見出し画像

インボイス制度と農業と

あんたは今、俺たちの食生活が脅かされているって話を聞いたらどんな風に思う?

なんだなんだ?今はやりの終末思想的な何かか?

ある意味、そういうことなのかもしれないとか思っちまうくらいなんだけれど、話はそうファンタジックなもんじゃない。

ぶっちゃけ、日本の農家の抱えている現状の話だ。

あんたもやれインボイス制度がどうのこうのって話は耳にしていたりするかもしれないけれど、この制度が洒落じゃなくて日本の農業の仕組みをぶっ壊しかねない状況にあるって言ったら、信じられるかい?

今回は、インボイス制度と日本の農家の現状を組み合わせて考えてみる回だ。

ちっときな臭い話だけれど、付き合ってくれよな。


インボイス制度とは

これを読んでくれるあんたにとっては耳タコな話かも知らんけれど、とりあえずおさらいしておこうかね。

インボイス制度ってのは結果だけ言えば、今まで消費税を免除されていた売り上げ1000万以下の事業主のヒトが消費税を納めるようにしないと商売から干されちまうなんてことを引き起こしかねない制度だ。

話せば長くなるので、詳しくは専門のサイトに任せるけれど、今まで納めていなかった消費税を納めないと商売が立ち行かなくなるかもしれないってことだけ押さえておいてくれよな。

しかし、考えれば考えるほど、日本の消費税ってめちゃくちゃな制度だよな。

何が無茶苦茶ってさ。
利益が出ているかどうかなんてお構いなしにとられる税金なんだぜ?

何?何言っているかわからないって?

ホント、この辺はいくらでも語れる話だけれど、今回の本筋とは別のところの話になるので、ひとつだけ認識を合わさせてくれよ。

消費税ってのを納めているのは消費者じゃなくて事業者なんだってこと。
消費税法には「消費者」なる存在が書かれていないんだよ。

で、消費税を納める義務を持っているのがメーカーだったり流通業者だったりというありとあらゆる経済活動を行う事業者なんだよ。

その事業者が利益を上げていようがいまいが、問答無用で売り上げに対して10%持ってかれる税金。
それが消費税なんだってことね。

日本の農家の平均売上

その前提にたってみたうえで、日本の農家の状況を眺めてみる。

このサイトがまとめてくれている農林水産省の「農業経営統計調査」ってデータによると、ざっくり個人経営で農家をやっているヒトの平均的な売り上げは年間661.7万円なんだそうだ。

そして、そのヒトが農業経営にかけている経費の平均は548.1万円なんだと。

年間売り上げが1000万円未満なので、普通に消費税の免税事業者あつかいだわな。

ところが、インボイス制度でこの農家が課税事業者になると単純計算でこういうことが起きる。

年間売上:661.7万円
年間経費:548.1万円
差引所得:113.6万円

だったのが、売上に対して消費税が経費として掛かるから

消費税:66.17万円
が追加コストでかかるって話になる。

いや、ただでさえ年収113.6万円とかありえないだろって思う重労働なのに、そこに66万円も持ってかれたら、単純計算で年間所得が47万ちょっとになっちまうのよ?

いや、馬鹿かって話になるじゃん。

農協特例

さすがにそれはないべって話で、農協を経由して農作物を卸している場合は農協特例ってのが受けられるって制度になっているらしい。

ざっくりいえば、農協経由なら適格請求書を発行しないで済むって制度らしい。
つまり今まで通り免税事業者としてふるまうことができるって話ね。

でもさ。
安倍晋三さんが推し進めていた農協改革によって、全国農業協同組合中央会の監査・指導権って廃止されたんだよな?

要するに農家としては自力で農産物を売りさばかなければならないシーンが増えているってのが現実なので、そうなると一概に免税事業者として農業を続けられるのかってなると、現実的には厳しいものがあると思う。

いわゆるファーストペンギンみたいな一次産業のヒトが生き延びるすべを奪いに来ているって側面があるように見えるんだよな。

マジでさ。

俺たちの食糧をこさえてくれる農家さんや、漁業に携わるヒトたちの産業構造をぶっ壊しかねないことが今起きているってわけだ。

なあ、あんたはどう思う?

この出口の見えない状況を眺めて、それでも消費税は必要だってあんたは思えるかい?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?