

何?
そんなんどうやって出来るんだって?

おいおい、こちとら伊達に四半世紀システム屋やってないんだぞ?

議事メモの取り方

ポイントは議事メモの取り方にあると思うわけだ。

さっきも書いた通り、ヒトは話を行ったり来たりする。
同じ話を繰り返すこともあれば、突然話題が切り替わることもある。

そして、その会話を記録する立場からすると、実に「なんですっけ?これ」って文章が書き起こされる。

その問題の本質ってのは、その会話を聞いている瞬間に「この会話は何の話か」ってのを整理できないことに由来すると思うんだよ。

特に頭のいいヒトとの会話の場合、この会話があっちこっちにすっ飛ぶってのを経験したことないかい?
天才的な発想をするヒトは特に同時並行的に課題を考えているので、常人にはついていけないことってあると思うんだ。

そんなヒトたちとの議事録なんて地獄だよな。

おそらく、その場では「何のことを言っているのか」なんて理解できないことが大半だと思う。

なので、後でその発言の意図を解釈する時間ってのが必要なんだけれども、その発言をそのままメモしているだけだと、発言がどのことを意図してのものかってのを整理するのがめちゃくちゃ難しい。

そこで、議事メモの工夫ってのが必要になるわけだ。

どうするのかって?
「発言にタイトルをつける」んだよ。

この発言はこのカテゴリの話をしているんだよなって感じたなら、発言の時系列ではなくて、カテゴリ別にその発言をメモしていく。

そして、その発言を思い出せる様なキーワードをタイトルとしてつけておく。

そうすることで、後で議事録として論理的に整理しようとする時に、その発言のニュアンスを思い出せるようにするってスンポーだ。

この方法で議事メモを取る時に役に立つと思うツールがある。

アウトラインエディターだ。

俺の使っているやつはこんなのね。

要するに文字を階層構造でメモできるテキストエディタだ。

このツールで議事メモを取ることで、後で色んなヒトの発言を構造的に整理することが出来る様になるんだよね。

この整理をすることで、実に強力な結果を得られると思うんだよ。
つまりは、発言したヒトのその時点での意図ってのを表現できるってことだ。

「あの時、ああ言ってたじゃないですか!」
って言うと、ヒトはほぼ間違いなく反発する。
自分が整合性をもった発言を出来ないというレッテルをはられることになるからね。

でも代わりにこう言えたらどうだろう?

「あの時、あなたの理想はこうだった。でも今の決断はその理想に反しています」

この「あたなの理想」ってのを理解するためには議事録による思考の整理ってのが必須だと思うんだよな。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちは思考の整理によって誰かを幸せにできるんだろうか?

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