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出版業界の人間関係

あんたは仕事における礼儀ってやつについて考えることってあるかい?

オッサンともなれば仕事での人間関係について考えないってことはありえない。
それは社内のヒトでも協力会社のヒトでも顧客でも各々違った要素で検討しないとならないことがあるもんだよな。

俺の場合はITベンダーとして顧客と折衝しながら、協力会社さんと現実問題を調整し、会社の予算を考えるって立場だからなおさらってのがあるかもしれない。

でもさ。
もう20年以上仕事をしてきていてもだ。

正解の人間関係なんてもんは見つかっちゃいない。
しかも業界によってはその人間関係ってやつが文字通り生命線になることもある。

今回はとある業界における人間関係について想像を巡らせる回だ。

ちっと面倒くせー話かもしれんけど、付き合ってくれよな。

出版業界の前提

今回、仕事における人間関係ってやつについて考える切っ掛けをもらったnoteがある。

春日さんは出版社の社長をなさっている御仁だ。
社長ともなればメチャクチャ何でもやらなければならない状況なんだろうと想像するんだよね。

特にヒトとのコミュニケーションには気を使うってのが日常なんじゃないかって想像するんだ。

出版社ってのは売上計上のやり方一つとっても通常のメーカーとはぜんぜん違う。

前にもこんなnoteを書いてみている。

この出版業界の特殊っぷりは気が向いたら読んでみてくれよな。

でだ。
出版業の特殊さの最も際立つのが「返品を前提にものづくりをする」ってことに尽きると思う。

最初に3000部の本を作ったとする。
その3000部は取次という卸会社に一度納品される。
その時点で3000部分の売上が立っちゃうんだ。

取次を経由して書店でその本は売られるわけだけれども、当然全部売り切れることってレアケースだ。
通常であれば、この在庫リスクは小売店である書店が担うもんなんだけれども、出版業界では違う。
書店は一定期間内に売れなかった本を返品して、その仕入れ料金を取り戻せる仕組みなんだ。

結果として出版社は最初の3000部の売上を「マイナス」するって会計処理をすることになる。

これが意味するところ。
通常であれば「売ること」についての努力をするのは小売店なんだけれども、本に限って言えばメーカーである出版社しかしないってことなんだ。

家電量販店やスーパーのチラシは見たことがあっても、書店のチラシなんて見たことないだろ?
そう言うことなんだよ。

出版業界における人間関係

で、そう言う前提で春日さんのnoteを眺めてみる。

取引を今現在継続中で、特に過去にこちらの過失、粗相、支払いの遅延などの迷惑をかけたこともないのうな取引先の担当者から、適当にあしらわれたり、あきらかに軽んじられている対応をされることが時々あります。
出典:上記note

出版社としては本を売ってもらってなんぼなところがあると思うわけだけれども、本を流通させることで、作家、印刷、製本、卸、書店のすべてのヒトが利益を得るわけだから、その商取引を円滑にすすめる上で人間関係ってのは尋常じゃなく意味が大きいと思うんだよね。

ところが出版業界のさっきの前提で考えると、どうしても多品種小ロットにならざるを得ない。

あんたも街の書店に入ったときに本当にベラボーな量の本がおいてあるのを見るだろ?
作家と出版社以外のヒトは一つ一つの商品である本についての愛着を持てないって状況なわけだ。

だからこそだよ。
出版業界における商取引については人間関係ってのが意味を持ってくる。
商品じゃなくヒトで判断せざるを得ないってのが現実だと思うんだよ。

ヒトで判断せざるを得ない状況での横柄さ

そう言う出版業界の特殊性を踏まえた上で、春日さんが受けた横柄な対応ってのを考えてみる。

それは、なんつーんだ?
「気分が悪い」なんて生易しい状況じゃないと思うんだ。
「生き死に」がかかってる話だと思うんだ。

さっきも言ったとおり、本を売る努力ってメチャクチャ出版社に寄っている。

「この包丁、メチャクチャ切れ味が長持ちするんですよ」なんて対面販売を書店がしてくれることもない。
したがって本の内容が良いってことで仕入れを増やしてくれるわけでもない。
書店は出版社や取次が統計的にこのジャンルの本はどのくらい売れるって話を信じて仕入れて売れなきゃ返品するだけなんだから。

そう。信じてもらってなんぼなんだ。

その中での横柄な態度ってのがメチャクチャ危機感を感じさせることって想像に難くない。

思うに、俺たちはもっといろんな立場のヒトの思いってやつを想像したほうが良いと思うんだよな。

何も横柄な態度をとるなんてヒトとしてどうなんだって言いたいわけじゃない。

単純にさ。
みんなで幸せになるって「ゲーム」を全力で楽しみたいじゃんか?

でなきゃ、人生の大半の時間をつぎ込んで取り組んでいる仕事ってやつがただの苦痛になっちまう。
そんなの誰も望んじゃないだろ?

なあ、あんたはどう思う?

俺たちは全力で人生を楽しむ権利を誰でも持っているはずだって思えるかい?

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