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物語のギミックを飲み込むために必要なもの

あんたは物語を楽しむことが出来ているかい?

俺の場合は、昔はもっと物語を楽しめていたような気がするんだよね。
スターウォーズではスカイウォーカーの血脈の一挙手一投足にハラハラ・ドキドキとさせられたものだし、ガンダムでは生き残るって究極の目標に10代の子供たちが奮闘している姿に感動した。

でも、最近はどうにも物語のギミックについていけない瞬間が増えてきている。
物語を演出する背景設定が複雑すぎて俺の中で消化不良を起こしている感じだ。

まあ、俺自身の能力の衰えと言ってしまえばそのとおりなんだろうけれど、この物語のギミックの複雑化ってやつは、下手をすれば一般大衆を置き去りにしかねないとも思うんだよね。

今回は、物語を演出するための設定について考えてみる回だ。

まあ、オッサンの戯言に過ぎないかもしれないが、つきあってくれよな。

作品が抱えている課題

まず大前提として、背景設定の作り込みそのものは時代のニーズとして複雑化する運命にあると思う。
なんつっても、インターネットが生活に溶け込んでいる世界だ。
ちょっとしたギミックは、みんなGoogle先生に問い合わせされて見破られてしまう。

なので、結構多くの作品が難しい設定に走りがちだ。
あのスターウォーズですら、そのそも何のために戦っているのかをシンプルに答えられるやつってレアなんじゃなかろうか?

「いや、フォースの暗黒面との戦いだろ?」とかあんたは言うかもしれないが、そもそも暗黒面ってなんだ?って話だ。

誰かと競って追い落とすことそのものが「暗黒」だって言うなら、んなもんどこにだってあるふつうのコトだし、悲しみを力に変えるってことなら、それは褒められこそすれ、殲滅される対象になることに違和感すら覚える。

な?ちっとだけ考えるだけで、「なんだっけ?」って思っちまうわけだよ。

最近のオモロイと思えた作品を振り返る

とは言え、ギミックの作り込みで成功している作品だってある。

最近のスマッシュヒットは「彼方のアストラ」だと思うんだよな。

なんつーか、この作品ほど「精密に作り込まれた話」を俺は思い出すことが出来ない。
完全に第1話から最終話を見据えて話作りがされていると感じさせてくれる作品だ。

セリフの一つ一つに伏線があり、その伏線が見事なまでに回収されていく様は見ていてある種の爽快感と感動を呼び起こしてくれる。
多くのキャラクターが完全に物語のテーマに沿って描かれているんだよね。

そんな彼方のアストラだが、設定の複雑さって意味では、群を抜いている。

最初はオーソドックスなSF学園モノかな?って思わせておいて、サバイバルファンタジーであり、歴史の作りであったり、協力するってことの価値だったりと、わりかし多くのテーマがぶっこまれてきている。

そのテーマを支えている設定がこれまた複雑。
過去に行われたエクソダス(地球脱出)をなかったコトにしなければならなかった背景であるとか、人間の業によって生み出された主人公たちの背景だったりとか、ものすごい複雑だ。

でも、その複雑さをすんなり受け入れられた俺がいる。

物語の背景を受け入れるために必要なもの

スターウォーズの背景をうまく消化できない俺が、なんで彼方のアストラの背景はすんなり受け入れられたんだろう?

その事を考えるにあたって、「子供の頃はスターウォーズの戦いを素直に受け入れていた」って事実に注目してみる。
子供の頃にできていて、なんで今は出来ないのか?

おそらく俺の中でスターウォーズの戦いの正当性のようなものが言葉にできないことが原因なんだろう。

彼方のアストラは戦う意味はものすごく明確だ。
何しろ生き残らないことには話にならないってサバイバル状況だ。
そしてその状況を乗り越えた先にあるテーマもすごブル明確。クローンという俺たちの根っこに刷り込まれた「やっちゃいけないこと」をわかりやすくやっちまっている「敵」がいる。

スターウォーズにも「敵」はいる。
ぱっと思いつくのはダースベーダーだろうが、彼は敵というよりは、敵に翻弄された仲間って色合いが強い。
本来の意味では暗黒卿がその位置なんだろうが、彼の言っていることは大人になった今考えてみると、いまいちピンとこない。

なんか「力を手にしたいから戦っている」みたいな印象しか残っていなくて、「ああ、わかる。しょうがないよね」って敵の美学が感じられないんだよね。

つまり子供の頃はそのあたりをいい感じに無視出来たんだけれど、そこを無視できなくなって来ているってことなのかもしれない。

俺たちが、ギミックの複雑さを乗り越えるために必要なもの。

それは「敵」に対する同感なのかもしれない。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちが物語を楽しむために必要な要素は何だって思った?

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